ミラ


本格的な秋になりました。まず、今夜23時の南の空を見てみましょう。

10月18日 23時  南の空


くじら座があります。くじら座というのは、さほど有名な星座ではありませんが、くじら座の中に、一番有名な変光星があります。変光星というのは、明るさが変わる星です。くじら座に、「ミラ」という変光星があります。火星の左下にありますが、くじらの心臓の位置です。心臓の星が明るくなったり暗くなったりするわけです。
星の明るさが変わる理由はいろいろありますが、「ミラ型変光星」と呼ばれる星は、星が膨らんだり縮んだりして明るさが変わります。ますます心臓のようですね。
今週、ミラが最も明るくなります。ミラは332日前後の周期で、2等星から10等星の間で明るさを変えます。肉眼で見て、かなり明るい星から、全く見えない暗い星になります。明るさは大きく変化しますが、ゆっくりです。

くじら座とミラ
ミラは膨らんで、大きくなったときに明るくなるのですか?

逆です。星が膨らむと暗くなります。星は核融合反応で光や熱を出しています。星が膨らむと内部の温度が下がって、核融合反応が弱くなります。そのため、星から出るエネルギーが減って、暗くなります。星が大きくなったときに暗くなるというのは意外でしょうか。

・・・ということは、今、ミラは小さくなっているわけですね。

小さくなって、核融合反応が盛んに行われています。ミラのように、大きくなったり小さくなったりする星は、寿命末期の星です。

寿命末期ということは、ミラは間もなく死ぬのですか?

星の寿命が終わるときに何が起こるかは、星の質量によって違います。ミラは太陽よりやや大きい程度の星で、この程度の星は、超新星爆発することはありません。死ぬ間際に星からガスが吹き出して、惑星状星雲を作ります。そして、中心の星は白色矮星になります。

ミラも太陽も、超新星爆発は、しないのですね。

太陽の10倍以上大きな星は、超新星爆発して華々しく最後を終えるのですが、太陽ぐらいの星はひっそり死んでいきます。残骸として、惑星状星雲を残して、白色矮星になります。余熱で光っているだけの星です。

惑星状星雲というのは、どういうものですか?

星の外側にあるガスが吹き出して、星を包むように広がって、光っている星雲です。星から周りに、ガスが均等に吹き出せば、球形になります。それを外から見ると、ドーナツ型の星雲があって、中心に小さな星が見えます。でも、ガスが球形に広がることはまれで、複雑な形になります。でもそれらは、見た目にはきれいな天体になります。

主な惑星状星雲の写真です。
 


どれもすごくきれいですよね。これらは、大きな望遠鏡で撮った写真なので、大きくてきれいに写っていますが、実際はすごく小さくて、望遠鏡でもやっと見える程度です。
みなさんも、「惑星状星雲」と入力してググってみてください。そして夜になったら、くじら座とミラを探してみてください。









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