星の瞬き



1年中で一番寒い時期になりました。先週20日が「大寒」でしたね。大寒から節分までが、1年中で一番寒い時期です。
一番寒いですが、北関東では、星が一番きれいに見える季節でもあります。冬型の気圧配置のときに、空気が澄んで星がきれいに見えます。星がキラキラ瞬いています。実は、星の瞬きが大きいのは風が強い証拠です。

   風が強いときに、星は瞬くのですか?

風といっても、地上付近の風と上空の高いところを吹く風、両方とも強いとき、星の瞬きが大きくなります。冬型の気圧配置のときは、地上も上空も強い風が吹いています。

   そもそも、星って、どうして瞬くのですか?

まず、瞬くのは恒星だけ、惑星は瞬きません。

   今、火星が見えていますが、火星は瞬かないのですね?

火星の東側に、おうし座のアルデバランやぎょしゃ座のカペラがあります。どちらも明るい1等星ですが、アルデバランとカペラは瞬きますが、火星は瞬きません。自分の目で、確かめてください。

   惑星は瞬かないけど、恒星は瞬くというのは、どうしてなのでしょう?

その答えを一言で言えば、惑星は大きさがあるけど、恒星は大きさがないから・・・ です。

   大きさがあるとない・・・ どういうことですか?



例えば、自分が見ている範囲内に、ボールが1個あったとします。自分の目の中心と、ボールの上側を結ぶ線、そして下側を結ぶ線を引いてみます。2本の線には、ある一定の角度ができます。これを視直径といいます。
ボールが近くにあれば、視直径が大きくて、遠くにあれば、小さくなります。同じように、火星は遠いですが、視直径があります。その角度はとても小さくて、現在の火星は、1°の1/400ぐらいです。でも、0ではありません。
ところが、恒星は非常に遠くにあるので、視直径が0です。惑星は大きさがあるけど、恒星の視直径は0、つまり大きさがないということです。

話はちょっと外れますが、例え小さくても視直径があるものは、天体望遠鏡で倍率を上げれば大きく見えます。視直径0の恒星は、いくら倍率を上げても大きくはなりません。0を100倍しても、1000倍しても0です。恒星は天体望遠鏡を使って何倍で見ようが、点にしか見えないわけです。

星の瞬きの話に戻りますが、風が吹くと、空気の密度が微妙に、濃いところと薄いところができます。密度の違う空気を光が通過すると屈折します。星の光は、空気の層を通過してくる間に、何度も屈折して目に届きます。風が強いと、ある瞬間と次の瞬間で、屈折の仕方が変わります。そのとき、目に届く光の量が変わります。つまり、星が明るく見えたり暗く見えたりするわけです。それを、とても短い時間間隔で繰り返すので、「またたき」として見えます。
惑星でも同じことが起こりますが、惑星の場合は、明るさの変化が、視直径の範囲内に収まります。望遠鏡で見ると、惑星の表面がゆらゆら揺れているように見えるだけで、明るさは変化しません。

今夜晴れたら、火星は瞬かないけど、それ以外の星はみんな、瞬いていることを確かめてみましょう。










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