ブラックホール  1



天体観測会の講師として小学校に行くことがありますが、小学生はブラックホールが大好きなんです。ブラックホールの話になると、次から次に質問が出て、話が止まらなくなります。みなさんもブラックホールという言葉は知っているでしょうが、それがどういうものなのか、子供でもわかるように説明できるでしょうか?
今回は、ブラックホールの話です。

ブラックホールというのは、強烈な重力を持つ天体で、すべての物を引っ張り込んでしまいます。すべてと言う中には、光も含まれます。光さえも吸い込んでしまうということは、ブラックホールからは光が出てこないので、「見えない」ということです。宇宙のバックグラウンドと同じ、まっ黒なので見えません。

   一昨年、ブラックホールの写真が撮影されましたよね?

 
世界で初めて撮影されたブラックホールの画像


ブラックホール自体は見えませんが、ブラックホールに吸い込まれようとしている天体は、粉々に破壊されて、ブラックホールの周りにドーナツ状に広がります。そこからX線が出ます。ブラックホール自体は真っ黒ですが、その周りにX線の光が見えます。ブラックホールの写真で、ドーナツ型に光っているところは、ブラックホールに吸い込まれようとしている天体が出したX線なのです。中心の黒いところのさらに中心に、ブラックホールがあります。

   ブラックホールは、どうやってできるのですか?

太陽の10倍以上大きな星は、寿命の最後に超新星爆発します。オリオン座のベテルギウスが、近いうちに超新星爆発すると言われていますね。超新星爆発というのは、星全体が一瞬にして吹き飛ぶわけではありません。星というのは、ものすごく大きいものです。超新星爆発は、星の表面でもなく、中心でもなく、中間で起こります。そこから、爆発が内側と外側に広がっていきます。

   いっぺんに星が吹き飛ぶわけではなくて、じわっと、爆発が進んでいくのですね。

最初に爆発が起こったところより外側は、外に向かって星が吹き飛びます。でも、その内側は、どうなるでしょう?
爆発の圧力が内側に向かうわけですから、内側はものすごい力で圧縮されます。その圧力が半端なくて、原子も押しつぶしてしまいます。

   原子が押しつぶされると、何になるのですか?

中性子のかたまりになります。ほとんどの原子は、+の電気を持った陽子と、―の電気を持った電子と、電気を持たない中性子でできています。陽子と電子は同じ数だけあります。地球上では考えられないくらい、強い圧縮力が働くと、陽子の中に電子が取り込まれて中性子になります。その結果、陽子と電子がなくなって、星全体が中性子のかたまりになります。そうなると、猛烈に密度が高くなり、猛烈に重力が強い星になります。
非常に大きい星が超新星爆発して、中性子星になると、重力がとんでもなく強くなって、自分の重力で自分自身を押しつぶしてしまいます。そうなると、星は無限につぶれていきます。そうなった天体がブラックホールです。中性子が無限に押しつぶされていく世界というのは、想像ができませんね。私たちの常識では想像できないことが起こって、ブラックホールができます。

以上は、中程度の大きさのブラックホールの出来方です。銀河の中心には、巨大なブラックホールがあります。それとは反対に、ものすごく小さなブラックホールもあるようです。それらがどうやってできたのかは、まだ、わかっていません。

次回も、ブラックホールの話の続きになります。











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