ブラックホール  1



前回は、ブラックホールはどうやってできるのか、という話でした。今回はその続きです。
太陽よりもはるかに大きな星の寿命が尽きて超新星爆発すると、その星の中心がブラックホールになるのでした。

   遠い将来、宇宙旅行ができるようになったときも、ブラックホールは見えないわけですよね。
   宇宙船がブラックホールに近づいてしまったとき、何が起こりますか?

ブラックホールの重力に捕まると、そこに吸い込まれます。脱出する方法はありません。

   脱出できないのですか!
   宇宙船がブラックホールに吸い込まれるときには、何が起こるのですか?

星でも宇宙船でも、一直線にブラックホールに吸い込まれることはありません。ブラックホールに捕まると、その周りをぐるぐる回ります。回りながらブラックホールに近づいていきます。でも、ブラックホールを回っている間に、強烈な潮汐力が働きます。

   潮汐力というのは、どういうものでしょう?

地球上で、潮の満ち引きが起こる原理と同じなのですが、あまりにも強い力なので、宇宙船は、分子レベルまで粉々に引き裂かれます。ブラックホールに捕まったら、吸い込まれる前に、粉々になってしまうのです。
天体の重力を振り切って、その天体から離れるために必要な速さがあります。それを脱出速度と言います。

   地球にも、脱出速度がありますよね。

地球の場合は、秒速約11kmです。大雑把に言うと、宇都宮から鹿沼まで、1秒で行ける速さです。ロケットをそれ以上の速さに加速しないと、地球の重力を振り切って、火星や小惑星などに行くことはできません。脱出速度に達しない場合は、地球の周りを回る人工衛星になります。

   ブラックホールの脱出速度は、光の速さを超えるのですね。

光の速さは、秒速約30万kmで、1秒ちょっとで月まで行ける速さです。宇宙船をそこまで加速しても、ブラックホールから脱出はできません。宇宙には、光の速さより速いものは存在しません。ですから、すべての物体、さらには光でさえ、ブラックホールから外に出ることはできません。ブラックホールというのは、宇宙の中でも特別な場所です。



6月22日 20:20の西に地平線付近


ところで、全く別の話ですが、今日から今月いっぱいぐらいまで、夕方、西の低い空で、火星とプレセペ星団が接近して見えます。プレセペ星団というと、かに座にある天体で、かにの甲羅の真ん中にある大きな星団です。双眼鏡でよく見えます。
赤い火星は肉眼で見えます。双眼鏡をお持ちの方は、そちらも見てみてください。











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