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春の星空
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3月も中旬になりました。暖かくなってきて、桜の季節も近づきました。
今週の星空の見所は、何かありますか?
今週は、満月の週です。夜空に月があって、星を見るのには不都合です。今週はお月見の週ですが、晴れた日に毎日、月を観ると、形が変わるのと同時に月の位置が東に移動して行くのがわかります。今週はそのあたりをよく見てみてください。
ところで、満月が過ぎて星が見えるようになっても、春の星空には天の川がありません。そして、春以外の季節に較べて星の数が少なくて、寂しい星空です。
春の星空は、どうして星の数が少ないのでしょう?
春の日本付近の夜は、銀河面に対して、垂直方向が見えています。
いきなり難しそうなお話ですね。
言葉は難しそうですが、わりと簡単な話です。私たちがいる「天の川銀河」を含めて、ほとんどの渦巻き銀河は、上から見ると渦巻き型ですが、横から見ると薄っぺらです。
CDやDVDの円盤みたいな感じですか?
銀河の中心部は膨らんでいて厚みがありますが、イメージ的にはそんな感じです。
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左:M101 右:NGC4565 |
「銀河面に対して垂直方向」というのは、その円盤に対して、直角な方向ですね。
DVDを水平に置いたら、上方向と下方向です。その方向には星がありません。太陽もそれ以外も、大部分の星は円盤の内部にあります。
DVDって、すごく薄いですけど、その厚みの中にしか、星がないのですか?
実際の銀河円盤は、DVDよりは厚いですが、星の大部分は円盤の内部にあります。日本から見える春の夜空は、星がない方向を見ています。太陽系の近くにある星は見えますが、その先には星がありません。天の川も、地平線をぐるっと360°取り巻いていて、空には見えません。
そういうわけで、春の夜空は星が少ないのですね。
星だけではなくて、宇宙空間に浮いているチリやガスなどもごくわずかしかありません。ですから、見通しがいいんです。宇宙の遙か彼方まで見えます。
宇宙の果てが見えますか?
果ては... 見えません。見えるのは、過去の宇宙です。
過去が見えるのですか?
遠い宇宙から来る光は、光の速さで飛んできても、地球に届くまでに何十億年もかかります。もし50億年かかっていれば、50億年前の姿を見ているわけです。
タイムマシンに乗らなくても、何十億年も昔の宇宙を見られるのですね。
春は星が少なくて、寂しい夜空ですけど、遠くの宇宙を観測できる季節なのです。
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ハッブル宇宙望遠鏡で撮った画像
写っているのはほとんどすべて、遙か彼方にある銀河 |

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