宇宙の始まり  その2



先週は、この宇宙が生まれた一番最初について、お話ししました。

   それを説明するには、量子力学という理論が必要なのでしたね。

シュレディンガーという有名な物理学者がいました。彼は、量子力学という学問が、現実的ではないという証拠として、次のような例を示しました。

   量子力学というのは、最初は現実的ではないと思われていたのですか。

そうなんです。その例というのは次の通りです。
密閉された箱の中に、1時間に50%の確率で、放射線を出す元素と、放射線を検出する装置を入れます。放射線が検出されたとき、青酸ガスを出す装置も入れます。その中に猫を入れます。猫は青酸ガスを吸うと死にます。この状態のとき、1時間後に猫が生きている確率は、何%でしょう?

   1時間に50%の確率で放射線が出て、放射線が出ると青酸ガスが出て、その瞬間に猫は死ぬわけですよね。 猫が生きている確率は、50%! です。

普通に考えれば、猫が生きているか死んでいるかの確率は半々の50%です。そのどちらなのかは、箱を開けるまでわかりません。

   確率が50%なら、猫は生きているか、死んでいるかの、どちらかですよね。

でも、量子力学では、箱を開ける前の段階では、猫が死んでいる状態と生きている状態の両方が存在するというのです。

   猫は生きていて、同時に死んでいるのですか?

箱を開ける前は、両方の状態が同時に存在して、開けた瞬間に、どちらなのかが決まる・・・というのが、量子力学です。

   それは・・・ 理解できませんね。

シュレディンガーさんも「そんなことあるはずないだろう!」と言ってます。でも量子力学では、猫ではありませんが、ごく小さな粒子が、存在している状態と存在していない状態が両立するのです。

   よくわかりませんが、その量子力学で、宇宙の始まりを説明できるのですね。

ところが、まだ、説明できません。説明するためには、量子力学だけではなく、相対性理論も必要です。

   アインシュタインですね。

その2つの理論を組み合わせると、なんとなく、宇宙の始まりを説明できるらしいのです。でも、量子力学と相対性理論という、2つの理論があってはいけません。1つの理論で、宇宙のすべてを説明できないといけないのです。

   2つの理論を組み合わせでは、いけないのですね。

宇宙のすべてを説明できる1つの理論を、「統一理論」と呼んでいます。でも、まだだれも、それを完成できていません。

   宇宙を理解するというのは、難しいのですね。

わからないから、世界中の科学者たちが宇宙を観測したり、スーパーコンピュータでシミュレーションしたり、頭の中で考えたりして頑張っています。

   宇宙がどういうふうにして生まれたかがわかるのは、いつ頃になるのでしょうか?

全然、予想ができません。100年後なのか、1000年後なのか、それとも10年後なのか・・・

   それくらいわからないのですね。

アインシュタインを超える、天才科学者が現れるのを、待たなければなりません。宇宙というのは難しくて、でも、夢のある世界です.。











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