ジェ-ムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡  その2



先週はジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の話をしましたが、前回に引き続き、今日もその話です。

   ウエッブ望遠鏡は、太陽と地球の延長線上にいるということでしたね。

地球の近くを飛ぶと、ロケット噴射などで、位置を修正しながら飛行する必要があります。 ところが、ラグランジュ点に入ると、何もしなくても常に同じ位置を保てます。

   そういう理由で、地球から遠く離れた第2ラグランジュ点に、ウエッブ望遠鏡を置いたのですね。

ウエッブ望遠鏡がいる、第2ラグランジュ点、L2というのは、太陽と地球をつないだ延長線の先、約150万kmにあります。月までの距離が、38万kmですから、月よりも遙か彼方です。そこから太陽の方向を見ると、常に太陽の手前に地球があって、太陽と地球が重なって見えます。

   ウエッブ望遠鏡がいるL2は、常に日食のような状態なのですか?

日食ではなくて、太陽の手前に、小さな地球がいる状態です。ラグランジュ点に入れば、今後ずっと、その状態を保ちます。

   でも、そんなに遠くでは、壊れても修理に行けませんよね?

ハッブル望遠鏡は、地表から約600kmのところを周回しています。そのあたりまでなら、スペースシャトルなどで修理に行けます。実際、ハッブル望遠鏡は何度も修理をしています。でも、ウエッブ望遠鏡には行けません。

   壊れたら終わり、ということですか。

そうなります。ですから、できるだけ壊れないように作られています。

   ハッブル望遠鏡のハッブルというのは、偉大な天文学者の名前でしたよね。
   ジェームズ・ウエッブというのも、天文学者の名前ですか?

ジェームズ・ウエッブというのは、アメリカのNASAの2代目長官の名前です。

   天文学者ではなくて、NASAの人ですか。

ウエッブさんは、人類が月に行ったアポロ計画など、アメリカの宇宙開発を主導してきた人です。

   学者さんではないのですね。

それは、かなり珍しいことで、名前が付くほど、NASAに貢献した人ということです。

   ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、これから何を観測するのですか?

美しい天体の姿を私たちに見せてくれますが、それはおまけのようなものです。まず、この望遠鏡で、ファーストスターを探します。

   ファーストスター・・・   それは、どういうものですか?

文字通り、この宇宙に最初に生まれた星です。この宇宙が生まれたのは、約128億年前です。その3億年ぐらい後、ファーストスター、つまり、宇宙で最初の星が生まれました。ファーストスターを見るということは、125億年前の宇宙を見ることになります。

   ファーストスターを探す以外の役割もあるのですか?

太陽以外の、恒星の周りを回る惑星を探します。そして、そこに生命がいるかを調べます。

   宇宙人を探すのですね!

宇宙人と言えるほどの高度な生命体かどうかはわかりませんが、地球にいる微生物程度の生命を見つけられるかもしれません。地球人は、宇宙の中でひとりぼっちではないことがわかるかもしれません。

   ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、これからも目が離せませんね。


下にある銀色とピンクの部分が日除け
そちら方向に、常に太陽がある









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