ZTF彗星  その2



前回は、今、地球の近くに来ているZTF(ズィー・ティー・エフ)彗星の話でした。引き続き、ZTF彗星の話になります。
ZTF彗星は今月2日に地球に一番近づいて、今日はそれから10日後ですから、まだ地球の近くにいます。

   先週は、満月前後の月があって、よく見えなかったようですね。

今週の彗星は6等星ぐらいなので、月がなくても双眼鏡で見ないと見えません。

   特別、明るい彗星というわけではないのですね。

ここ30年ぐらい、北半球の空には、明るい彗星は現れていません。6等星でもかなり明るい方です。

   若い人たちは、「君の名は。」に出てくるような、明るい彗星を見たことがないのですね。
   ZTF彗星は、地球とぶつからないですよね?

ぶつかりません。地球の軌道の外側を通過していくし、地球とは立体交差です。

   立体交差というのは、どういうことですか?

地球が太陽の周りを公転している面を黄道面と言いますが、ZTF彗星の軌道は、黄道面に対して70度以上傾いています。

   なるほど、立体交差ですね。それならぶつかりませんね。

ZTF彗星の大きさは、直径1kmぐらいらしいです。もし、そのサイズの彗星が地球に衝突したら、「君の名は。」の比ではない、大惨事になります。

   彗星でも、小惑星でも、地球に衝突するのは、よしてほしいですね。

1月30日のZTF彗星 (写野円4度)
地球に近づいた彗星は、かなりの速さで移動していきます
彗星の中心に合わせて望遠鏡を動かして写真撮影すると、彗星は静止して、星は線状に写ります


   ZTF彗星は、地球軌道の外側を廻っていくということですが、太陽からは、けっこう遠いですよね。

多くの彗星は、太陽に一番近い惑星の水星軌道の内側まで入ります。そこまで行くと太陽からの熱を受けて、表面が溶けて、溶けた物質が吹き出して、それが長いしっぽになります。

   ZTF彗星は、太陽に最も近づいても、地球軌道の外側ということですよね。
   それだと、彗星はあまり溶けないんじゃないですか?

地球と太陽の距離は、水星と太陽の距離の2.6倍ぐらいあります。太陽から受ける熱は、距離の二乗に反比例ですから、だいたい1/7になります。

   そうするとZTF彗星が太陽から受ける熱は、よくある彗星の1/10以下ですよね。

ZTF彗星は、多くの彗星ほど溶けないので、長い尾は出ません。

   でも、先週のお話では、それでもしっぽが出ているということでしたよね。

結構長いしっぽが出ています。よくある彗星並みです。

   どうしてそうなるのですか?

彗星の本体が大きいのでしょうね。溶ける割合が少なくても、全体が大きければ、それなりの量になります。

   大きな彗星なのですね。

これがよくある彗星と同じように、太陽のすぐ近くまで行ってくれたら、すごい大彗星になったのだと思います。

   そうなのですか・・・ 残念ですね。今は、どのあたりに見えますか?

昨日、火星の近くにいました。今夜は、火星から少し、アルデバランに寄ったところにあります。15日にアルデバランの近くに行きます。
双眼鏡をお持ちの方は、探してみてください。










戻 る