月探査


最近、月に探査機を送り込む計画が、各国で行なわれていて、また月探査が脚光を浴びるようになりました。日本も「SLIM」という探査機を、月に着陸させました。

   これは、かなりすごいことをしたのですよね。

狙った場所へのピンポイント着陸ですね。これまで各国がやってきたのは、探査機の着陸地点を決めますが、だいたい数kmから10数kmの円の内側に着陸できれば良しとしてきました。

   宇都宮市内のどこかに降りられればいい、ぐらいな感じですね。

これから月面に基地ができて、そこに人や物を届ける場合、基地から10km離れたところに降ろされたら、移動や運搬が大変なことになります。最低でも100m以内ぐらいのピンポイントで降りないといけません。

   月面基地への輸送と考えると、100mでも、誤差ありすぎですね。

今回の日本のSLIMは、トラブルがなかったら、10m以内ぐらいの精度で着陸できたようです。

   なにか、トラブルがあったのでしたよね。

もうすぐ着陸というところで、2つあるエンジンの片方が壊れました。2つのエンジンでバランスをとりながら着陸するはずが、片方が壊れたので、横方向に流れてしまいました。

   ひっくり返っちゃったんですよね。

ひっくり返って落ちたわけではなくて、正しく着陸できたけど、横に流れながら着陸したので、着陸したときに横向きの力が働いて、ゴロンと転がってしまったらしいです。

   正しく着陸した後に、転がってしまったのですね。


月面に着陸したSLIM (JAXA HPより)


それでも、目的のピンポイント着陸ができて、ミッションとしては、大成功です。最後の最後でエンジンが壊れなければ、大大成功だったのですけどね。

   それにしても、日本が世界で初めて、ピンポイント着陸に成功したわけですね。

キーになる技術は、「画像照合航法」と「自律的な航法誘導制御」です。

   それはどういう技術ですか?

日本は、以前、「かぐや」という探査機で、月を周回して、月面全体の精密な写真を撮りました。その写真を元に、月面のどこに降りるかを決めて、その近くの地形をSLIMに覚えさせました。SLIMは、自分のカメラで撮影した画像と、覚えた画像を照合して、自分がどこにいるかを把握します。そして、目標地点に行くには、どう飛べばいいかを自分で考えて飛行します。

   地球からの命令で飛ぶのではないのですね。

月と地球で通信すると、3秒ぐらい時間がかかります。飛行の制御が3秒遅れたら、もう手遅れになってしまいます。

   地球から離れたところにいる探査機は、自分で考えて飛行する必要があるのですね。

SLIMの成功で、月面にピンポイント着陸する技術ができました。これから、アメリカなどが月面に基地をつくっても、日本の技術で、そこに人や物を運べるようになりました。これは大きな進歩です。

   これまでは、月面基地というのは、SFの世界の話でしたけど、これから現実のものになるのですね。

これからも各国で月探査を行って、大量の氷を見つけたら、そのあたりに基地をつくるのでしょう。

   水というか、氷というか、月にあるのですか?

月の北極と南極にある太陽の光が当たらないクレーターの底に、あるらしいです。

   近い将来、日本人宇宙飛行士が月に行く可能性があるみたいだし、これからの月探査の成果が楽しみですね。











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