中秋の名月


9月も中旬になりました。今週、明後日火曜日が中秋の名月です。

   明後日が十五夜ですか。星を見る人たちにとっては、満月は嫌われ者ですけど、この日は、中秋の名月を愛でたいですね。

何十年か前までの日本では、どこの家でも中秋の名月の日に、南の縁側にススキやお団子などを飾って、十五夜をお祝いしていました。

   そうでしたね。今でもそれをやっているご家庭があると思いますが、貴重な存在になってしまいました。

すでに亡くなっている私の両親は、私が子供の頃、毎年、十五夜飾りを縁側に出していました。私はススキを採ってくる係でした。

   そんな時代がありましたね。

ススキは都会でも生えていると思いますが、十五夜のお飾りを出す、「縁側」というものがなくなりましたね。

   昔ながらの日本家屋は、少なくなりました。

縁側が無いと、十五夜のお飾りが出しづらいですね。でも私の家は、南側にウッドデッキがあるので、そこに十五夜飾りを出せます。

   家の南側に、ウッドデッキや広いバルコニーなどがあるご家庭は大丈夫ですね。

星好きのみなさんは、満月が見えるところに、少しだけでも十五夜飾りを出して、中秋の名月を味わってみてください。

   中秋の名月を愛でる文化は、大切にしたいですね。

そうですね。ところが、今回、ちょうど満月になるのは、18日の昼頃です。

   17日が中秋の名月なのに、満月じゃないのですか!?

中秋の名月というのは、旧暦の8月15日です。旧暦、つまり太陰暦は、月の満ち欠けを基準にして作られた暦なのですが、多少の誤差があって、旧暦の15日が、必ず満月になるとは限りません。

   今回は太陰暦が、1日ズレたのですね。

火曜日に見える月も、肉眼で見ればまん丸です。でも天体望遠鏡で見ると、月の東側に影のあるクレーターが見えます。ちょうど満月の時には、影のあるクレーターは見えません。

   満月の時は、月の真上から太陽の光が当たっているので、クレーターに影ができないのですね。

そうなんですが、月面全体のクレーターに全く影がない日というのはありません。そういう条件になる日は、皆既月食になります。

   どういうことですか?

地球から見て、月の真上に太陽がある日というのは、太陽と地球と月が一直線上に並ぶ日です。そのときは、地球の影が月に映ります。それを皆既月食といいます。

   月のすべてのクレーターに影ができなくなる日は、皆既月食になるのですね。

そうなんです。ですから地球からは、影のあるクレーターがひとつも無い月を見ることはできません。


満月


今月はそれ以外に、もうひとつ、天文現象があります。

   まだ他にあるのですか。

18日の明け方、月と土星が並んで見えます。月はほぼ満月です。

   満月と土星が並んで見えるのですか。

月の方が圧倒的に明るいですが、月の右下をよく見ると土星を見つけられます。

   今週は、中秋の名月と、月と土星の接近、このふたつの天文現象が見られるのですね。当日、晴れることを祈りましょう。


18日3時の西の空









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