春分の日



今週20日は春分の日で祝日、休みになる人が多いですね。
過去のこの番組で、春分の日の前には、春分の日は休日にするくらい大切な日だ、という話や、春分の日は昼間の時間の方が長い、という話をしました。春分の日の太陽の位置というのは、天文学ではとても大切なもので、すべての天体の位置を表す基準点になります。そして、春分の日は、昼と夜の長さが同じになる日といわれていますが、実は、昼の方が長くなります。

   私たちは、春分の日は、昼と夜の長さが同じになると教わってきましたが、昼の方が長いって、ウソを教えられた気がします。

どうして違うのかは、ななつがたけ北天文台のHPで、過去の放送内容を見ていただくと分かるのですが、今日はあらためて、その話をしたいと思います。

   「日の出」と「日の入り」という、言葉の定義の問題だというのは覚えています。

昼の方が長くなる理由が2つありますが、ひとつはそれです。「日の出」というのは、どの瞬間を言いますか?

   太陽の一番上が地平線から出たとき・・・ですよね。

そうです。でもそのときは、太陽の中心はまだ地平線の下ですよね。日の入りは?

   太陽が全部地平線に沈んで、見えなくなった瞬間です。

そうですね。でもそのとき、太陽の中心は、その前に地平線の下に沈んでしまっています。その、日の出と日の入りという言葉の定義のために、昼が長くなってしまいます。

   太陽の中心が地平線から出た時を日の出として、太陽の中心が地平線に沈んだ時を日の入りとすれば、昼と夜の時間が同じになるのですか?

昼が長くなるひとつ目の理由は、それで解決します。春分の日は、太陽の中心が地平線から出て、太陽の中心が地平線に沈むまでの時間を昼とすれば、昼と夜の長さが同じになります。

   でも、太陽の中心が地平線から昇った時刻って、見ても分かりませんよね。

そうですね。分からないので、太陽がちょっとでも出た瞬間を日の出としています。

   日没もそういうことですね。でも、昼間の方が長くなってしまう理由が、もうひとつあるのですよね。

地球に空気がなければ、先ほどの理由だけで昼と夜の長さが同じになります。

   ・・・ということは、二つ目の理由は、地球の空気に関係があるのですね。




大気による浮き上がりです。

   大気による浮き上がり・・・ですか。

地平線近くに見える天体は、空気によって屈折して、実際の位置より上に見えます。実際は太陽がまだ地平線の下にあるのに、地平線から出てしまいます。

   どのくらい屈折するのですか?

0.6度ぐらいです。太陽の直径が0.5度なので、太陽の大きさ1個分ちょっとです。太陽1個分動くのに約2分かかりますから、2分ちょと日の出が早まるわけです。

   日の入りの方も、やはり浮き上がって見えて、同じだけ日の入りが遅くなるのですね。

両方合わせて4分ちょっと昼が長くなります。最初の理由で約2分、昼が長くなります。

   両方合わせて、6分ぐらい、昼が長くなるのですね。

昼が6分長いと、夜は6分短くなりますよね。昼の長さと夜の長さは、12分違うことになります。

   そうですね。6分だとちょっとした違いですけど、12分というとかなり違う気がします。

みなさんも、そんなことを考えながら春分の日を過ごしてください。










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