天の川ってそもそも何なの?

天の川は、地球からも火星からも同じように見えます(見えるはずです)。それどころか、全宇宙の中、ほとんどすべて、どこの星に行っても天の川は見えます。ただ、場所により天の川の形が違います。形の違いはありますが、どこの星からでも天の川は見えます。

天の川とは、いったい何なのでしょう。


図2の写真はM101という渦巻き銀河です。宇宙にはこのような天体が数限りなくあります。しかし、どれも非常に遠くにあるため、望遠鏡を使っても目で見ることができるものはごくわずかです。

渦巻き銀河というのは、太陽のような星がたくさん集まってこういう形になっています。どれくらいの数の星かというと、1000億個ぐらい。この数倍の星が含まれるものもあれば、数分の1のものもあります。形も様々ですが、このような天体を「銀河」と呼びます。いずれにしても、銀河は星の大集団です。星(恒星)は1個だけ単独で宇宙空間に存在することはほとんどありません。銀河を構成する1個の星として存在します。

太陽も銀河に含まれる星のひとつです。太陽が属している銀河を「天の川銀河」といいます。昔は「銀河系」と呼んでいました。天の川銀河は、M101のような渦巻き銀河ではなく、「棒渦巻き銀河」であることがわかっています。下の図1のような形だと考えられています。



図1                              図2


上の図1と図2は銀河を真上から見たものですが、これを横から見ると下の写真(図3)のようになります。写真はNGC4565という銀河。渦巻き銀河や棒渦巻き銀河は、横から見るとどれもだいたい同じで、天の川銀河も横から見るとこれと同じような形です。


図3


ここまでは、天の川と直接関係なさそうな銀河の話をしてきました。ここからが天の川の正体の話です。

上の図2・図3の中に「A」という文字が入っています。これは天の川銀河の中での太陽の位置を表しています。太陽は中心からはかなり離れた端に近い方にあります。Aの位置に地球があると思っても同じです。そこに私たちがいます。
図3のAの位置に、小さくなって入り込んでみてください。

外側から見ると、星がぎっしり詰まっているように見えますが、中に入ってみると宇宙は広いんです。星と星の間隔はかなり広くあいています。すぐ隣の星まででも、1光年以上離れています。1光年というのは、太陽と地球の距離の約63,000倍です。近くの星は意外とまばらに見えますが、遙か彼方に無数の星が取り巻いています。

まず、図3のAの位置から、真上方向を見てください。星の数が一番少ない方を見ています。渦巻きは薄いので、目の前にある星が見えるだけで、その奥には真っ暗な宇宙空間が広がっています。地球の北半球からこちらが見えるのは春です。春は星の数が少ない季節です。その代わり宇宙の奥深くまで見え、遙か彼方にある銀河が、小さくですがたくさん見えます。

今度は銀河の中心方向(右)を見てください。遙か彼方にたくさんの星が重なり合って見えます。近くにある星は1個1個の星として見えますが、遠くにあるたくさんの星たちは、全体として面積を持って光っている光の帯のように見えます。これが地球から見る天の川です。北半球がこちらを見やすい位置に来るのは夏です。ですから、夏は星がたくさん見えるし、天の川も濃く見えます。反対側(左側)にもたくさんの星がありますが、右側に較べれば星の数はかなり少なくなります。こちら側が冬に見える天の川です。

私たちは夏の天の川とか冬の天の川とか言いますが、天の川は地球の周り(正しくは太陽の周り)をぐるっと1周取り囲んでいて、つながっています。どの方向を見るかによって、明るい天の川だったり暗い天の川だったりします。
天の川は地球に対して、斜めに周りを取り囲んでいます。日本の春に見える天の川は南半球側にあり、日本からは見えません。逆に南半球では、日本の秋には天の川が見えません。

天の川というのは、我々の太陽が属している天の川銀河(銀河系)自身を内側から見ているのです。

下の写真は南半球から見た天の川。上の写真の中心部と似てますよね。





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