ななつがたけ北 天文台 の紹介         トップへ

    (こちらは個人天文台です。一般公開はしていません)



一天文ファンが、個人で手作りに近い形で作った天文台です。
土台となる基礎は、オーナー1が設計し地元の鉄工所が製作。望遠鏡の基本部分は昭和機械製。ドームの半球部分はニッシンドーム製。観測室と望遠鏡の周辺機器は、オーナー1の日曜大工で作りました。

ななつがたけ北天文台の概略を紹介します。
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位置

福島県南西部の南会津町に七ヶ岳(ななつがたけ 標高1636m)という山があります。
その北側斜面、「だいくらスキー場」の近くにあります。
      
* 地図参照

福島県南会津郡南会津町針生の周辺地図
環境
七ヶ岳からその北方にある駒止湿原の間にある針生地区は、周りがほとんど高い山に囲まれています。
それらが「ついたて」となり、関東平野や周辺都市から来る光を遮ってくれます。
その内側には、大きな町や明るい光を出す施設がありません。
冬季は「だいくらスキー場」の夜間照明がありますが、比較的早い時間に消えます。


ここの良い点
 ・空が暗い
 ・標高が800m以上あるので地表付近のモヤの影響を受けにくい
 ・涼しい、蚊がほとんどいない (かつてはいなかった。最近、進出してきた)
 ・山奥としては交通の便がいい
 ・近くのペンションに宿泊した場合、快適な生活ができる
 ・近くに自然や伝統を楽しむための施設や観光地が多い。温泉もある
 ・光ケーブルによるインターネット利用可
 ・携帯電話が3社とも普通につながる (ある意味、欠点でもある)

 空の暗さでは、首都圏に住む天文ファンには最後に残された楽園と言ってもいいでしょう。
 車なら東北自動車道「西那須野」インター(栃木県)から約1時間。
 車での遠征でも、ペンションに宿泊すれば大変便利で楽です。たとえ曇っても楽しく過ごせます。
 ペンションの庭先でも望遠系ならば写真撮影が可能です。そこならAC電源が引けます。
 ペンションから歩いて3分程度のところに魚眼レンズで全天撮影可能な場所もあります。
 実際に宿泊したい場合は、こちらのペンションをおすすめします。

             
 オーナーは長年、天体観測や野鳥観察、自然観察をしてきている方で望遠鏡や双眼鏡も多数あります。


良くもあり悪くもあり
  冬期の夜は−15℃の天然冷却


この付近の悪い点
 ・日本海側の気候で、冬は大雪が降り、めったに晴れない (まれに晴れたときの空はすばらしいが・・・)
 ・車で行く場合(車でしか行けない)、スタッドレスタイヤが必須
 ・民家のないところに入ると熊と会う
 ・山間部のため、雲や霧が出やすく、天気が不安定。


 2006年初めの冬は、最大積雪3mでした。これは地元でも記録的な大雪だったようです。



これは、天文台建設前の観測室ベースと望遠鏡用台座です。
左の写真で、木の奥にある雪の巨大マッシュルームがわかるでしょうか。
右は雪が少し解けた後の写真です。
右の写真のところに雪が積もると、自然に左の写真のような形ができます。
(ほぼ同一縮尺になっていますが、撮影位置が多少違います)

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設備

下側が四角形で上側が円形の観測室に、ニッシンドーム製3.25mドームがのっています。
ドームは豪雪対応でワイドスリット仕様です。


観測室の上に円形部分があるのは、主に雪対策です。本来は全体が丸形観測室の方が良いわけですが、四角形の方が角に物が置けるため、この形になりました。壁面の一番下が床ではありません。床の位置は、茶色い壁面の上から2/3あたりにあります。
「天文台製作記」参照


望遠鏡は、昭和機械製作所製25Eエルボ型赤道儀に
35cmF4ニュートン反射主鏡がのります。
これは納入時の状態。サブ望遠鏡が多数あり、
用途に応じて使い分けます。

機材は完成直後の状態。ここから大きく改造、追加されています。

「観測機材」参照
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この天文台では、いろいろな天体を肉眼で観望することを第1に考えています。

主鏡を35cmF4ニュートン反射と決めた理由は、

 1.暗い星雲を見るためにある程度の集光力がほしい(40cmクラス)
 2.低倍率にしたとき、実視界の広さは最低1度、できれば1.5度ぐらいほしい
 3.天体写真も必要なときには撮るが、あまり労力をかけずに撮れた方がいい(Fは明るい方がいい)
 4.赤道儀は昭和機械の25Eと決めていたので、サブ望遠鏡も含めてその積載能力以内の重さ
 5.金額的にあまり高価にならないもの

本当は、昭和機械の40cmか35cmのF2.8プライムフォーカス兼F6リッチークレチアンが魅力的だったのですが、写真撮影のウエイトが高い鏡筒だし、高価になるため断念。安くて明るいものとなるとニュートン反射しかありません。また、広い実視界を得るのに必要な広角長焦点アイピースは40mm程度までしかないため、主鏡側は短い焦点距離でなければいけません(最長でF6)。反面、短焦点放物面鏡は視野周辺のコマ収差が大きくなり、そのままでは実用的ではありません。これはコマコレクターの「パラコア」を使うことで解消します。

35cmF4にパラコアを併用するとF4.6、f1600mmとなります。F4.6の場合、30mmアイピースで有効最低倍率になります。倍率53倍、見かけ視界65度なら実視界1.2度、見かけ視界80度なら実視界1.5度程度になります。明るさと実視界のためにはこのあたりが限界です。鏡筒の重量的にもこのくらいまでです。


こうして35cmF4ニュートン反射となりましたが、実はこのニュートン主鏡、中心に穴が開いていてバッフルも付いています。将来的には、鏡筒前側のニュートン焦点機構部分を丸ごと交換して、プライムフォーカスもリッチークレチアンも可能な構造になっています。


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肉眼で星を見る場合、望遠鏡の口径によって見え方がかなり違います。当然といえば当然ですが、対象によっては、一番大きい望遠鏡が一番きれいというわけではありません。口径や光学系の違いで、見え方もいろいろなので、サブ望遠鏡を多数用意しました。今回、同時に購入したものもありますが、多くはオーナー2がすでに持っていたものをすべて同架可能にしました。
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ななつがたけ北天文台は、実際のところ、「天文台」というほどのものではありません。「観測所」と称した方が現実に合っています。しかし、一般の人から見ると、ドームがあって大きな望遠鏡があるところは「観測所」とか「ドーム」とか言わないで、「天文台」と称しないと理解してもらえないようです。したがって、ここは一般人の感覚に合わせた名称にしました。
実際、近所のペンションに来たお客さんが、「あんなところに天文台がある!」といっているのをよく耳にします。ドームの中でそういう声を聞くと「やっぱり、これは天文台なんだね」と思ってしまいます。





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