しばしの休憩のち、早速コルリ材を探して森を彷徨った。
しかしながら、それらしい材は在るのだが一向にマークが見
付らない。とりあえずそれっぽい落ち枝は削って見るが、食
痕が走るものがなく、やや気持ちは諦め掛けていた。

そして赤枯れとは行かないまでも、オレンジ枯れをした材を
見付けたのでナイフを入れてみた。細い食痕が走っている。
マダラクワガタに淡い期待を寄せるが、幼虫の姿すら見る
事は出来なかった。

標高はプロトレックで650mを表示している。う〜ん、やっぱ
りこの標高では難しいのであろうか・・。

ほぼ諦めて、腰を伸ばして森全体を眺めてみる。斜面を登
ろうともしなかった悪友が『アァ〜ア、アァ〜〜!』などと雄叫
びをあげて蔓にしがみ付いている姿が見える。

友よ、その気持ちはよ〜く分かるが、残念ながらその蔓では
、君の体重は到底支える事が出来ない・・。諦めろ。(T-T)

一発その無残な姿を画像に収めて、替え難い現実を突きつけてやろうと、カメラを構えている所に息子の声が響いた。
『あった〜〜!』

私の居る所まで、必至に息子が上がってきた。手にはだい
じそうに材が握られている。
息を切らせて言葉が出ない息子が、そっと私に材を手渡し
た・・。

おお!本当だ!(@@;

ここでのコルリの採集は未記載である。事実上の新規開拓
である。でかした!息子君。(^^

これで栃木県のコルリクワガタの分布も、ある一つのライン
が見えてきた。なかなか面白くなってきた。他には無いかと
辺りを探していると『マークは無いけど、これってコルリの糞
っぽくないかなァ・・』と表面がボロボロの材を拾い上げた。

息子にこの斜面でナイフを渡すのも危なっかしいので、手で
割って見ろ・・と言うと、そっと端の方から割り始めた。私は
引き続きコルリ材とマダラ材を探す。

すると行き成り息子が大きな声で叫んだ。

『いたァ〜!』

ええ!マジっすか?(@@;
手のひらを見ると、♀なコルリが2頭蛹室に入っているのが
見えた。紫色の個体といつもの銅色の個体である。コルリで
紫色の個体は始めてみた。(^^

その後、要約私にもコルリ材が見付るようになったが、成虫
を出すことは出来なかった。カミキリの幼虫と数頭のコルリ
の幼虫を採集して、今日の採集を終える事にした。

北向きの急斜面の向こうでは、『アァ〜ア、アァ〜〜!』に思
いを馳せる悪友が、蔓にまとわりつきながら、私と息子の帰
りを待った居るのであった。

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