
高速道路をのろのろと走っていた車があったので、警官が止めた。
運転手は、ある大臣だった。
警官:制限時速は100キロですよ、大臣。どうしてそんなにゆっくり走ってるんですか?
大臣:私だって免許は持っているのに、今までずっと人に運転させてきたから、
たまには自分で、運転してみたかっただけなんだ。
何?100キロだって?そんな馬鹿な。私だって、標識くらい読めるぞ。
ここに来るまで、ずっと「35キロ」って書いてある標識がたくさんあったんだ。
警官:大臣、それは制限速度じゃないですよ。35っていうのはこの道路の番号ですよ。
大臣:何?ああ、そうだったのか。そりゃ、すまん。どうもありがとう。
これからもっと気をつけなくっちゃな。
そのとき警官が後部座席でブルブル震えている、大臣の秘書らしい男に気がつく。
警官:ちょっと、大臣。後ろに座っている秘書の方はどうかなさったのですか?
大臣:ああ、私らさっきまで、どうやら190号線を走っていたらしいんだ。
医者と建築家と政治家が、バーで飲んでいた。
会話が進み、やがて、この世で最も古い職業は何か?という論争になった。
医者が、主張する。
「かつて神は、アダムの肋骨の一部を取り出して、イブを作りたもうた。
これは、世界最初の外科手術と言える。
したがって、最も古い職業は、医者なんだ。」
それに対して、建築家が反論した。
「天地創造の第一日目、神はまず、混沌の中から、天と地を作りたもた。
だから、建築家という仕事の方が先だよ。」
すると、大臣の経験もある政治家。含み笑いをしながら、ふたりに話しかけた。
「その”混沌”を作り出したのは、誰だと思うんだ?」
臓器移植技術が向上し、ついには人間の脳の移植までが、可能な時代になった。
あるお金持ちの老人が、自分の脳に衰えを感じ始め、
脳バンクに、移植の相談に行った。
応対に出た脳バンクの担当者は、手もみをしながら脳の保存庫に案内した。
「ここには、世界中の優秀な脳が死後すぐに集められて、冷凍保存されております。
どうぞお好きなだけ御覧になって、ご検討下さい。
お客様のお気に入りの脳が見つかりましたら、すぐにお客様の記憶を転送し、
現在お使いの脳との、交換手術を執り行ないますです、はい。」
「ふむ。ずいぶんといっぱい置いてあるもんだね。全部見るのも大変だ。
でも、どれを選んでも値段は同じ、というわけじゃないんだろう?」
「はい、それは仕方ありません。貴重な脳ほど、お値段の方も割高になります。
例えば、こちらの5万ドルのは、とある有能な若手実業家の脳です。
そして、その隣りの6万ドルのは、才能あふれた音楽家の脳です。
反対の棚のそれは、不慮の事故死を遂げた天才科学者の脳で、10万ドルになります。」
「ふぅん、まぁ、思ったほどは高くはないんだね。
おや?この脳には、100万ドルもの値札がついておるね。これは?」
「ああ、これは極東の某島国の、ある大臣の脳なんです。」
「ほほぅ〜?その大臣というのは、よほど優秀な大臣だったんだろうね。」
「いえいえ、そういうことではないんです。
若い頃から何度も当選を繰り返し、けっこうなお年だったんですが、
在任中、官僚任せで自分では何も考えてなかったんでしょうね、
脳が、まったく使われてなくて、ほとんど空っぽに近い脳なんですよ。
大人の脳でこれほど真っさらなのは貴重でして、一番の人気商品なんです.....。」
ある小学校を訪問していた某国の某大臣が、あるクラスで子供たちに問題を出した。
「誰か『悲劇』の例を挙げられる子はいるかな?」
小さな男の子が手を挙げ、立ち上がって答える、
「隣に住んでる一番仲のいい友だちが、道で遊んでいます。
そこへ車が来てひき殺されちゃったら、それが『悲劇』だと思います。」
「いや。その場合は、『不幸な事故』と呼んだ方がいいな。」大臣が答えた。
今度は女の子が手を挙げた。
「修学旅行中に、わたしたちクラスの全員が観光バスに乗っている時、
それが崖から落ちてみんな死んじゃったら、『悲劇』だと思います」
「残念だがね、そういうのは『大きな損失』って言うんだよ。」大臣が答えた。
子供たちは考え込んでしまって、教室は静まり返り、誰も手を挙げようとしない。
大臣が言う、「どうしたんだね、みんな?『悲劇』の例を上げられる子は誰もいないのかな?」
すると、後ろの方に座っていた男の子が手を上げた。そして、自信なさそうに言った。
「大臣のあなたを乗せている専用飛行機が爆弾で吹き飛ばされたら、
それが『悲劇』じゃないですか?」
「素晴らしい!」大臣は顔をニコニコさせた。
「すごいよ、君。それは立派に『悲劇』だ。
で、教えて欲しいんだけど、どうしてそれが『悲劇』だと思ったの?」
「だって、これなら『不幸な事故』じゃないし、
それに『大きな損失』でもないから、と考えたんです。」
ある大臣とその秘書のひとりが、仕事を終えて事務所でくつろいでいる。
テレビでは、夕方6時のニュースをやっていた。
そのニュースにマンションの屋上から飛び降りてやると言って脅かしている男が映る。
「ヤツは飛び降りないと思うな。どうだ、1万円賭けないか?」と大臣が秘書に持ちかけた。
「いいですよ。その賭け、乗りますよ。」と秘書。
結局、男は飛び降りてしまい、大臣は秘書に1万円を払おうとした。
「あ、大臣、いいですよ。受け取れません。」と秘書。
「でも、賭けは賭けだ。受け取りたまえ。」
「いえあの、正直に言いますと、お昼のニュースで同じ場面を見てたんです。
だから受け取れません。」
「オレもそれ、見てたよ。でもまさかヤツが、また飛び降りてしまうなんて思わなかったんだ。」
大道芸の若い腹話術師が、小さな町の広場で興行をしていた。
いつも通り、お得意の政治風刺ジョークを連発していたところ、
後ろの方からズカズカと腹話術師の前に進み出て、大声で怒鳴り始めた人がいた。
この近所に住む、名の知れた大臣であった。
「政治家を馬鹿にしたジョークなんてもうたくさんだ、いい加減にしろ。
どうやったらそんなに偏見を持って、政治家を見ることができるのだ?
お前みたいなヤツがいるから、ちょっとしたことでもマスコミに馬鹿にされるし、
持ってる力を十分に発揮できないんだ。
お前みたいなヤツが、日本の政治そのものを停滞させてしまっているんだ。
...我々は、そんなに馬鹿でもないし、マヌケでもないぞっ!」
大臣の剣幕に、腹話術師はうろたえてしまって、謝罪し始めた。
すると、さらにその大臣は、甲高い声で叫ぶ。
「お前は黙ってろ。オレが話してるのは、お前の膝の上の、そのイケ好かない奴の方なんだっ。」

