食事を校内にあった食事処ですまし、再び体育館へと向かう。
「ところで、順番どうしようか。誰が一番に入る?」
歩きながら、叔父がそういえばと聞いてくる。
「僕は何番目でもいいよ」
「うーん、最後は嫌だけど、それ以外なら何番でも……」
なんでも、ミラーハウスは一人で入るのが原則で、私語厳禁だそうだ。
ついでにGPS付きらしく、いつまで経っても出てこない場合は救援措置もあるそうな。
「そうか。じゃあ、くじ引きで行くか?」
叔父は整理券を取り出し、トランプの要領で混ぜると、
「どっちでもいいから引いてごらん。引いた順番で入ろう」
迷うそぶりを見せた初良に、
「先に引きなよ。僕は後でいいから」
「いいの?」
「ほら、引け」
「うー、じゃあ、これっ」
まず初良が引き、
「じゃ、僕はこれを」
次に僕が引き。残りを叔父が。
「あー、ぼく2番だ」
わーいと初良が喜ぶのを見ながら自分のを確認すると、
「1番だね。じゃあ、寛さんが最後の3番目」
……なんだか叔父の顔がほっとしたように見えたのは気のせいだろうか。
体育館に行くと、受付とは別の人が案内をしてくれた。
「入場は一分間隔毎になります」
そう言い、彼はカードのようなものを手渡す。
「こちらはGPSです。1時間経っても出口まで到達できない場合には、係の者がお探しし、ご案内しますので、なくさないようお気をつけ下さい」
閉じられたドアの前に立ち、入場時刻を待つ。
――と。
「入場十秒前です」
ドアが開かれ、黒いカーテンが現れる。
カーテンを人が一人通れるくらいだけ開き、案内役は「どうぞ、スタートです」と入口を閉ざした。
右も左も後ろも前も上も。全てが鏡。
中は明るい。
とりあえず前に進む。
……そういえば、原則鏡に触れるなと言われたなと思い出す。ついでに壊せば弁償だとも。
鏡に映し出される自分の姿にどこかうんざりしながら先へと進む。
進んでいるのか迷い込んでいるのかさっぱりわからないが。
とにかく進むしかない。
運が良ければ、あのさっきの少年のようにクリアできるだろう。
そう、思っていた。