住宅の建築から十年。「十年後に茶室を造るのが夢」そう話していたお施主さんから三坪の小さな茶室を造る
相談をうけました。庭の大きく成長した木の場所に建築を計画し、茶室について一から勉強を始めました。
茶室はとても繊細に見えながら構造はとてつもなく頑強で、日本の建築の奥の深さと茶道の精神を表現している
空間を少しでも理解しようと、多くの専門書や資料を前に悩む毎日が続きました。そしていつもながら、
予算の中で夢を叶えるという大問題が目の前に立ちはだかりました。これについては、大工さん始め長い付合い
のあるそれぞれの各職種の仲間たちが未知への挑戦に快く協力してくれました。
何もかも初めてで怖いもの知らずだからできたような気がします。

小山市M・T邸

貴人口の中と外で棟梁と打合せ。
出来上がったら、ここでケーキとコーヒーで
お茶会をしましょうかと笑い話になりました。

2010年
10月2日(土)と
10月3日()に
     行われた
 
   は大盛況でした。

このストーブひとつで
家中暖房できます。

西から見る

土を掘って運び出したり、コンクリートを流し込んだり
                                                  塀越しの重労働

リビングにつながる和室。千本格子の建具も
いい味をだしています。ほかにもあちこちに
昔の家の材が使われています。
古い電蓄や家具も修理されて戻って来ました。
皆嬉しそうです。

敷地と昔の家

せっかくなので、初めて看板を立てました。

看板の写真は『銀の森』でパースはO・M邸。今回の工事で全面的に協力してくれている『株式会社 小林商店』さん
の看板とつなげました。看板のメッセージがこれから家造りを考えているみなさんに伝わるといいのですが・・・・・。

『あいうえお階段』
この家の見せ場になっていろ部分です。
家の中での生活が楽しくなるよう工夫しました。
全部の段が国産の違う樹種で出来ています。
年数を経てそれぞれの個性が強くなってくることでしょう。
はだしで歩けばそれぞれの感触を味わえます。
施主が版画で表現してくれました。

母家の窓から見える所です

ずっとそこに建っていたかのように
小さな水屋天井には
この庭で育った2本の
杉材も使いました。

敷地内にひそやかにたたずんでいる小さな茶室

狭いようで広がりを感じる不思議な空間。広さと高さのバランスによるようです。建具の枠も柱も細く華奢にできています。

建築は庭と一体となって
始めてその美しさが発揮されます。
特に茶室には、庭にも決まりごとが多く
造園も専門的知識がないと完成されません。
あくまでも自然に感じられるように、茶室に
向かうアプローチが造られていきました。

庭も完成してお茶会の日

高校時代からの友人のM君はお父さんの代からの
大きな立派な家に住んでいます。この家は構造材も
しっかりしたものを使って建てられていたので水周り他
一部を使いやすくリフォームすることになりました。
同級生に仕事を依頼されるとなぜか本当に嬉しいものです。

シンプルな水廻り

床の間のしつらい

外観はとてもコンパクトですが
中に入るとゆったりしています。

 この場所はよく通る女子高通り祝町五差路交差点です。
庭木が生い茂り以前はあまり気にとまらない場所でしたがある日、大きな木を残し
綺麗に整地されていました。とても古いけれど感じの良い美しいバランスの家も残って
いました。そこはまるでポケットパークのようで、私達は何て素敵な場所なんだろうと
ため息をつき、もしこの場所で新しく家を建てるのなら設計させてもらえたらいいねと、
通るごとに夢物語として話していました。
 そんなある日、奇跡が起こりました。パソコンにメールが届きこの土地の持ち主が
本当に訪ねて来てくれたのです。      神様に感謝!!!

設計の依頼を受け打合せを重ねました。
以前の家の古い千本格子の建具を
手入れして使うことにしました。和モダン
な中に北欧風な照明やストーブを取り入
れます。その他にも水屋箪笥や扁額も
修理して残します。こうして新しい家に
歴史を継承していきます。

ミニキッチンのカウンター越しに
玄関とリビングが見渡せます。
お客様をお迎えするのにいい感じです。

薪ストーブも設置されました。
太い赤松の梁や栗の柱の
ボリュームと好く合っています。

この木を移動しましょう。
   夢が現実に・・・

ロフト部分に造った2階の部屋は吹き抜け部分の他三方向に窓があり風も抜けて実際よりずっと広く感じます。

リビングの梁の上には
トトロが・・・

にじり口や連子窓の開口部によって
切り取られた景色はより鮮明に美しく
輝きを増します。

美味しいお食事を
和やかに頂いたあと・・・

とても明るい対面キッチン
広いお庭が見渡せます。

暗かった所は
トップライトが付いて
とても明るくなりました。

『銀の森』で製作させていただいた胡桃の
ダイニングボード・テーブル・椅子・ベンチ

ワンルームの広々としたリビングダイニングルームを
造りました。リフォームならではの制約もあるので
特に光の採り方を工夫しました。『銀の森』で家具も製作し
統一感のある部屋造りを心がけました。

東から見る

見下ろすとリビングルームの様子がよく分かります。

柱を削って石の形にぴったり合わせることを
「ひからせる」といいます。 真剣そのものの表情

すべて人力です!

工事記録を残しておきます。昔の人が出来たことを今の職人さんの技術で出来たことの証明になります。
汗を流し根気強く手間隙かけた努力の賜物です。参加してくれた皆さんに深く感謝します。

地面に固定されていない
宙吊りの石の上に柱が?

歪まないように柱を押しています。
   やっと参加できました。

大工工事はとても順調でしたが連日の大雨と梅雨の時期にかかってしまったことで、雨水が現場に溜まって
大変でした。毎回のように栃木から駆けつけてくれたさん、本当にありがとうございます。

壁塗り。
色も吟味して選びました。
芸術的なコテさばきは圧巻です。

お茶会に参加しました。
茶室完成の労をねぎらうお作法にとらわれない
ものでした。施主の優しい気持ちがよく伝わりました。

やっぱりベンチは奥で椅子は手前がいいね。

台所に隣接する大きな食品庫は
ひと目で見渡せて使い勝手が
良さそうです。

玄関を入るとその空間は明るい
リビングにつながっています。

栃木市O・M邸 

工事前に作った模型にもシンボルツリーを付けました

造園工事が完成し茶室が自然に溶け込むようになりました。このような仕事は
高い技術と知識がないと出来ないものだととても感心しました。

庭の右手に見える茶室

宇都宮市 茶室