一生のうち自分の家を建てる機会というのは、ほとんどの人が1回か多くても数回でしかないと思います。
そんな時、理想の家を現実に自分の家として造るためにお施主さんと一緒にあれこれ考えて設計図を作り、
その家が図面通りに完成するまで監理していくのが私達の仕事です。
 建築地の環境、季節ごとの陽の当たり方、風通しなど敷地条件を始め、その家族の一番生活し易い間取り
や動線、望んでいる意匠的なものや機能的なものを考慮して一枚一枚図面を書いていきます。図面の段階で
キャッチボールをするように意見を出し合いよく考えて決めていきます。そうすれば、こんなはずじゃなかった・・・
なんていうこともありません。
 また、一番の問題は予算内で家を完成させるということですね。だから、設計料も含めたものが工事予算で
あると解釈するようにしています。住宅の設計を30年以上やっていれば、当初は当然お施主さんがずっと年上
だったことが多く、こちらのほうが教えられることも多々あり、与えられる課題をこなしていくことで設計士として
育ててもらったように思われます。いつの間にか同年代のお施主さんが増えていき、そのうち若い世代の方から
の設計依頼をいただくようになりました。
  ここ最近の工事予算は坪単価60万円から70万円ぐらいが多く(坪単価が高いぶんには何の問題もありません
が、このところ5軒に4軒ほどがこの範囲になっています)今では室内の木部の塗装や珪藻土の壁塗りなどを
自分達でやって、その分で薪ストーブを入れたり、足りない予算を補ったりすることが普通になって来ました。
私達自身、『銀の森』を造るとき柱や床・建具・枠関係の塗装(もちろん無害の自然塗料で)や珪藻土の左官工事
など一生懸命頑張りました。そのときの悪戦苦闘した経験をもとに、お施主さんには道具や材料の調達から
作業の指導まで協力させてもらっています。たとえ多少の難があってもアバタもエクボといった感じで、かえって
味わい深い仕上げになります。家族が一致団結協力して作業することで思い出作りにもなりますね。もちろん
専門の職人さんにおまかせすることだってOKです。
 また、近頃では直営方式で家を建てたいという方もみえますが、工事費用を節約するという面では、苦労した分
の見返りも期待できるので相談に乗ることはできます。
 どうもまとまりのない文章になってしまいましたが、私達の日頃行っている仕事を説明させていただきました。
設計して手造りの家を建てることはとても身近で特別なことではないということ分かっていただけたでしょうか?

設計して家を建てるということ

今では珍しい下地窓もさりげなく溶け込んでいます。

小さな和室に使われた畳は昔ながらの本物です。

          
銀の森の2階

カツラの階段をゆったりと上がった2階は、
1階とはまったく違ったイメージで作られています。

吹き抜け部分に伸びた煙突はそれ自体も放熱し2階はとても暖かです。

夜の写真を撮ってみました。
昔の民家にいるような、なかなか落ち着いた雰囲気が出ていませんか?
猫のアーニーは、この部屋で寝るのが大好きですが、とんでもないところで爪研ぎをするので要注意です。

夫婦仲良く???塗り上げた珪藻土の白壁と
スギ(天井)やヒノキ(床)やアカマツ(梁)の甘い香りとぬくもりの中で気分爽快!