夏の星座と天の川

夏の夜空は、他の季節に較べて星がたくさん見えます。星の数が多いのは、偶然ではなく理由がありますが、その話は後で。

夏は天頂から南側に主な星座やめぼしい天体が多くあります。南に向かって立ち、そのまま上を見上げてください。明るい星が3つ見えます。右がこと座のベガ、左がはくちょう座のデネブ、下(南)にあるのがわし座のアルタイル。3つを結んで「夏の大三角」と呼んでいます。それぞれ、違う星座の中にある一番明るい星です。
また、南の低いところに赤くて明るい星があります。さそり座のアンタレス。さそりの心臓です。アンタレスは天の川の西側の岸にあるので、ベガとアンタレスを結んだ線の東側に天の川が流れています。
ひとつの星座の中で一番明るい星をα(アルファ)星といいます。アンタレスはさそり座α星です。アルファードという車がありますね。一番の車という意味合いなのでしょう。


ベガとアルタイルは七夕の織姫・彦星です。この間に天の川があるのですが、見たことありますか?
栃木の人は見たことある人の方が多いでしょうね。でも、東京・横浜・名古屋・大阪などなど、そのあたりの都会に住んでいる人は見たことがない人の方がはるかに多いんです。
天の川は夏の夜空には必ず出ています。でも、それが見えないのです。なぜでしょう・・・?

日本は文明の発達した国。その多くは電気によって支えられています。日本人は快適な暮らしのために、多量の電気を消費しています。
その中で照明だけを考えてみましょう。家の中は夜でも明るく、昼間と同じように生活できます。でも、その照明は窓から外に漏れています。夜の帰り道、街灯がついているので、物にぶつかったり側溝に落ちたりせず、安全に帰れます。その照明は地面と同時に空も照らしています。自動車のヘッドライトは前方を照らしますが、同時に空も照らしています。人が生活するための光が同時に空も照らしているのです。

空気中には多量の塵が舞っています。モヤのような小さな水の粒もたくさん浮いています。地上から空に行った光がそれらに当たると反射します。光が地上に戻ってくるわけです。これを地上から見ると「夜空全体が光っている」と見えます。
街灯のない暗い夜道でも、周りの景色はうっすら見えますよね。これは夜空全体が照明器具になって、地上を照らしているからです。

夜空は全体がある程度の明るさで光っています。空の明るさよりも明るい星だけが見えて、暗い星は見えません。都会は照明が多いために、空の明るさが明るいわけです。それより明るい星しか見えないので、見える星の数が少ない。
空の明るさよりも天の川の方が明るければ天の川は見えます。空の方が明るければ見えません。日本は多くの場所で空の明るさの方が明るくなってしまいました。




左が現在の日本のかなり山奥、空の暗いところで見える天の川。(ななつがたけ北天文台で撮影)

右が昔、電気のない時代に人々が見ていたであろうと思われる天の川。ほぼ画面全体が天の川です。




天の川ってそもそも何なの?





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