織姫星ベガ


今日は7月7日、七夕です。でも、本当の七夕は今日ではありません。去年(2012年)、8月19日の「ほんとうの七夕」を参照してください。
今年は8月13日になります。

七夕の織姫星ベガは、遠い遠い将来、北極星になります。

そう言われて、  「北極星って変わるの?!」
  と思いましたか?

実は今の北極星は、おおよそ1000年ぐらい前に北極星になった星で、あと1000年後には北極星ではなくなります。
星の方が動くのではなくて、地球が動きます。正確に言うと、地球の自転軸が動きます。

地球は24時間で1回転しているコマです。勢いがなくなって止まりかけているコマを想像してみてください。どんな動きをしますか?

首を振りながら回りますよね。もう少し正確な言い方をすると、こまの回転軸が下が尖った円錐を描いて回ります。地球の回転軸は南極と北極を結ぶ線。これが同じように円錐を描いて振れています。ただし、ものすごくゆっくりで、約2万6千年で1回転。
そして、南極と北極を結ぶ線の延長線上ある星が北極星。南極と北極を結ぶ線が振れるのですから、その先にある星も変わります。現在、たまたま、そこに
ポラリスという名前の星があり、それを北極星と呼んでいます。



円の中心の+マークが、南極と北極を結ぶ線の延長線方向。ここを
天の北極と呼びます。星は天の北極を中心に、反時計回りに1日に1回転します。
同心円は10度間隔。文字が重なっていて見づらいですが、緑の矢印の先にある星がベガ。現在は、天の北極から50度以上離れていますね。

よく見ると、ポラリスも天の北極から微妙にズレています。1度ほどズレています。1度というのは満月2個分。
しかし、天の北極のこれほど近くに比較的明るい星があるのは、人間の歴史上、非常にまれなことです。現在の人々は、北極星によって夜、簡単に北の方向を知ることができます。これはとても恵まれたことなのです。先にも書いたように、1000年後には、ポラリスは天の北極からかなり離れてしまい、北を示す星にはなりません。

下の図が1万2千年後の北の空です。この頃、南極と北極を結ぶ線がベガの方を向きます。


図はどちらも「ステラナビゲーター9」にて作成

ポラリスは画面右端に行ってしまいました。そして、天の北極の近くにベガがあります。しかし、近いと言っても5度以上離れていますね。これ以上は近づきません。
ベガも天の北極の周りを半径6度(満月12個分 ・・・ かなり大きい!)の円を描いて、1日に1回転します。当然、時間によって天の北極の右側にあるときもあれば左側にあるときもあります。この時代の人は、北極星になったベガを見ても、最大6度、真北からズレているわけです。あまり正確には、北の方向がわかりません。現代人は恵まれていますよね。


ところで初めの方で、地球を勢いがなくなったコマにたとえましたが、疑問を持った人はいますか?

  地球の自転は勢いが弱くなって、止まりかけているの?

いいえ、そんなことはありません。地球が首を振るのは、勢いが弱くなっているからではなく、全く別な理由です。
地球の自転軸が首を振っている現象を
歳差(さいさ)と言います。これは、地球が完全な球ではなく、赤道部分が膨らんだ楕円体であるために起こる物理的、力学的な現象です。かなり難しい話になるので、また別な機会に。








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