カウント1000ヒット記念小説

続・もう一つの「魔女伝説」


あれから 数年の歳月が流れた。

私(セルフィー)は、試験に合格して 念願だった大統領官邸に就職が決まった。

2年の間、執務官として働いていたが、大統領の要請で秘書をすることになり、

今現在、第一秘書のエルオーネさんと共に 忙しい毎日を 送っている。

今日は、「エスタ国立魔女記念館」で 20周年の式典があり、朝から 分刻みの
忙しさだった。

行事を無事に終え、大統領室に戻ると、ラグナは言った。

「 ふゥ〜、休憩だァ、お〜いエル、セル。 みんなにコーヒー頼む。」

宇宙開発長官のキロスさんと エスタ軍司令のウオ−ドさんも一緒だった。

この3人は古くからの親友で、キロスはスラリとした長身の物静かな人で、逆に
ウオードはがっしりした 以下にも軍人と言う感じの人だ。
エルオーネは、亡くなったレインさんと暮らしていたらしく、ラグナは妹みたいに
思っていると言っていたが、
「 やれやれ、女心がわかってないねぇ、鈍感な奴だ!」
私は、にぶいラグナも好きだが、早く エルの気持ちを分かってあげて欲しいと
いつも思っている。

私とエルが コーヒーを入れ、楽しい午後の会話を始めようとした時だった。
緊急通信が 「パンドラボックス」から飛び込んできた。
「 パンドラボックス」は キロスがオダイン博士と作った 軍事気象衛星で、災害や
地表の変化の監視、研究をしている。 通信はオダインからのものだった。

「 大変でおじゃる。モンスターが出現したでおじゃる。」

「 何だって!」全員に緊張が走ったが、オダインはかまわず話を続けた。

「 12時間前の事で おじゃるが、大きな流星が通って レーダーが使えなくなったので
おじゃる。一時間前に 修理を終えたら、モンスターが異常発生してたでおじゃる。
発生源は ロングホーンでドールシティーは壊滅状態、ティンバーとデリングにも
モンスターがせまっているみたいでおじゃるぞ。」

ラグナは 矢継ぎ早に司令をだした。
「博士は そのまま監視を、ウ
ードは軍をスクランブル、キロスはラグナロクの
スタンバイだ。急いでくれ。その後は別命あるまで待機だ。」
「了解!」

私は、また魔女が覚醒したのかと思ったが、その後のオダインの報告によれば
近づいた流星の影響らしかった。 地上波(TV)ではさかんにニュースを放送し
ていた。デリングでは、軍とモンスターで攻防戦が始まったらしい。デリング軍には
元SEEDがいるので そう簡単にはモンスターの進攻をゆるさないだろう。
問題はティンバーだ。TV によれば、すでに第1防衛ラインは撃破されたらしい。
深夜の1時になっても 膠着状態が続いていた。ラグナは緊急配備のまま、
夜を明かすとの 指令を出し、仮眠を取る事にした。

翌朝、キロスとウ
ードが 怒鳴り込んできた。

「 いつまで待たせんだよ、ラグナ。このままじゃ、デリングもティンバーも危ないぜ。
へたすりゃ、ウィンヒルだってやられちまう!」

ラグナは落ち着いていた。
「 まあまあ、そう焦るなよ、キロス。 ウ
ードは警戒態勢を解除してくれ。
俺達だけでいく事にしたよ。 エル、頼んでおいた物は搬入出来たかい?
セルフィ、出発まえにこれお願いね。」

指令書を見て 私は驚いたが、とにかく命令に従う事にした。
私が 戻ってくると すでに ブリッジに全員が集まっていた。 興奮したキロスは指を
ポキポキならしている。 実は私も武器の「夢かまぼろしか」を持ってきていた。

フィッシャーマンズホライズン上空にさしかかった時に、ニュースが飛び込んできた。
それは、ティンバーTVからだった。
TV「 皆さん、聞えますか? この大歓声が。 我々は助かったのです。 デリングの
激しい抵抗にあったモンスターがこのティンバーに集結した時は、我々は 絶体絶命
だと、覚悟いたしました。でも 助かったのです。この方達がドールもティンバーも
救ってくれました。」

私達は、そのニュースに驚いたが、ラグナとエルは平然としていた。
TV「 あなたが、リーダーの方ですね。我々の町を救って下さってありがとう。}
男「 俺はリーダーじゃないぜ。俺達<森のふくろう>のリーダーは あの娘さ。」

TVに映された その娘の顔には見覚えがあった。
そうだ、忘れもしない 天使の翼を持つ少女、リノアだ。
髪も伸びて、ずいぶん大人っぽくなり、その美しさにTVクルーも呆然としていた。

そんな中 TVには 私たちのラグナロクが映し出されていた。
TV「 あれは、エスタのガンシップ!。今頃何しに来たのでしょうか?」

アナウンサーが言うと、ラグナは、
「 まァ、そう言うなって。ほい、おみやげだよ。」
そう言って、エルが搬入しておいた 荷物と 私が持ってきたものを投下した。

TV「 あ、何かを投下しました。爆弾ではないようですが、我々が確認してみます。
こ、これは、食料と、医薬品。それと エスタ大統領からのメッセージです。
<一日も早い復旧と、市民の幸福を願う。ラグナ・レウァール>
あ、ありがたい事です。市民を代表してお礼をもうしあげます。」

「 よせやい、照れるだろ。」 ラグナは相変わらずだ。

TV「 おや?もう一つ 何かありますね。 これは? あなたにですよ。リノアさん。」
リノアは戦いの緊張からか 少し顔色がさえなかったが、TVのクルーから
その荷物を受け取った瞬間、戦う少女から 普通の少女へ変貌していった。
そう、リノアの胸に抱かれたその荷物とは、 私が大統領命令で 朝一番に
エアリスの所から 買い求めてきた<白い花束のブーケ>だった。
<リノア・ハーティリーさま、
いつか あなたからお借りしていたものをお返しいたします。 ラグナ>
リノアは 天使の表情を浮かべると ありがとう・・と、つぶやいた。

ドールにも 荷物を送った後、何故、ラグナがこうなる事を知っていたのか
エルが 教えてくれた。
「 リノアちゃんが 夢に出てきて 教えてくれたんですって。」
それを聞いて 私は、ラグナと言う人物の大きさに あらためて感心した。

それから一ヶ月後の事。
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なんの日だと思います? 今日はねぇ。
なんと、ラグナとエルオーネさんの結婚式なんですよぉお ♪
奇麗だね、エルさん。お幸せにね。
ずいぶん待たされたもんね。どんかんラグナくんには!
でも、許しちゃうんだ。 私にもね、ラグナが言ってくれたの ♪

「セルフィー、昨日ね、君に素敵な人が現れる夢を見たよ。」って。


Fin


この小説はカウント1000ヒットを記念して、ホームページ立ち上げ前より
お世話になっている <GKC>
Noriko様に贈らせていただきました作品です。


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