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三行書評 第1回

2001.5.30

 記念すべき第1回は、読書日記です。これはできれば週1で定期的に行いたいなぁと思ってます。五つ星が満点。5月29日版から一部書き直しました。

柳家小三治
『もひとつ ま・く・ら』
(講談社文庫ISBN4-06-26491-5)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 柳家小三治師匠の「まくら」を集めた第二弾。デジカメを買って、そこからパソコンだCD-Rだと買い足して右往左往する「まくら」が爆笑だ(「パソコンはバカだ!!」)。細かく細かく描写していく手法が面白い。小三治師匠の語り口を知っている人なら面白さ倍増間違いなし。
コメント 「もひとつ」というくらいだから一冊目が当然ある。企画してくれた講談社の川俣真知子さんに感謝。
椎名誠
『馬追い旅日記』
(集英社ISBN4-08-774144-3)
お薦め度 ★★
あらまし 1994年1月から翌年4月までの日記。モンゴルで『白い馬』という映画を撮った時期と重なっているのでこういうタイトルになったようだ。
コメント かなり斜め読みをした。読んだことがあるような気がするのは「新宿赤マント」シリーズ(『週刊文春』で連載中。単行本が11冊)を読んでいたせいかもしれない。
E.マオール
『不思議な数eの物語』
(伊理由美/岩波書店ISBN4-00-005943-2)
お薦め度
あらまし みなさんは自然対数の底eを知って(憶えて)いますか? 2.7182818284 5904523536 0287471352 6624977572 4709369995 9574966967 627724…と延々と続く数で、f(x)=exという関数は、微分してもf(x)=exなんですよー。本書では発見(?)の歴史をひも解くとともに応用にも迫る。
コメント 堀場芳数『対数eの不思議』(講談社ブルーバックス)を読んだがイマイチ釈然としなかった。で、これを読んでみた。解ったわけではないのだが、対数螺旋(オウムガイ)とか懸垂線(ミズーリ州セントルイスのゲートウェイアーチ)など興味深い話だった。
山田登世子
『ブランドの世紀』
(マガジンハウスISBN4-8387-1147-6)
お薦め度 ★★★★
あらまし 19世紀のロンドン・パリから20世紀初頭のアメリカを経て現代日本にたどり着く“ブランド”の旅。「日本の大衆消費社会」においてブランドは「本来は縁のないはずの《大衆》と「おかしな」関係を結び、《モード》とおかしな関係を結んだ」という。つまり、19世紀のパリにおいてブランドは貴族のものだった。多くが特注だったことを思い起こせば良い。同時にブランドは、モード流行とは無縁だった。ブランドとは一生モノであり、一年や二年で着れなくなるものではなかったことを思い起こせば良い。
コメント 現代の日本においてブランドに群がる神経がよく解らない。たしかにしっかりした作りの良い出来ではあるが、あれほど血道をあげるべき対象であるかは疑問だ。特に不思議なのがルイ=ヴィトンである。スチュワーデス御用達と言われる堅牢さは魅力ではあろうが、あの大袈裟な柄は――これが模造品防止であることは初耳だった――僕の生理に合わない。見せびらかし、宣伝するためにブランド品を持ちたいわけではないのだ。あくまで耐久性を含めた機能が、あるいは百歩譲ってデザインが優れているから所持したいのだ。現代日本のブランド事情は、どうも無駄遣いに見える。
二宮清純
『スポーツ名勝負物語』
(講談社現代新書ISBN4-06-149381-7)
お薦め度 ★★★
あらまし 「川口和久vs.西武ライオンズ」「仰木彬『十分間の名抗議』」「竹原慎二vs.ホルヘ=カストロ」「勇利アルバチャコフvs.渡久地隆人」「伊達公子vs.シュティフィ=グラフ」「神戸製鋼vs.三洋電機」「アヤックスvs.グレミオ」「イチローが起こしたベースボール革命」「野茂英雄『ノーヒットノーランの秘密』」〜目次より抜粋。
コメント スポーツ観戦を愉しむために必要なものを3つ挙げろと言われたら、予測と動体視力と記憶力だと答えたい。まだまだ修行が足りないな。ちなみに1997年刊行なので、野茂のノーヒットノーランは1回目のもののこと。