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『十二人の怒れる男』を観た

2003.3.12

 日本テレビの『麹町名画座』で5日深夜に放送された『十二人の怒れる男』を観た。

水野晴郎さんが解説を勤めていた『麹町名画座』だけれど、5日の放送が最終回だったそうだ。『水曜ロードショー』(1972年放送時から)『金曜ロードショー』(1997年まで担当)も含めると、31年間テレビで解説していたらしい。ご苦労様でした。

 1957年の製作で白黒映画で、本作品が初監督だったシドニー=ルメットが監督、ヘンリー=フォンダが主演。『戦場にかける橋』と争うことになったので、作品賞・監督賞・脚色賞のノミネートのみで終わっている。

 ある殺人事件裁判の陪審員――“12人の男”というのは陪審員のこと――となった男たちが評決を下そうとする。11人が「有罪」だと思っている中で、陪審員8号(ヘンリー=フォンダ)だけが疑問を抱き、無罪を主張する。評決は全員一致じゃなければいけない決まりなのでここから議論が始まる。

 細かい話は思い切って割愛してしまうけれども、見所充分である。8号は11人を説得しようと思っているわけではなく、自分が感じた疑問を解いてもらおうとしているだけだ。有罪の評決を下せば死刑が確実な被告のためでもないようだ。派手なアクションシーンもなく、陪審員室で繰り広げられるほぼ時間通りの地味な台詞劇である。最終的に下された評決が事実どおりかどうかは分からないが、12人の男たちは納得したものだったろう。

 お薦め度はグリグリの★×5です。

本作品が気に入った方には、三谷幸喜さんが脚本を書いた『12人の優しい日本人』もお薦めします。