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『技〜極める』

2003.4.6

 毎週日曜日、10分間のミニ番組ながら楽しみにしていたのが『技〜極める』(NHK名古屋制作/日曜日22:45)だった(新年度からは放送時間が変わったようだ)。《自分の仕事に誇りを持ち、その技を極めた仕事人たちを紹介していきます》(公式サイトから)というこの番組、ちょっと驚く人たちが登場する。

 3月28日には、2002年度総集編という感じの特別番組がNHK-BS2で放送された(21:30〜23:00)。科学技術ジャーナリスト赤池学さんの案内で、9人の職人さんが紹介された。

洗い屋 今江清造(72)。苛性曹達カセイソーダささら蓚酸しゅうさんを使い、築後 数十年の木造家屋の木の部分――柱・梁・建具・天井など――にこびりついた汚れを取る職業。2002年6月11日放送。
木樽蒸留器製作 津留辰矢(67)。もろみに蒸気を送り込むことで蒸留するのが焼酎の最終段階。釘を使ってしまうとその臭いが移ってしまうので嫌われる。もろみの重さは約1トン。熱と重さとに耐えなければならない。2002年10月22日放送。
手すき和紙 谷野武信(69)。兵庫県に伝わる「名塩なじお和紙」。雁皮がんぴを原料とするこの和紙は、丈夫で色褪せないため“千年和紙”の異名をとる。人間国宝である。2003年1月14日放送。
万年筆製作 植原榮一(84)。顧客に合わせて万年筆をひとつひとつ手作りする。ペン先の調整は1/100mm単位で行われる。2002年11月19日放送。
包丁製作 清水正治(61)。マグロを解体するときに使うマグロ包丁は、抜群の切れ味としなりが求められる。刃渡り150cmのこの包丁は、熱した材料を1万回叩くこと(鍛造)によってのみ作ることが可能である。2002年11月5日放送。
陶磁器上絵付 高橋直樹(50)。割れてしまった皿(の絵)も完璧に復元する。番組ではシェフ三国清三みくに きよみの特注皿を作っていた。2002年5月21日放送。
絵画修復 小谷野匡子こやの まさこ(67)。可視光・紫外線・X線・顕微鏡などによる観察を経て、絵画(油絵)を修復する。日本独特の亜硫酸による結晶発生を世界で初めて報告し、その修復方法を確立した。2002年5月7日放送。
エレベータ据付 山村純裕やまむら よしひろ(56)。神戸市役所・横浜ランドマークタワー・丸ノ内ビルディングなどの高速エレベータ(ランドマークタワーのものは分速750m)のガイドレールを据え付けた。ガイドレールの曲り・歪みは1/100mm単位で調整しなければならない。2002年7月16日放送。
バット製作 久保田五十一くぼた いそかず(59)。落合博満・イチロー・松井秀喜などが使うバット製作を一手に引き受けている。素材の木の音を聴き選手の要望を聴き、0.02mm単位で木を削る。2003年2月4日放送。

 印象的だったのは、製作に使う道具も手作りしている点といずれも高齢である点だ。

 この中で、陶磁器上絵付だけあまり感心しなかった^_^;。オテル=ド=ミクニのような超高級料理店に行ける人にしかその恩恵に預かれないような気がしたのだ。そのほかの人は、僕たち一般大衆も恩恵に預かっている。美術館の絵を修復すれば僕たちだって見られるし、イチローや松井が活躍するのは楽しいから、間接的に恩恵に預かっていると思うのだ。いや、技は確かにすごいと思うのだけれどね。

『技〜極める』公式サイト