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それはニュースなのか?

2003.8.13

 12日の『ニュース10』(NHK総合22:00〜22:55)で、“未来への航海”の模様を伝えていた。

“未来への航海”とは、日本・韓国・マレーシア・シンガポール・タイ・ベトナム・インドの子供たち42人を乗せた望星丸(東海大学海洋調査船)が、沖縄を出発して屋久島・水俣・豊島てしま・清水を経由する横浜までの航海のなかで環境について考えるという、テレビ放送開始50年記念事業。
蛇足的に付け加えると、それぞれの寄港地では世界遺産屋久島・水俣病・産業廃棄物の島・海洋汚染について学習する。

 こういった環境問題を次代を担う子どもたちが学習することの重要性は認めるけれども、はたしてこれは“ニュース”だろうか? ニュースというよりも(NHKの)事業報告なんじゃないだろうか、というのがまる三の率直な感想。先週と今週の『ひるどき日本列島』(NHK総合/月〜金12:20〜12:45)で取り扱うのは構わない、と言うよりも積極的に取り上げて、お茶の間でも環境学習ができるようにすべきだと思う。でも、“ニュース”ではないだろう。

 少々納得しがたいまる三であった。

既述したような環境問題の現場は取り上げるけれども、珊瑚礁を破壊して空港を作ろうとしている石垣島とか、環境に多大な影響を与えるかもしれない有明海(諫早湾)の干拓事業とか、周辺の環境を破壊してまで建設する意義があるのか疑問が呈されている川辺川ダムとか、魚の行き来ができなくなるような吉野川のダム新設とか、建設目的が二転三転して無意味化したものの結局強行された長良川河口ダムとか――そういった“現在進行中の環境破壊問題”については取り上げないところはいかにもNHKである。

慌てて付け加えておきますが、水俣病が「終わった」環境問題だとは思っていません。胎児性水俣病の方々も含めて多くの方々が苦しんでいるのは理解しているつもりです。