ノウハウ集

                          TOPへ



  自分で天体観測所を作る場合や観測機材、観測方法などについてのノウハウを公開しています (順不同です)


  「ノウハウ集1」から飛んできた場合は、該当する項目をもう一度クリックしてください。

天気やシーイングの予想 二重星リスト サブ望遠鏡鏡微動装置2 45cmドブソニアン改造
アリガタ金具の自作 S3proの熱ノイズ フォーカサーの電動化 屋外用電源
バランスウエイトの自作 フラット画像撮影板 反射鏡面のホコリを飛ばす ε180+イーソス
31.7mm接眼部 S3pro+HyperUtility ε180ED接眼部を2インチに 防寒具
VMC260接眼部改造 五藤1in.接眼部を1・1/4in.に  MAXVISION 2in.接眼部   




天気やシーイングの予想

自宅で星を見られる人は、晴れればいつでも望遠鏡をのぞけますが、機材を持って遠征する人にとっては、晴れるか晴れないかは最重要問題です。そのために天気予報を見るわけですが、テレビでやっている天気予報は、各都道府県の主要都市の予報です。一つの県内でも場所によって天気は結構違うものです。星を見に「主要都市」に行くわけはないので、我々はテレビでやってないところの天気が知りたいわけです。また、天気予報で言う「晴れ」と星を見る者の言う「晴れ」は次元が違います。そのため、インターネットでお天気情報を収集して、自分で天気の判断をする必要があります。そのとき参考になるサイトをいくつかご紹介します。

自分が行こうとしている観測地の天気を知りたいときは

http://weather.yahoo.co.jp/weather/  ピンポイント天気予報とその県内の雨雲の動きがわかりやすい

http://www.excite.co.jp/weather/    スポット天気予報が細かい

http://www.jma.go.jp/jp/gms/      元祖気象庁のページ。
                         大きくてコントラストの良い画像で24時間分の雲の動きがわかる

http://weather.is.kochi-u.ac.jp/     高知大学気象情報ページ。
                         いろいろな角度からひまわり画像を表示


シーイングの善し悪しの判断に

http://www.hippo.flnet.org/weather/NCEP200.html   200hPa面の風(ジェット気流)の位置と強さがわかる。
                                   最大144時間後までの予報付き

http://www.cokbee.com/weather/jet.htm         ジェット気流解析図と偏西風蛇行図

この2つを見ると日本に住んでいる不幸を感じます。
.
二重星リスト

これから二重星を見てみようと思う人は、どこにあるどれを見たらきれいなのかという情報が必要です。そういう方にはこちらのサイトをお勧めします。

http://www.geocities.jp/ns5sct/double/double.html

この中に「きれいな二重星リスト」というのがあります。これをダウンロードして片っ端から見ていったらいいと思います。特に「StellerNavigator」と、それを接続できる自動導入経緯台または赤道儀がある人は、「StellerNavigator用ADFファイル形式」をダウンロードし、それをStellerNavigatorに組み込むことができます。StellerNavigatorで、「天体」→「追加天体」→「データを追加」でダウンロードしたファイルを指定し、追加天体名を「二重星」とします。「二重星」と表示が出たところにチェックを入れれば、「きれいな二重星」が「 x 」マークで星図上に表示されます。それをクリックして自動導入すれば、いとも簡単に二重星巡りができます。
上記サイトには、これ以外のもっとたくさんの二重星が入っているリストもありますから、必要に応じてダウンロードしてみてください。
もっとマニアックに限界ぎりぎりの二重星の情報は中井さんのホームページで。
.
サブ望遠鏡微動装置 2

赤道儀に、主鏡以外にサブ望遠鏡をいくつかのせる場合、すべての鏡筒の光軸を一致させる必要があります。そのためのサブ望遠鏡微動装置の製作について、以前ここに書きました。それはそれで使えるのですが、モーメントを減らすために、サブ望遠鏡をさらに主鏡の鏡筒に近づける必要が出てきました。前記の微動装置は、それ自体の重さもばかになりません。また、それはプラスマイナス5度ぐらい動かせるのですが、可動範囲はそこまで必要ありませんでした。2度ぐらい動けば十分でした。
そこで、新たな微動装置を作りました。その説明のために3枚の写真を掲載します。わかる人はこれだけで十分だと思います。
左上は、サブ望遠鏡鏡筒の前(対物レンズ)側です。35cm主鏡の鏡筒バンドに、14cmx14cmのアルミ板が付いていて、そこからM12のボルトが上に向かって出ています。その上に大きいワッシャを2枚はさみ、その上にサブ望遠鏡をのせるプレートがのっています。そのプレートの穴にM12のボルを通し、上からナットで力一杯締めます。これで前側は固定されます。
右上の写真はサブ望遠鏡の後ろ側、接眼部側です。サブ望遠鏡をのせるプレート上に、黒いつまみの付いたねじ(M8)が3個ありますが、両サイドが引きねじで中央が押しねじです。一番下のプレートから上に向かってM8のねじが2本生えています。サブ望遠鏡をのせるプレートには、それを通して左右に振るための横長の穴が開いています。押しねじを回して上下方向に動かし、引きねじでロックします。左右方向は、高さ方向を軽くロックして、右上写真の画面下両サイドにあるねじで左右に振って調整します。このねじは指で軽く回ります。前側のM12のナットを力一杯締めても後ろ側は軽く動きます。上下方向にも動くわけですが、それはプレートがたわんでいるということです。それでも特に問題はないようです。

下の写真は、鏡筒を外したところ。ビクセンのVMC260用のアリガタ台座が乗っています。ここに何本かの大型鏡筒が乗るように加工してあります(「アリガタ金具の自作」参照)。サブ望遠鏡をのせるプレートは、前側1本、後ろ側2本の計3本のねじ(+金色の金具のねじ2本)で固定されることになりますが、観測中にずれることはありません。
.
ノウハウ集目次へ
.
45cmドブソニアン改造 1

ドブソニアンは、お手軽に大口径望遠鏡が使えるのが最大の利点ですが、45cmともなると、さすがにお手軽というわけにはいきません。トラス式鏡筒なら分解組み立ての手間がかかりますが、重さと大きさの点は何とかなります。しかし、私が所有する鏡筒のついたものは何ともなりません。元々これは移動は考えておらず、普段は倉庫にしまっておき、必要なときに台車にのせて引きずり出して使います。倉庫からの移動距離は10m程度なので、組み立てたままでも(ただし鏡筒が2分割なので上半分は外す)何とかなります。
どうせ機動性がないものなので、架台部分の問題点を直すことにしました。
鏡筒ありのドブソニアンの場合、上下回転軸が鏡筒の中心寄りになってしまいます。したがって、鏡筒支持部から主鏡側が長くなるため、上下回転部の位置が高くなります。それによって、架台部のハコが大きくなり弱くなります。元々のハコは2cm厚の合板製でできています。見た目はきれいですが、これだと全く強度不足で、風が吹くと全体が揺れて使い物になりません。また、上下、水平とも回転軸のスムーズさに欠けます。

まずは、「改造」という範囲を超えますが、架台部分を3cm厚の集成材ですべて作り直しました。両サイドの縦の板は3cm+2cmの2枚重ね、底面は3cm+3cmの2枚重ねです。
その下の水平回転部に下の写真の回転台を挟みます。これは「大阪タイユー」という会社の「マワールミニ」という製品で、外径310mm、耐荷重300kg、工場の生産ラインなどでコンベア上で回転式作業パレットに使われるものです。大型のブラウン管式テレビなんかがこの上で組み立てられていたのでしょう。この中心に穴を開けて、M12のボルトを回転軸として通します。簡単に書きましたが、この「中心に穴を開ける」という作業は高精度が必要で結構大変です。
右の写真のようになりました。外寸は元とほとんど変わりませんが、重さは2倍以上になりました。強度も2倍以上なんだと思います。風が吹いても揺れなくなったし、水平回転はとてもスムーズです。回転が軽すぎたときのためにブレーキ機構も付けたのですが、必要なかったのでここでは紹介しません。
次は上下回転軸です。

なお、この架台部、鏡筒を外すと中に人が乗れます。ぐるぐる回転させて遊べます。遊園地のコーヒーカップですね。安全性は保証しかねますが、強度的には全く問題ありません。

.
45cmドブソニアン改造 2

ドブソニアンの上下回転部は、鏡筒の両サイドに丸い回転板が付いていて、それを受ける側にテフロン製のブロックが2個付いています。回転板とテフロン部分の摩擦力で鏡筒を上下するときの力の大きさが決まります。摩擦力が大きいと、スムーズさに欠けるし、小さいと鏡筒のわずかなアンバランスで勝手に動いてしまいます。45cmともなると相当重く、摩擦力も大きくなり回転が渋くなります。この部分の摩擦力を小さくする方向に調整する機構を考えました。

このドブソニアンは回転板の中心軸に、鏡筒を取り外す時、取っ手の役割を果たす直径1インチのシャフトが付いています。このシャフトにピローブロックベアリングを付けました。それを丈夫なアルミアングルで受けています。このアルミアングルは、写真の右端は固定されていますが、左端の位置で5mm程度、上下に動きます。アルミアングルの下、左側に付いている部分が右の写真です。
赤いのは産業機械用の強力なバネで(MonotaROで購入)、指で力一杯押してもほとんど縮みません。これを2本直列に、M8の長ねじに通してあります。バネの下はワッシャとロングナットで支えられています。反対側にも同じものが付いています。

ナットを下にさがる向きに回していくと、あるところでバネが伸びきって、アングルにさわらなくなります。このとき、アングル左端は一番下に下がります。この場合、ベアリングには鏡筒の荷重がかかりません。鏡筒の重さの100%を回転板とテフロンブロックが受けます。この時、上下回転が最も重くなります。というより、改造前の状態と同じです。

ナットを上にあがる方向に回していくと、バネがアングルを上に押します。しかし鏡筒の重さで、アングルの位置は変わりません。その分バネが縮んでいきます。このとき、ベアリングにも荷重がかかるようになり、その荷重をバネが受けていることになります。ナットを最大まで上げると、回転板がテフロンブロックから浮いて、ベアリングが鏡筒の重さの100%を受けるようになります。このときが最も上下回転が軽くなります。

このような仕組みで、鏡筒荷重の受け方が、回転板&テフロンブロック100%・ベアリング0%から、回転板&テフロンブロック0%・ベアリング100%までの間で連続可変できます。バネの下のナットは指で簡単に回ります。


なお、ドブソニアン本体の改造とは関係ありませんが、左の写真で、架台部分の置き方に注目してください。
地面にコンクリートブロックが4個置いてあります。その上に茶色の板があって、四隅にM20のネジが立っています。このネジが各コンクリートブロックの中央にある凹みに当たっていて、水平の調整ができます。茶色の板の上にドブソニアン本体が乗っています。置いてあるだけで固定はされていません。
このコンクリートブロックの高さがちょうどよくて、間に台車を差し込めます。台車を差し込んでおいて、四隅のネジを回して茶色の板を少し下げると、板が台車に乗って、コンクリートブロックがはずせるようになります。台車をそのまま押していけば、組み立てたまま全体を移動できます。こっちの方がノウハウですね。

.
アリガタ金具の自作

望遠鏡鏡筒と架台の接続は、小型鏡筒の場合、ビクセン規格のアリガタアリミゾ金具がデファクトスタンダードになりました。ビクセンという中小企業が世界のデファクトスタンダードを作ったという点は高く評価できます。これによって、我々ユーザーは高い汎用性を手に入れられました。しかし大型鏡筒の場合、まだデファクトスタンダードがありません。望遠鏡各社は、大型鏡筒については自社専用のアリガタ金具を添付、または別売しています。
無い場合は作ればいいというのがアマチュアのスタンスです。アリガタ台座の方を作るのは、強度的に難しいのでやめておいた方がいいでしょう。しかし、たとえば、ビクセンのVMC260を買うと、専用のアリガタアリミゾ金具が付いてきます。これの台座の方に、それ以外の大型鏡筒を付けられるようにできれば、汎用性が広がります。ビクセンをはじめとして、私が知る限りのメーカーのアリガタ金具の台形の角度は15度です。スライドレールになる金属の両サイドを15度の角度で切断できれば、レールは自分で作れます。
アルミやアルミ合金は、電気のこぎりに金属用の歯を付ければ、木とほとんど同じように切断できます。金属用の歯はメーカーやお店によるでしょうが、安ければ2000円程度で買えます。電気のこぎり本体は、歯の角度を0度から45度の範囲で傾けられるものが多いので、15度にセットしてアルミ板を切れば、スライドレールが作れます。レールにするアルミ板は、小型鏡筒用の場合、10mm厚です。ビクセンVMC260専用アリガタアリミゾ金具の場合、15mm厚です。アルミ合金板は、このノウハウ集の「部品の購入先」にあるMonotaROや小口ドットコムで買えます。 
ななつがたけ北天文台では、小型鏡筒はビクセン規格のアリガタアリミゾ金具を使い、大型鏡筒はビクセンVMC260専用アリガタ台座用のスライドレールを自作して、すべての鏡筒がどちらかにのせられるようになっています。
.
ノウハウ集目次へ
.
S3proの熱ノイズ

インターバルタイマーで30秒露出して、次の15秒間でデータをパソコンに転送し、また30秒露出するという作業を3時間繰り返しました。外気温は15度程度でした。CCDは撮像とデータ読み出しを休む間もなく3時間繰り返しました。この状態でのCCDの温度は、外気温の自然冷却とバランスするところまで上昇します。かなり熱くなっていると思われます。
今回は流星の経路観測のためで、とにかく流星が写ればいいので、写真の見た目の美しさは問題ではありません。そう割り切っても、ガッカリするくらいきたない画像になりました。右の写真をクリックすると400%拡大画像が見られます。30秒露出でここまでノイズが出て、バックグラウンドにカラフルな色が付きます(もちろん、あってはならないことです)。この色が付くことが問題で、これは修正のしようがありません。ただ、他社製デジカメでよくある、画面片側に出る「熱カブリ」というやつはありません。
しかしながら、これではどう画像処理しても美しい写真にはなり得ませんので、観賞用写真としては使い物になりません。

多くの枚数のコンポジットを前提にデジカメで写真撮影すると、これに近い条件で連続撮影することになります。そうすると、このように熱によるノイズで、使い物ならない写真になります。デジカメで連続撮影するとき、特に夏場は、撮像素子の温度が下がるのに十分な時間を空けて撮影しなければなりません。
.
フォーカサーの電動化

デジカメや冷却CCDで天体写真を撮るとき、カメラ(フォーカサー)の位置とパソコンモニタが離れていると、フォーカスノブを回してはモニタの前へ行ってということを繰り返さなければなりません。それを電動にすれば、ケーブルを伸ばしてくれば、モニタの前ですべての操作ができます。
JMIの電動フォーカサーを付けてみました。本当はロボ・フォーカスにしたかったのですが、簡単に手に入るこちらにしました。
かし、やってみると思った通りにはいきません。35cmとイプシロンは、取り付けはあまり問題なくできました。しかし、リモコンには回転スピードのハイとローがあるのですが、ローにしても多少速すぎるように思います。TOAは、取り付けはできましたがうまく動きません。
TOAはFタイプの大型接眼部なので、モーターのトルクが足りないようでうまく回りません。そこで大改造しました。減速微動ノブ側を回すようにしました。
回し方は、35cm主鏡用(フェザータッチ接眼部用)と同じやり方です。また、簡単にモーターの切り離しができるようにしました。M6の蝶ネジ1本で全体を支え、使用するときは、モーターの出力軸を減速微動ノブに押しつけながら蝶ネジをロックします。このようにしたら、フォーカサーがスリップすることもなくゆっくり回ってくれて、微妙なピント合わせができそうです。ε180用も、使ってみてモーターの回転が速すぎるようなら、このやり方に変えようと思います。
フェザータッチフォーカサー用のモーターは非常に小型でうまい造りになっています。
タカハシ用も減速微動が付いている場合は、これを買って取り付け板を自作した方が良さそうな気がします。ただ、こちらの方が高価です。また、外周にゴムの付いた回転板の直径が大きすぎます。こんな形をしていて、このくらいのスピードで回転するパーツは探せばいくらでもありそうな気がします。そのうち秋葉原に行って探してきます。

使用してみたら、TOA用は眼視用にはちょっと遅めですが、写真のピント合わせにはちょうど良い速さです。ε用とフェザータッチフォーカサー用は案の定、回転が速すぎます。眼視ならちょうど良いですが、写真撮影時の微妙なピント合わせができません。ε用は下の写真のようにしました。これで回転速度がゆっくりになり、微妙なピント調整ができるようになりました。しかし、こうしてしまうと、接眼部回転装置が使えなくなります。カメラを付けたとき、向きの調整に苦労します。これは非常に不便です。もっとも、モーターを最初の位置に付けても、接眼部を回転させるとモーターがあちこちにぶつかって自由に回転できない点ではいっしょなのでいいことにしました。

なお、35cmニュートン鏡は通常は眼視にしか使いません。なぜそれに電動フォーカサーを付けなければならないのでしょう? TOAとεで写真撮影している間に対象天体を35cmニュートンで観望しています。このとき、ピント合わせが手動だと、ピント調整ノブに触れたとき鏡筒が揺れるため、手を触れないで済むようにしたわけです。
.
屋外用電源

屋外で天体写真撮影などを行う人は、大きなバッテリーを持ち歩いて電源にしていると思います。通常は直流DC12Vです。AC100が必要な機器を使うには、DC-ACコンバータが必要です。12V以外のDC電圧にするには、DC-DCコンバータが必要です。一般の電気機器には、ACアダプタは標準添付またはオプションで用意されていますが、DC-DCコンバータはないのが普通です。本当はAC100Vの電源がほしいはずです。

屋外でAC100Vを得るには、パソコン用の無停電電源装置(UPS)が使えます。観測前に屋内で、UPSをコンセントにつなぎ電源を入れておき、フルチャージ状態にします。そのまま、UPSの電源を切らずにコンセントから抜きます。UPSは停電になったと判断し、放電状態に入ります。そのまま屋外に持ち出し、必要な電気機器をつなげば、AC100Vの電源装置として使えます。このメリットは、非常に安定したAC100Vが得られます。私はAPC(最もメジャーなブランド)の500VAのものと1500VAのものを使っていました。露よけヒーターだけなら500VAで一晩持ちます。パソコンや自動ガイド赤道儀や冷却CCDを使うなら1500VAが必要でしょう。この場合の問題は、UPSというのはその用途からして、停電になったときは何らかの警報を発します。APCの場合は、断続的にずっとピーピーと音が鳴り続けます。気にしなければいいのですが、私はスピーカーにつながるケーブルを切りました。

究極の屋外用電源は、トヨタ「エスティマハイブリッド」です。この車は、ハイブリッドバッテリーからAC100Vをとれます。それもMax1500WまでOKです。要するにAC100V用のドライヤーが使えます。屋外でドライヤーが使えたら・・・と思った人は多いことでしょう。湿気でレンズがくもるのは宿命ですが、ドライヤーさえあればあっという間に乾きます。乾かした後は、しばらく余熱で露が付きません。この車が来る前は、電気ヒーターを機材のそこら中に巻き付け、コードだらけになっていたのがウソのようです。AC100Vを取れる車は他にもいくつかありますが、ほとんどは100W程度までです。Max1500Wというのは、私の知る限りこれだけだと思います。湯沸器も電子レンジも使えます。夜食の幅が広がり、快適な生活ができます。
エスティマハイブリッドは、ハイブリッドバッテリーがある程度消耗すると自動的にエンジンが掛かり、発電機を回して充電します。充電が完了すればもちろんエンジンは自動停止します。天体観測には大変便利な電源車です。また、車中で仮眠するにしても、セカンドシートが大変良くできており、オットーマンも付いて快適です(7人乗りの場合)。重い機材を持って車で観測に行く人は、車買い換え時にはエスティマハイブリッドをお勧めします。
エスティマハイブリッドの自動車としての特徴については、「レポート」をご覧ください。
.

バランスウエイトの自作

市販品にはないバランスウエイトが必要なときは、簡単に自作することができます。

材料は、塗料を小分けにするためのふた付き金属缶、または、缶詰の空き缶と釣りのおもりに使う鉛です。缶に鉛を溶かして流し込んで作ります。鉛を溶かすためには鍋のようなものが必要です。アルミの鍋でも鉛よりは融点が高いので可能ですが、薄いと危ないので厚みのあるものを使うか、鉄やステンレスの鍋を使った方が良いでしょう。
鉛は鉄より密度が高いので、同じ大きさなら鉄より重いウエイトが作れます。

下の図は塗料用の缶の場合です。バランスウエイトシャフトがネジの場合は、それに合うナットを使用し、ただの棒の場合は、それがぴったり通る太さのナットを使用します。シャフトが貫通した方がいい場合は、ナットを一番上まで並べてください。空き缶の場合はふたがありませんが、上側の面にアルミテープなどを貼れば鉛が露出しません。
この中に鉛を溶かして流し込めばでき上がりです。鉛の融点は約330℃で、ガスコンロで簡単に解けます。できれば缶の方も別なガスコンロで加熱しておいた方が良いでしょう。この作業は、卓上用ガスコンロを外に持ち出して屋外でやってください。鉛は有害物質です。

鉛が十分冷えた後、外側のナットを外してボルトを抜きます。ボルトは指で回るはずです。きついときは缶の内側のナットを締めすぎたためです。その場合は、プライヤーなどで挟んで回してください。

鉛は釣具屋さんに行くと、大きいおもりがバラで売られていますので、それを買い占めてくることになります。1kgあたり600円ぐらいでしょう。
太いボルトやナットが近くのホームセンターになければ、MonotaRo(「部品の購入先」参照)などから通販で買えます。

.
ノウハウ集目次へ
.
フラット画像撮影板の製作

冷却CCDの画像処理の際にはフラット補正が必要です。フラット補正用の画像撮影は、モノクロ冷却CCDの場合、薄明中の空でもいいので簡単ですが、カラーCCDやデジカメの場合は、白く均一に照明された板に鏡筒を向けてフラット画像を撮影しなければなりません。鏡筒を外して外に持って行くわけにもいかない場合は、ドーム内に白い板を置くしかありません。

「白い板」というのがなかなか適当なものがありませんでした。
条件は、
 ・色は純白
 ・時間が過ぎても変色しない
 ・平面性が良い
 ・表面はマット面
    というところでしょうか。

最悪、コンパネに白い紙を貼ろうと思っていましたが、ホームセンターでいろいろなものを見てきて、最終的には、天文台の観測室外壁に使用したものと同じ「複合板」にしました。3mm厚の合成樹脂板の両面に薄いアルミ板を貼り付けたものです。アルミ板の表面がいろいろな色に塗装されています。もちろん「白」を使います。塗装面は純白で、結構いい感じのマット面でした。これ以外には片面が白に塗装されたベニヤ板がありましたが、「表面がマット面」とは言い難く、なめらかすぎ(反射が大きい)ました。
複合板は182cmx91cmサイズなので、これを半分に切って使います。これで両面が白い板を2枚確保したので、使っているうちに汚くなったら裏側にして、その面もダメになったら残り半分に交換すればいい。表面には保護シートが貼ってあるので、長期間保存しておいても大丈夫でしょう。

取り付け方は写真の通りです。アルミ角パイプを上下に使い、それに片側2カ所づつ穴をあけてネジで固定しました。角パイプはドームのフレームに固定しましたが、その際、フラット板の上下方向にテンションがかかるようにしました。上下に引っ張って、たわまないようにしたわけです。

ここまでできて、次が問題です。この板をどうやって照明したらいいでしょう。まず、白い光源でなければいけません。白と言っても、蛍光灯のように輝線スペクトルを出すものはNGです。白色LEDは? これはよく知らないのですが、モノとしては青色LEDに黄色フィルターを付けたものだと聞いているので、分光感度特性はどうなのでしょう? フラット画像撮影時には、望遠鏡の鏡筒先端に半透明の白いアクリル板を丸く切ったものを取り付けます。光がそれぞれで反射・透過するわけで、厳密に「白い」光がCCDに到達するはずがありません。だいたい白ければいいのでしょう。

「スター・パーティー」オーナーに照明用光源について教えていただきました。彼はペンションオーナーになる前は、照明器具の専門家でした。さすがに専門家の意見は聞いてみるものです。すばらしいアドバイスをいただきました。結論的には、ほとんど「白」と言っていい光を出す特殊な蛍光灯があるそうです(こちらこちら参照)。それを使うか、白熱電球のように物体を加熱して連続光を発生させるタイプの光源に色温度調整フィルターをかけるかのようです。白熱電球の色温度は2800k程度なので、これを白色光に近い色温度にするには、C12フィルターとC2またはC4を2枚重ねにするといいようです。しかし、この場合、白熱電球は赤外線を多量に放射するため、Cxxフィルターではそれを吸収しきれないため、赤外カットフィルターも使用する必要があります。私の所は、カメラ側に赤外カットフィルターを常用しているため、それは問題ありません。
私は前者を採用しました。詳細はまた後日・・・
.
反射鏡面のホコリを飛ばす

普通の鏡筒のニュートン式反射望遠鏡の場合、鏡筒の一番奥に反射鏡があって手が届かないし、鏡面の状態を近くで見ることもできません。構造上必ずホコリがつきますから、時々空気を吹き付けるなどして吹き飛ばさなければなりません。手が届けば、ゴム球のブロアーでいいですが、届かないときどうしますか?

ここではちょっと大がかりなことをしています。工場などによくあるエアーコンプレッサーをドームの下に置き、圧縮空気をホースでドーム内に持ってきて、エアーフィルターを通してから、ながーいノズルの付いたエアガンで主鏡に空気を吹き付けています(右下の写真)。
コンプレッサーは2〜3万円で買えますので、さほど高価でもないですが、ちゃんとしたエアーフィルターはコンプレッサー本体よりも高価です。行きがかり上買ってしまいましたが、主鏡の清掃用にはオーバースペックでしょう。しかし、他に方法があるかといえば、何もないので仕方ないのかも知れません(ニュートン反射の鏡筒には、主鏡清掃用の窓が必要です)。コンプレッサー+エアフィルター+エアガンがあれば、対物レンズやアイピース等の清掃にも活躍するので、これでいいことにしました。

コンプレッサーを使う場合、エアフィルターが必須です(左下の写真。圧縮空気が右から入って左に出る。下はドレン排出用パイプ)。コンプレッサーからダイレクトにエアガンにつなぐと、ノズルから「ドレン」が吹き出して、レンズや反射鏡をかえって汚してしまいます。

ななつがたけ北天文台のあるところは湿気が多く、明け方には主鏡に夜露がつきます。日が昇る頃には、主鏡から水滴がしたたる状態になります。夜露はほぼ純粋な水ですから、主鏡が夜露でびしょびしょになっているとき、エアガンから圧縮空気を主鏡に吹き付けると、純水で洗っているのと同じ効果があります。主鏡が夜露でびしょびしょになった朝はこれをやって、軽く鏡を洗っているのと同等の効果を得ています。こうすると、当然主鏡に付いた夜露の乾燥も早くなります。
.
ノウハウ集目次へ
.

タカハシε180接眼部にイーソスアイピースを付ける

タカハシε180ED+イーソス13mmの組み合わせで、倍率38.5倍、瞳径4.7mm、実視界2.6度、歪曲なし!視野全体の星が点像!というすばらしいRFTになります。しかし、そのままでは、ドローチューブを一番奥に入れても惜しいところでピントが合いません。私の場合、あと1mm奥にいってくれたら・・・ というところでした。そこで、タカハシの接眼部を旋盤加工して3mmほど短くしました。たかだか3mm短くなるだけですが、これでほとんどの人が合焦するはずです。ε180EDには、イーソス13mmが1本あればそれで十分ですから、ぜひこの組み合わせとこの加工をお勧めします。
なお、接眼部を短くするということは、ε補正レンズとアイピースの距離が短くなるということで、その結果、ドローチューブの位置が外に出るわけで、接眼部を3mm短くしたから、ドローチューブが3mm外に出るというわけではありません。

加工前と加工後の写真を並べてお見せしますので、どこをどうすればいいのかわかると思います。
 ・外側の銀色のリングのギザギザのない部分を削り落とす
 ・内側のネジ部分を3mm程度削り落とし、内側を元とほぼ同じ角度で斜めに削る
 ・矢印の部分をネジの谷の深さと同じかやや深めに削る
3つ目がポイントです。ここを削らないと外側のリングがロックする位置まで回りません。

自分で加工できない、頼む当てがない場合は、次の「ε180EDの接眼部を2インチに」を参照してください。

ε180EDには2インチスリーブがないので、イーソス側は31.7mmバレルを使います(下の写真参照)。その場合、ロックリングが2インチバレルの中に入ってしまいます。どうやってロックリングを回すんだ!という構造になりますが、イーソスを接眼部に押しつけながら回せばロックします。ここで、もうひとつノウハウがあります。イーソスを接眼部に押しつけながら回しても、空転している感じで、完全にロックしてこれ以上回らないというところまでなかなかいきません。しつこく回し続けると、それ以上回らないところまで行きますが、そこまでやってしまうと締めすぎです。外すときはずれなくなります。力を入れて外そうとすると、接眼部側の締め付けリングが回る前に、イーソスの31.7mmバレルの付け根のネジが回ってしまいます。イーソスは内部のレンズが銀色の部分の付け根のネジで固定されています。バレルを外すと内部のレンズが落ちてしまうと説明書に書いてあります。それをやった場合は、保証対象外だそうです。イーソスをタカハシの接眼部に押しつけながら回したとき、空転していても十分ロックしています。それ以上回さないようにしてください。


イーソス13mmの後、6mm,8mm,10mm,17mm とイーソスシリーズが充実しました。
17mmは2インチスリーブのみで、残念ながら下記の2インチバレルを使ってもε180EDでは合焦しません。8mmはイプシロン標準の31.7mm接眼部に、締め付けリングが回せる程度まで差し込んで使用すると右の写真の位置で合焦します。一番奥から7・8mm出たところです。これならば6mmと10mmも差し込む深さを調整すれば合焦するでしょう。


.

ε180EDの接眼部を2インチに

上にあるような接眼部加工をしなくても、ε180EDにイーソス13mmを取り付ける方法がありました。
市販の部品2つでできます(できそうでした)。タカハシのスターベースオリジナル商品として販売されている「54−42(オス)mm変換AD」とビクセンの接眼部アダプター「42T→50.8AD」です(写真 左上)。このふたつをつないで、ε180EDの眼視アダプターの代わりにねじ込みます。ただ、この状態だとアイピースが前に出すぎて(写真 右)惜しいところでピントが出ません。そのため、写真左下のように手元にあったボーグのリングを2個間に挟んで光路長を調整しました。

このようしてε180ED接眼部を2インチスリーブにできますが、ε180は20mmアイピースで有効最低倍率になります。ですから、イーソス13mm以外の2インチアイピースを付けてもほとんど意味がありません。しかし、別な用途で2インチスリーブが必要な人には便利です。

なお、ε180EDの接眼部を2インチにしたいのではなくて、31.7mmでいいから光路長を短くしたいという場合は、次の「31.7mm接眼部」を参照してください。

.
31.7mm接眼部

31.7mmスリーブの接眼部はどれがいいのでしょう。2つ上に、タカハシの接眼部の写真があります。これがいいという人も多いですが、私はいまいちです。これの欠点は、アイピースをはずそうとして締め付けリングを回したき、36mmやその先のねじが回ってしまうことがあります。また、抜け止め用の溝があるバレル付きアイピースは、締め付けるのもはずすのもやっかいです。
普及品の外側から1本のねじで押すタイプは、最近の重くて大型のアイピースだとガタつきます。ねじが2本ならいいかというと、2本でも多少のガタが残ります。私の場合、このタイプのスリーブが付いたものは、3点ねじに改造しています。これは2インチスリーブでも同じです。右写真の矢印の位置あたりにタップをたてて3本目の留めねじを追加します。
1本ねじ+真鍮リング締め付けタイプは、1本ねじよりは多少マシという程度です。

私が最近一番気に入っているのは、バーダーの「Click Lock Eyepiece Clamp」です(写真 左下)。この写真で、下側はメスのTねじです。これを左側の2インチ−Tねじ変換リングに付けて2インチスリーブに差し込めば、右の写真の状態になります。
これの優れている点は、アイピースを差し込んで外側のリングを20度ほど回せば確実にロックされます。アイピース側のバレルに抜け止め用の溝があってもなくても同じです。はずすときは反対に回せばよく、力はいりません。ワンタッチで簡単に付け外しができて、別なところが回ってしまうこともありません。また、これには視度調整機構があります。1個だけで使うときは無用の長物ですが、これを双眼装置に使えば大変便利です。バーダーの日本名「究極双眼装置」には、これと同等品が付いています。

バーダーClick Lock Eyepiece Clampは国際光器で¥6,090-です。機能的にこの価格は納得できますが、50.8mmスリーブ-42mmTネジオス変換リングも必要です。こちらは¥7,140-と暴利と思われる値段です。50.8mmスリーブオス-42mmTネジオス変換リングは、SBIGの冷却CCD ST-XEシリーズに付属するのと同じものです。私はそれは買わないで、手元に同等品があったので、少し加工して使いました。(写真 左下)

また、上の項目にあるε180EDの接眼部に関係しますが、標準の接眼部よりも背を低くしたい(光路長を短くしたい)場合は、スターベースの「54−42(オス)mm変換AD」と、このバーダーClick Lock Eyepiece Clampを使えばいいでしょう(写真 右下)。この場合、Click Lock Eyepiece Clampの外径が大きいため、イーソス13mmは取付できません。
.
S3pro+HyperUtility

天体写真を撮っている人は、デジタル一眼と専用の制御ソフトを使って、パソコンからカメラをコントロールしている場合も多いと思います。私は、富士のS3proと「Hyper-Utility」を使っています。こうすると、パソコンからすべてのカメラ側の設定ができて、撮影された画像データはハードディスクに保存されるし、撮影した画像がすぐにパソコン画面で見られて便利です。
便利ではありますが、この「Hyper-Utility」というソフトの最大の問題点は、バルブの露出時間が設定できないことです。カメラ側に設定のあるシャッタースピードだけしか使えません。最大30秒までです。それを超える長時間露出の場合は、露出開始時にマウスでパソコン画面上のシャッターボタンをクリックし、時計を見ながら予定の露出終了時間になったとき、もう一度クリックしなければなりません。「バルブの時の露出時間を入力できたらいいのに・・・」と思うわけですが、カメラ側にそういう機能がないのでソフト側にもありません。


そこで! 知り合いのSEにタイマーソフトを作ってもらいました。1日でできあがりました。右の画面です。たとえば、5分露出したい場合、「5」「分」をクリックします。そうすると、「300」と表示されます。その後、「Ready」をクリックします。このときは何も起こりません。その直後、「Hyper-Utility」のシャッターボタンをクリックしたとき、カウントダウンが始まります。そして「0」になったとき、「左クリックする」「クリック位置復元する」にチェックが付いていれば、シャッターボタンをクリックしてくれると同時に、「サウンド」で指定した音が鳴ります。このユーティリティーは、他メーカーのカメラコントロールソフトでも使えます。Bの時、始めと終わりにシャッターボタンを押すタイプのソフトならどれでも動くはずです。

これは便利です。S3proで露出するとき、時計を見る必要がなくなりました。露出終了近くになったとき、パソコンのそばに付いていて、マウスをクリックする準備をする必要もありません。
もし、これを見た方で、「それ、欲しい!」と思った方にはお分けします。メールしてください。
.
ノウハウ集目次へ
.
防寒具

ドームやスライディングルーフなどの観測室内用の防寒グッズを紹介します。

まず寒いのは手です。手袋をつければいいのですが、キーボードやマウスの操作が必要なので、難しいところです。釣り用品として、親指と人差し指と中指の3本だけ指先が出る手袋があります。針にえさを付けるとき必要なわけですが、これが便利です。右手はそれひとつだけにして、左手はその上にさらに別な手袋をつけます。両手の指先が必要なときは左の外の手袋を取ればいいし、右手は使うとき以外はポケットの中です。
次に寒いのは足ですが、観測室の中でも外用の防寒ブーツを履けばいいかもしれません。でも、床に落ちているケーブルや用品を踏んだとき、壊しやすいうえに、「踏んだ」という感触が伝わりにくいのが難点です。テントシューズ・・・というのでしょうか、ダウン入りのやわらかい靴(靴下?)ですね。これならば何かを踏むと踏んだことがすぐ認識できるし、柔らかいので壊しにくくていいと思います。でも、防寒にはこれ1枚では全然足りません。2枚重ねなら・・・それでも不足です。それなら3枚・・・と思ったのですが、いい方法がありました。モコモコの暖かそうなスリッパがありますよね。それを2枚重ねのテントシューズの中に入れてしまいます。普通サイズのスリッパならぴったり入ります。これで比較的柔らかいし、歩きやすいし、−10度以下でも十分暖かいです。

次は頭と顔です。フード付きの上着よりは、毛糸の帽子をかぶった方が暖かいと思います。これはお好みで。マスクもあった方がいいですね。ごく普通の、風邪をひいたときに使うものでも、あるとずいぶん違います。吐いた息でレンズを曇らすこともなくなります。
あとはマフラーがあれば完璧です。マフラーは見た目に存在感のある大振りなものよりは、小さくて薄くて頼りなさそうなもの(でも、実は高価なカシミヤ製だと最高。逆に、安いタオルでも可)を首にぴったり巻いた方が暖かいと思います。じゃまにもならないし。

肝心なジャッケットがないじゃないかといわれそうですが、関東地方ではアウトドア用品店も含めて一般のお店では、−15度まで耐えられるダウンジャケットは売っていません。これだけは登山用品店などで、いいものを買ってください。高級すぎると−10度ぐらいでは暑くて汗をかきますが。オーバーズボンは安くても大丈夫でしょう。私は店内で最も暖かそうなジャケットとオーバーズボンのセットを上州屋のバーゲンで3500円ぐらいで買いました。この下だけをドーム内で使っています(上は昼間の外出に使えます)。春先に、山用品やアウトドア用品屋さんを回ってみると掘り出し物があるかもしれません。

これ以外に、観測室にはドライヤーを常備すべきでしょう。レンズが曇ったときに、あっという間にくもりが消えるし、手が冷たくなったとき便利です。また、寒くてパソコンが起動しないようなときは、パソコンの吸気口からドライヤーの熱風を入れてやると起動します。
.
VMC260接眼部改造

天文台にビクセンのVMC260Lがありますが、接眼部が弱点です。主鏡移動方式なので、大きくはないですがミラーシフトがあります。眼視でも高倍率にしたときあまり気分が良くないし、写真鏡とするにはピント合わせの精度が足りません。VMC260Lの非常に単純な接眼部に、フェザータッチフォーカサーを付けることにしました。

VMC260Lの接眼部内側には、ビクセン標準の60φピッチ0.75mmのメスネジがあります。ここに2インチスリーブなどをねじ込みます。その外側に66.7φピッチ1mmのオスネジがあります。この外側のネジに付くアダプター類は一切ありません。このネジを利用してフェザータッチフォーカサーを付けようと思います。

アダプターを自分で作らなければならないので、部品が必要です。ボーグの「シュミカセ→ヘリコイドMAD 品番:7428 A:2インチメスネジ B:M68.8P0.75メス」が使えます。これの2インチメスネジ部分を削り落とします。7428の内側に旋盤で、66.7φピッチ1mmのネジを切ります(・・・と簡単に書きましたが、素人には大変!)。これをVMC260L接眼部外側にねじ込み、68.8φピッチ0.75メスネジ側にボーグ扱いのフェザータッチフォーカサーを付けます。
完成したものが右下の写真です。









.
五藤1インチ接眼部を31.7mmに変更する

五藤光学の古い望遠鏡を未だに使い続けている人も多いと思います。特に、鏡筒は丁寧に使えば腐らないので、一生使い続けることもできます。しかし、昔の鏡筒は、ツァイスサイズの1インチ(25mm)スリーブと36mmねじ込みアイピース仕様です。現在の標準はアメリカンサイズの1・1/4サイズ(31.7mm)と2インチスリーブになりました。五藤に限りませんが、古い鏡筒に現在のアイピースを付けたいところです。

五藤の8cm鏡筒のドローチューブは内径が40mm程度。アイピースアダプターを付けるために内側に切ってあるネジが「T2」規格です。バーダーのT2パーツ群が使えます。国際光器で取り扱っていますのでこちらをご覧ください。
右の写真は
    #7 + #6 + #01B + #26 + #8
となっています。#6・#7のクイックリリース装置で接眼部の向きを自由に変えられるところがポイントです。#01B は #01、#01A、#02 でも同じです。
実はこの使い方だと #7 + #6 + #01B が逆向きです。
    #26 + #6 + #7 + #01B + #8
見た目はほとんど変わりませんが、こちらが正統な使い方になります。
当然、2インチアイピースは使えませんが、多少けられても2インチの長焦点アイピースを使いたいという場合は、#8 を外してビクセンの「42T→50.8AD」を付ければ可能になります。


昔のドローチューブは、重いアイピースや天頂ミラーを想定していないので、写真の天プリにXWアイピースを付けるとずり落ちます。ピントを合わせたらロックしてください。
.
MAXVISION 2インチ接眼部とキャップの改造

MAXVISION 127ED はとてもよく見える望遠鏡で、低価格でもあり、コストパフォーマンスの高い鏡筒です。しかし欠点があり、そのままでは2インチ天頂ミラーを併用するとドローチューブを一番奥まで入れてもピントが合いません。これが中国製品らしいところです。仕方ないので、買った人が光路長を短くしなければなりません。

初期の製品の場合、2インチバレルを外すと58ミリのオスのフィルターネジがあり、そこに写真のボーグのパーツを付けると光路長が短くなり解決します。
右の写真をクリックすると大きな写真が出ます。
   7912+7501 の組み合わせです。

現行製品(ドローチューブに目盛りの付いたもの)の場合、2インチバレルが外れないようなので、光路長の短い2インチ天頂ミラーを選ばなければなりません。いろいろ試してみたところ、テレビューの製品が一番短いようです。ハイペリオンズームを付けたとき、8mmぐらいの余裕ができます。

MAXVISION の鏡筒を買ったら、対物キャップも改造しましょう。







このキャップは金属製のねじ込み式ですが、このネジのピッチが小さくて、きつく締めるとネジが噛んでしまい、とれなくなる可能性があります。
キャップの端のほう(銀線上)に2つ穴を開け、タップをたて短いネジをねじ込んでおきます(キャップのすぐ内側にレンズがあるのでネジの長さに注意!)。
写真は1/4インチネジで六角レンチで回すタイプです。これくらいがちょうどいいでしょう。いざというときは長い棒を2本のネジに引っかけててこの原理で回せます。
 .
.
ノウハウ集目次へ
.