栃木の山を下りながら、私はふとブナの立枯れを見て思った。木々は枯れてすらなおも、その身を森に
与え続けいる。私達は森から沢山の物を得る。しかし森に何かを還す事は出来るだろうか。今の私に
は”森に何かを還す”なんて事は到底できやしない。そんな事を考えながら、栃木の森を後にした。
そして私達は一路福島の森を目指した。到着した森では、
ヒメオオを採集しに来たであろう親子連れに行き合った。成
果のほどを伺ったが、あまり好い成果は上がらなかったと
のことであった。こりゃ私たちの成果も思い遣られてしまう。
(^^;; まァ初めから私的には、ヒメオオは諦めモードであった
ので、ねくとんさんと悪友Mにヒメは任せて先行して頂くこと
にした。
私の今回の採集は、コブタタキがメインテーマとなっている
ので、後からせっせと落ち葉や落ち枝を叩いてのぼることに
した。
しかしながらまだちょっと早いのか、落ち枝はおろか落ち葉すら少ない状態で、思うようにコブタタキが捗ら
ない。(^^;; それでも辛うじて枝に引っ掛かった枯れはを根気良く叩いて行ったところ、程よく湿り気のある
落ち葉で要約最初の1頭が転げ落ちてきた。(^^
約1年ぶりの採集である。(^^;; そして今回のコブ採集は、標
本を目的とした採集ではない。コブヤハズカミキリのブリード
に挑戦してみようと思い、その親虫の採集が目的である。
よって、採集した個体は〆ずにルアーケースに入る事となる
。後に専門家の先輩にお聞きした所、この時期に採集した個
体でのブリードは、ほぼ不可能・・とのことであった。(^^;;
ブリード目的で採集するなら、5・6月ころの早期に採集した
個体が望ましいとのことであった。(^^;;
まァそれでも、眼つきは悪いものの、その愛らしい仕草と憎
めないキャラクター(?)の癒し系ペットとして、今わたしの飼育
棚を癒してくれている。
一度採集に成功すると、何となくコブの好きそうな落ち葉が分かり始めた。ぼちぼちと言った感じで採集しな
がら進んで行くと、前回オオチャイロを採集した立枯れが藪の中に見えてきた。
少々寄り道をして立枯れによってみて唖然とした。立枯れが”割られていた”のだ。もはや材割を通り越して
いる。一体なにを採集しようと思ったのか・・。
そしてオオチャイロの発生していたであろう洞を見て愕然としてしまった。こともあろうに土ごと持って行かれ
ていた。こんな惨い採集をしなくとも、洞をそっとしておけば数年に渡って採集することが可能であるものを・・。
ある意味に置いて、私は自分で自分の首をしめている状態なのかも知れない。ブナは枯れてなお森にその恩
恵を与えている。姿は枯れているが、決して”死んでいる”訳ではないのだ。われわれがその命のクサリを断
ち切るようなことをしてはいけないのだ。

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