NOVEL4 ディセンベルカレッジ白書 3 |
「あー、退屈だぁ」 全てはこの一言から始まった。 軍本部の一室に設置された椅子に、だらしない格好で座り、器用にくるくるとナイフを手で弄びながら呆けているこの男の名は、自称超ウルトライケメンシンガーこと、ミゲル・アイマンという。 戦時中こそZAFT軍の花形『クルーゼ隊』において、カスタマイズされた機体を持つほどの優秀なモビルスーツパイロットであったのだが、現在は軍本部に所属し、護衛任務などに精を出す傍ら、アカデミーの教官として微力ながら力を振るう平凡な毎日である。 しかし、護衛任務に就いても、何も起こらなければ欠伸がでちゃうほど暇だし、教官をやってみても、所詮ひよっこ(ルーキー)以下であるアカデミー生の相手では、ミゲルの有り余った情熱の炎は、ちーっとも燃え上がりはしないのだ。 いかん。このままでは俺が腐ってしまう! 俺が腐れば、FANも泣く! そんな他人が聞けば大迷惑な危機感を覚えた即実行型人間ミゲルは、スチャ!と携帯を取り出したかと思うと、心の友でありシンガー仲間?でもある元同僚(今は休職中)にイソイソと連絡を入れた。 『今、ちょ〜っと電話に出ることができないから、悪いが発信音の後にメッセージを入れておいてくれると嬉しいな♪』 心の友の歌声をBGMに(もちろん自作)ふざけた口調のメッセージが流れてくる。 『ピーーーー!』 「Hi!ダーリン。お願いがあるの。後で電話ちょうだいね。 貴方のハニー、ミ・ゲ・ルより(はーと)」 ブチッ。 携帯を切って、ふふふと不気味な笑いをミゲルは浮かべる。 先日のブルーコスモスの無差別爆弾テロについて、報告書を本部に提出に来ていたディアッカは、せっかく来たのだから昔のよしみで声をかけていこうとして、その異様な後姿を発見し、見なかったことにしよう。と回れ右をした。 だが、気付かれてしまい、ものすごい勢いで近付いてきたミゲルに、ガシッと肩を掴まれた。 オーブ連合首長国。 ナチュラルとコーディネイターの共存共栄を謳うこの国は、先の大戦においても他国に一切干渉せず、自らも侵略を行わないという自国の理念を貫き通した数少ない中立国家である。 連合軍とプラントは現在先の大戦の折に疲弊した国力の復興を、全力で行っている最中であり、この状況下において、プラントの国防委員長がオーブを訪れた表面上の名目は視察であったが、実際は偵察であった。 オーブは小さな島国にすぎないのだが、警戒されるに値する軍事力を持っているからだ。 視察を終えてプラントへと向かうシャトルの中で、金髪の少女は、見るからに厳格そうな男の顔を盗み見る。 自分と同じ年の息子がいると父が言っていた。 この厳しそうな男が溺愛している優秀な自慢の息子らしい。 しかし、その息子とやらもこんなしかめっ面をしているのだろうか? パトリックは確かに男性的で、端正な顔立ちをしてはいるが・・・。 彼の若い頃を想像し、そしてこのしかめっ面をさせてみる。 だめだ、だめだ、だめだ、だめだーーー!! 思いっきり頭を振って、自分の理想と程遠いその映像を吹っ飛ばした。 「どうかなされましたかな?姫」 怪訝そうなパトリックの視線がこちらに向いている。 「い・・いや。何でもないんだ。ああ、そういえばパトリック氏は再婚されたそうだな」 誤魔化すように、言葉を綴る。 「ええ。お恥ずかしながら」 「たいそう綺麗な奥方だと父が仰っていた」 パトリックが頬を少し紅潮させ、取り繕うようにコホンと咳払いをした。 この男でもこういった表情をするのかと、意外に思ったが、それも全て新しい奥方の力かと思うと、微笑ましく思う。 そういえば、その新しい奥方とやらにも息子がいたらしい。 連れ子であるなら、パトリックとは似ていないはずだし、美貌の奥方の息子であれば容姿にも問題はないのだろう。 でもマザコンはゴメンだな・・・。 すかさずその存在も頭の中から消し去る。 カガリ・ユラ・アスハ。 オーブ首長、ウズミ・ナラ・アスハが目に入れも痛くない程、可愛がっている一人娘。 だがその気性も言葉遣いも、女性にしては荒々しく、そこらの男よりも男らしい。 その彼女はいま、一つの大きな難題を背負っていた。 先に述べた通りの人物である彼女には、気さくなその性格のため、異性の友人が沢山いる。 しかし、恋人という存在は皆無であった。 将来オーブを背負うカガリのそんな状況を心配したウズミ氏は、正式にではないがカガリに婚約者を立てることを考えているようなのだ。 その一番有力な候補として名前があがっているのが、小さい頃からの知り合いでもあるユウナ・ロマ・セイランである。 ユウナは優しいし、いい奴だが、カガリは軟弱な男は嫌いだった。 彼に対してカガリは、母親と父親の影に隠れてピーピー泣いているイメージしか持っておらず、ましてや自分の夫にだなんて言語道断もいいところなのだ。 だからカガリは決意した。 公務で遅れてしまったが、このプラントでの3年間の間に、自分の夫を必ず見つけ、オーブへ連れて帰ると! 無論、恋愛に疎いカガリにとって簡単なことではないが、それでもやらなければならない。 そうしなければ、自分はユウナと結婚させられてしまうのだ。 それだけは絶対に嫌だった。 うおぉぉ〜〜っと決意を漲らせている隣に座るオーブの姫を、パトリックは何ともいえない表情で眺めていた。 3年程前・・・つまり大戦が始まる前に交わされたアスランの婚約は、政治絡みの政略結婚が前提のものであった。 しかし、戦争が終わった今となっては、ラクス・クラインとの間に求められている政治的なものはもう意味が無く、強いて言えば国民感情を保たせるためだけのものになっている。 だからパトリックとしては、より条件の良い相手が現れたならば、ラクスとの婚約を解消し、そちらと婚約させても良いと常々思っていた。 オーブ首長の姫君であるカガリはそういう点では有力候補だといえる。 だからこそ、プラントへと渡る予定なっていたという姫を、今回わざわざこちらの宇宙船でお送りすることをオーブ側に申し出たパトリックであったが・・・しかしこれはどうだろう。 女性としての慎ましさは皆無。 荒々しい言葉遣い。 極めつけは愛息であるアスランより遥かに男らしい表情。 とても姫君とは思えない。 再婚したエザリアの子供であるイザークはやはり男だった。 これが良く出来た息子で、そういう点についてパトリックに不満など無いのだが、ずっと娘が欲しいとは思っていた彼としては、早くどちらかに結婚でもしてもらい、娘に「お義父さま」と呼ばれてみたいというのが、ささやかな願望でもあるのだ。 だが、それはこんなガサツな・・失礼。 おしとやかとは決して無縁そうな小娘に言って欲しいものではない。 クラインの娘はどこか達観した風情があり、パトリックは少し苦手であったが、やはりあの小娘で手を打つのが妥当なのだろうか・・・。 自分の息子にもう少し甲斐性があれば、こんな心配などしなくても良いのだろうに。 パトリックは未だに横で唸っている、うるさい姫君から目を逸らし、頭の中に愛妻の顔を思い浮かべながら、嫌なことは忘れようっと、眸を閉じた。 ゲンナリとしているディアッカの背中に愛想良く手を振り見送ってから、んーっと背伸びをする。 軍人、サラリーマン、旅行者など、様々な人間が行き交う宇宙港のドックは、大きく分けて二つの区画に分かれている。 一つは民間人の利用する宇宙船が入港するドック。 そしてもう一つが軍人以外の立ち入りを禁止している、戦艦が入港するドックである。 ただし、例外としてVIP専用の宇宙船は戦艦と同じドックを利用することになっていた。 ジュール隊旗艦ボルテール搭乗口から降り立つ自分の軍服の色に目に留めた兵士は、すぐに敬礼をして寄越す。 軽く敬礼を返しながら通路を進む途中で、面倒なものに遭遇してしまった。 すでに向こうからもこちらが確認出来ているだろうし、あらかさまに引き返すことは出来ない。 仕方なくそのまま歩を進め、少し手前で立ち止まり、しっかりと敬礼をする。 「お久しぶりです。国防委員長閣下」 パトリックはまず彼の軍服に目を留め、それから胸のバッチを確認し、最後に個性的な髪の色を眺めてから、その容姿を自らの記憶と一致させる。 「ハイネか。ご苦労」 ZAFT軍の紅い軍服の胸にFAITHを付けたオレンジの髪を持つ人物といえば、ハイネ以外にはいない。 最高評議会議長の私兵部隊と言える特務隊FAITHには、アスランも所属している。 それは議長を務めていた頃の、パトリックの直属の部下でもあったため、ハイネのことも記憶していたのだろう。 表面上は軍人らしく無表情を保っているハイネを、シブい顔でこちらを睨むように眺めている目の前の男は、とてもあのアスランの実の父親とは思えない。 これで血が繋がっているっていうんだから世も末だよな。などと失礼なことを思ってみたりする。 「確か君は、休職中ではなかったか?」 よくそんなことまで覚えてたな。 そういえばアスランも記憶力がものすごく良い。 こういうところは父親似なのかと思いながらも、頭を働かせてハイネは言い訳を考える。 休職中の人間が、軍服を着て戦艦の周りをフラフラしていれば、そりゃ誰でも気になるだろう。 「はい。自分は、テロの事後処理の手伝いであります」 国防委員長相手に、実は単なる野暮用で遊びにきました。とはいくらなんでも言えなかった。 「では、君に今から護衛任務についてもらっても構わんかな?」 「護衛・・でありますか?」 「姫、こちらへ」 パトリックは傍らにいる金髪の少女をハイネに紹介する。 オーブ首長国連邦の姫君だという彼女を、寮まで送り届けて欲しい。ということらしい。 「頼んだぞ」 「はっ!」 もう一度敬礼をし、ハイネはカガリを促して、その場を離れた。 カガリの半歩斜め前を歩きながら、ハイネは宇宙港の中を出口へと向かう。 民間人が利用する区画を通っているため、周囲にはもう軍人の姿はほとんどなかった。 「お前」 ん?ハイネは足を止めるが、気のせいか。と再び歩き出す。 「おい、お前!」 再び呼ばれて、足を止めた。 まさかと思って振り向いてみれば、オーブの姫君がハイネに無視するな!と怒った顔を向けていた。 お前って俺のことか・・・。 「何でしょう?」 まさか姫君がそんな口の利き方をするとは思わないだろう? だが、表面上は冷静な声で返答する。 「その・・」 「?」 姫は居心地悪そうに周囲を見渡した。 「なんでみんなこっちを見てるんだ?」 「は?」 「だって、こっち見てるんだよ、みんな!私、どこかおかしなところがあるのか?」 その口調がまずおかしいだろ。と、口には出さずにハイネは思う。 俯いて自分の服装を眺めて、首を捻るオーブの姫君。 軽装ではあるが、ボーイッシュな少女と言われて見れば、おかしなところなど特にない。 だから、ああ。とハイネは納得した。 「私の軍服を見ているだけだと思います」 普段浴び慣れている視線であるから、自分では意識することは無くなったが、一緒にいる他人からすればやはり気になるものなのだろう。 「軍服?」 「はい。正確に言えば、軍服の色です」 「どういうことだ?何か意味があるのか?」 ZAFT軍。正式名称をZodiac Alliance of Freedom Treatyという。 プラントの防衛を目的として設立された軍隊であり、基本的には義勇軍となっているため、階級制度は存在しない。 そのため階級ではなく役職で呼ばれ、見分ける一環として制服の色が分かれている。 一般兵は緑、エリート兵が紅、隊長クラスが白となる。 「紅の軍服を着る人間はそれほど多くはありませんので」 ZAFTではほとんどがアカデミーでの訓練を終えてから軍人となる。 その成績が上位10位以内のモビルスーツパイロットだけが紅の軍服を着ることが許されるのである。 出口へと促しながら説明をするハイネに、大人しく従っていたオーブの姫が、言いにくそうに問いかけてくる。 「お前はその・・・先の大戦で戦ったのか?」 この姫は説明を聞いていなかったのだろうか? 紅を着ている以上、ハイネはモビルスーツのエースパイロットなのだから、前線で戦うのは当たり前のことだ。 肯定を示したハイネに、オーブの姫は更に愚問を投げかける。 「お前、人を・・・殺したのか?」 「・・・」 ハイネが纏っている紅は、このザフトにとってエリートの証であり、別の意味で言えば殺戮者の証でもある。 その自分が、まさかこんな質問をされるとは思ってもみなかった。 「どうなんだ?」 この姫君は自分に何を言わせたい? 貴方が想像を絶するくらいの大勢の人間を殺しました。とでも言って欲しいのか? ハイネはオーブという国の理念を当然知っている。 それとも何か?この俺に説教をしたいとでも言うのか? それこそ冗談じゃないぞ! 「軍人としての任務上の行動について、他国の方にお話することは出来ません」 ハイネはわざと意識した冷たい声色で、答えを拒絶した。 流石にその意図に気付いたらしい姫君はそれから黙り込み、ハイネがエレカの助手席の扉を開けると、素直に乗り込んだ。 エレカを走らせしばらくの間、姫君は大人しく外の風景を眺めていたが、沈黙が耐えられないのか思い切ったようにハイネに話しかけてくる。 「あの!」 「何でしょう?」 ハイネはすでに辟易気味ではあったが、相手は一国の姫君だ。 無視するわけにもいかず、感情を殺して応対する。 「その・・すまなかった。変なことを聞いてしまって」 「・・・」 「分かってるんだ。戦争だもんな・・・分かってるんだけど、ごめん。よく考えて物を言いなさいって、私はいつも父上に怒られるんだ!だから・・その、ほんとにすまない・・・」 頭を下げる姫を、これもまた問題だよな。とハイネは冷静に観察する。 仮にも一国の姫君である人物が、こうも簡単に他国の人間に、しかも軍人である自分に頭を下げていいものなのか疑問ではあるが、その潔さがハイネには好ましく思えた。 「いえ。気にしておりません」 「そうか、ありがとう」 前を向いてエレカを運転していたハイネにも分かるくらい、ホッと安堵した雰囲気が伝わってくる。 これで会話終了かと思いきや、更に姫は言葉を繋いだ。 どうやら、おしゃべり好きな人間らしい。 「えと・・私は、カガリ・ユラ・アスハという」 いや、名前は知っているけど。 「お前は何というんだ?」 「ハイネ・ヴェステンフルスです」 「そうか。ハイネと呼んでもいいか?私のことはカガリと呼んでくれ」 「いえ、それは・・・」 出来ないだろ。 他人から言わせるとかなり図太い神経をしているらしいハイネだが、流石にオーブの姫を呼びつけにするなど・・。 「それから、敬語もナシ!普段通りに話してくれて構わない」 「しかし・・・」 「私がそうしたいんだ!そうしないなら、もう口はきかないぞ」 ぷっくりと頬を膨らませてそんなことを言うカガリに、俺はそれでも一向に構わないんだが。とハイネは呆れてしまう。 まぁしかし、人生面白可笑しく、誰とでも仲良く楽しく過ごすことをポリシーとしているハイネは、こんなことで折れるくらい何ともないことだった。 「オーケイ、カガリ」 突然軽くなった口調に、虚を疲れたような表情を見せたカガリだが、すぐに嬉しそうな笑顔に変わる。 「ハイネはいくつなんだ?」 「年齢?」 「そう。私は17だ」 「同じ年だよ」 「え?!」 行き先を聞いて、その目的がおそらくカレッジに通うものであることを予想していたハイネは、カガリが17であることも分かっていた。 しかし、軍服を着ているハイネは年齢より大人っぽく見えるために、カガリは彼を年上だと思っていたので、酷く驚いたのだ。 「おいおい、俺はそんなに老けて見えるのか?」 茶化すようなハイネの言葉に、慌ててカガリは謝る。 オーブの軍人は、ハイネのような10代の若者は少ないらしく、同じ年で軍人をしている者がいるとは思わなかったのだそうだ。 理由には納得できるが、オーブってのは随分と平和な国なんだな。とハイネは皮肉に思う。 ZAFTにはハイネよりも若く軍人になり、そして散っていった者も沢山いるからだ。 それから他愛も無い話をしているうちに、ハイネのカガリに対する印象も大分変わった。 カガリが世間知らずなお嬢様であることは否定出来ない事実のようだったが、良い意味で素直であり、まっすぐな性格をしていたからだ。 きっと彼女は、深い愛情に包まれて育ったのだろう。それだけの価値がある、明るい笑顔を持っていた。それは、カガリの最大の美点のようにハイネは思う。 オーブ寮に到着すると、彼はカガリのためにエレカの扉を開けた。差し出さしたハイネの手に、自分のそれを照れくさそうに乗せて、カガリはエレカから降り立つ。 そんな紳士的な仕草はハイネにとって慣れたもののようで、カガリにはそれがすごく自然に見えた。 「ハイネ」 「ん?」 カガリより頭一つ分身長の高いハイネを見上げると、先刻まで無表情だった顔には、今では微笑が浮かんでいる。 鮮やかなオレンジの髪は太陽の光の加減で淡いオレンジに変わっていた。 コーディネイターだからなのかはカガリには判断がつかないけれど、こうして日の光の下で改めて見るハイネの容姿はとても整っている。 「また会えるか?」 「・・・」 それはある意味とても変な質問だった。 ハイネは軍人の任務としてカガリの護衛をし、寮へ送り届けただけである。 カガリの問いが、軍人としてのハイネに向けられたものであるなら答えはNOだ。 事実、ハイネは今軍服を着てはいるものの、これは単なる偶然であり、現在は軍を休職している身の上だ。 例え復隊したとしても、カガリの護衛任務に再び就く可能性は1%にも満たないだろう。 しかしこの問いが、個人としてのハイネに向けられたものであるなら? だがそうなると、その言葉の真意は? 「わっ、私、変なこと言ったな!ごめん、忘れてくれ」 無意識に発した自分の言葉の意味に気付いたカガリは、頬を染めて慌てて叫ぶ。 ハイネが軍人として優秀でありFAITHに任命された一番の理由は、MS操縦技術が確かなこともあるが、それ以上に何事においても聡い人間であったためだ。 それは任務においてもそうであるし、人間の感情面についてもそうであった。 だから当然、恋愛についても例外ではない。 そこでハイネは考える。 カガリを好きか。嫌いか。 彼女の良い点と、好きになれない点を思い浮かべて加算する。 結果がプラスであるなら、彼女が好きだし、マイナスであるなら嫌いなのだろう。 今回の場合、カガリにとって幸いなことに結果はプラスだった。 まぁ、その好き。は、今の時点では恋愛要素では無いにしても。 「じゃ、じゃあ送ってくれて、ありがとう」 それだけ言って立ち去ろうとするカガリを、ハイネは呼び止めた。 振り返ったカガリに、フッと微笑んで見せ、 「また会おう、カガリ」 そう言ってハイネは敬礼をし、エレカへ乗り込んだ。 |