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三行書評 第2回

2001.6.5

 五つ星が満点。

椎名誠・林政明
『あやしい探検隊 焚火発見伝』
(小学館ISBN4-09-394043-6)
お薦め度 ★★★★
あらまし 狸・鮟鱇あんこう・羊・馬鈴薯ばれいしょたけのこ・油揚・猪・馬鹿貝を使った料理を紹介。沖縄ではチャンプルーにも挑戦している。“焚火発見伝”とある通り、焚火や炭を使った野外料理であるが、レシピ集ではない。あとがき座談会「わしらは何を食ってきたか」付き。
コメント 軟弱な僕はキャンプというのをやったことがない。でも(だからこそ?)ヘッドランプを着けて酒を酌み交わすのは良さそうだなぁとしみじみ思う。空腹時に読むと堪らん一冊。
小沢昭一
『日日談笑 小沢昭一的人生』
(晶文社ISBN4-7949-6459-5)
お薦め度 ★★
あらまし 対談集。対談者は、柳家小三治・内海好江・網野善彦・井上ひさし・関敬六・佐野洋子・小宮悦子・阿川佐和子・立木義浩・黒鉄ヒロシ・柴田政人ほか(敬称略)。
コメント 柳家小三治との対談は佐渡行が話題になるのだが、ここに出てくる不思議な鮨屋がやはり気になる。ラーメンも鮨も出すという店で、どっちもとびきり旨いというのだ。佐渡島のどこかにあって、入り口は別、親がラーメン倅が鮨を出す。判る人いますか?
本多勝一
『ドイツ民主共和国』
(本多勝一集29/朝日新聞社ISBN4-02-256779-1)
お薦め度 ★★★
あらまし ドイツ民主共和国とはいわゆる東ドイツのこと。統一直前の1990年と1997年の二回にわたって訪れたルポ。政治家などに話を聞くのではなく、ヒルトブルクハウゼンに腰を据えて一般市民に取材しているのは旧来の手法。
コメント 話が飛ぶけれども、この人の『日本語の作文技術』(朝日文庫)は勉強になる。小説家のような名文を書くことは難しいが、新聞記者のようなわかりやすい文章を書くのは簡単だ。そのヒントがある。
一ノ瀬泰造
『地雷を踏んだらサヨウナラ』
(講談社文庫ISBN4-06-183434-7)
お薦め度 ★★★★
あらまし 1973年、アンコールワットへ行くといって消息を絶ったフリーカメラマンの写真&書簡集。浅野忠信主演で映画化された。
コメント カバーを外してポケットに入れ、引っ張り出してページをめくる――こういうのが似合う文庫本。なんか元気が出てきた。このままじゃいけないと思ったもん。
タック川本
『ここがヘンだよ、日本のプロ野球』
(廣済堂出版ISBN4-331-50762-9)
お薦め度 ★★★★
あらまし 著者はアナハイム=エンゼルスの国際部編成担当。《(日本の)野球界が抱える深刻な病根を抉りだし、どうすればその再製、発展が可能なのか、メジャーのフロントの目で考えてみた》(「まえがき」から)というのが本書である。
コメント 本書の内容についてはほぼ全面的に賛成(正直な話、僕はプロ野球にまったく興味がないのだけれど)。悪い意味でのジャイアンツ中心主義は止めにして球界全体の発展を目指したほうがよいと思う。まずはドラフト改革――完全ウェーバー方式にして逆指名は廃止するがFA資格獲得年数を下げてFA制度は残す――をしてもらいたい。