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三行書評 第22回

2001.10.29

 五つ星が満点。

西堀栄三郎
『南極越冬記』
(岩波書店ISBN4-00-415102-3)
お薦め度 ★★★
あらまし 初代南極越冬隊隊長の私的な手記。
コメント 個人日誌をもとにしているので、乱雑ではある。であるけれども、貴重な資料である。最後に山場があって、「宗谷」が氷に閉じ込められて帰還が危ぶまれる(二年越冬も覚悟する)。ここは引き込まれて読んだ。結局第二次隊は越冬を断念し犬だけが残される(これがタロジロの物語だ)。絶版。
斉藤政喜
『耕うん機オンザロード』
(小学館ISBN4-09-366065-4)
お薦め度 ★★★★★
あらまし クボタの280cc耕耘機(ビールサーバー・カーナビ装備)による日本一周旅行記。まだ途上である。本書では知床岬から長野県飯田市まで。
コメント 毎月一週間ほど旅を続けているとかで、三年経っても旅は終わっていない。先日テレビ朝日『タモリ倶楽部』に出演していた。ネズミ捕り用粘着テープでスズメバチを捕まえ、焼酎に漬けて精力剤を作っている人など、ユニークな旅行者も多数出演。
平松剛
『光の教会 安藤忠雄の現場』
(建築資料研究社ISBN4-87460-696-2)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 1987年春、金が無いけれども教会堂を建てて欲しいという依頼に対して、建築家・安藤忠雄は「それは、ええもんが建つかも知れん」と応えた。教会の名は茨木春日丘教会。できあがった礼拝堂は「光の教会」と呼ばれるようになるが、竣工までの2年間、苦難の道が続くことになる。本書はそのドキュメントである。
コメント ひとつの建物がどのようにして建てられるのかがよく解る。建築家だけではもちろんダメで、構造設計者・鉄筋職人・型枠職人・打設職人・左官職人・電気屋など、さらにそれらを監理する現場監督も必要だ。モノ作りが好きな人にはかなり楽しめる。それにしても安藤忠雄の“こだわり”は凄まじい。例えば、コンクリート打ちっ放しの壁には型枠の凹凸が映ってしまうわけだが、釘の位置を1cm単位で指定すると言う。
福沢諭吉
『学問のすゝめ』
(岩波文庫ISBN4-00-331023-3)
お薦め度 ★★
あらまし 新字体・新仮名遣いに改めた1978年改版(1942年初版)。
コメント 新字体・新仮名遣いとは言えちょっと解りにくい。それは「読まざるべからず」に代表される言い回しによると思う。音読してみると講談調のリズムがあって読みやすいのだが、相変わらず意味はわかりづらい^_^;。 ところどころ解った範囲について言えば、「日本人諸君、日本文化に自信を持って勉学に励もうではないか」という感じか。あ、怒らないでね>慶應義塾関係の方々。