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三行書評 第23回

2001.11.5

 五つ星が満点。

南部陽一郎
『クォーク 第2版』
(講談社ブルーバックスISBN4-06-257205-2)
お薦め度
あらまし 副題「素粒子物理はどこまで進んできたか」。1997年ころまでに判明した新事実も盛り込んだ第2版(1998年2月刊)。
コメント かなり敷居は高い。バリオンにメソンにレプトンなど、日本語になっているとは言えない単語続出。重粒子に中間子に軽粒子にしてくれれば少しはマシな気がする。こういった用語や概念を把握してから/しながらでないと読むのはツライ。もっとも、知りたかった「4つの力」が何だったかは思い出したのでいちおう満足(説明は難しいけど^_^;)。
村上雅人
『はじめてナットク!超伝導』
(講談社ブルーバックスISBN4-06-257265-6)
お薦め度 ★★★
あらまし 永久磁石が超伝導体の上に浮くだけだったらマイスナー効果だが、回転するものの横にはずれず、さらに浮いてる磁石を持ち上げると超伝導体も付いてくる現象はマイスナー効果では説明できない。これが「ピン止め効果」。超伝導の歴史・原理・現象・応用について述べている。
コメント 何を隠そうまる三の卒論テーマは超伝導だった。けれどもピン止め効果というのは知らなかった(言い訳をさせてもらうと、これはまる三卒業後に広まったらしい)。人間浮上デモの写真(35頁)は一見の価値あり。
大槻義彦
『物理・こんなことがまだわからない』
(講談社ブルーバックスISBN4-06-257226-5)
お薦め度 ★★★
あらまし 自転車日本列島縦断中の健治が偶然知り合った大塚氏に教えてもらうという読み物形式で、「素粒子」「地震予知」「粉粒体」「雷」「大気の動き」など、現在でも判っていない現象を列挙。
コメント 現代物理学の大勢を見渡すためにはなかなか有益な本だ。ただし、判明していないことを中心に書かれているので、狭い意味での知識を得ることはできないかも。言い換えれば、クイズ王を目指す勉強には向かない。
竹内薫
『「場」とはなんだろう』
(講談社ブルーバックスISBN4-06-257310-5)
お薦め度 ★★★★
あらまし 電磁場と量子場と重力場の話。
コメント なかなか上手な文章を書くと――僭越ながら――感心したら、東大教養学部教養学科(法学)と同大理学部物理学科を卒業し、マギール大学(カナダ)哲学科修士課程修了という異色の経歴の持ち主で、職業からして文筆業だった。納得。

 科学読み物シリーズはもう少し続きますm(__)m。