2002.2.1
競技かるたという世界がある。簡単にルールを説明すると――
- 競技は二人の対戦形式。
- 小倉百人一首の下の句が書かれた札100枚のうち25枚ずつを(裏返したまま)選び、並べる。持ち札が25枚ということ。
- 並べ終わったら、15分間の「暗記タイム」。
- 読み手が読み上げた札を取る。読み手は、関係ない歌の下の句に続けて上の句を読む。
- 相手陣の札を取った場合、自陣の札を1枚相手陣に渡す。これを“送り札”という。
- 自陣の札が早くなくなったほうが勝ち。
- 2回先勝したほうが勝ち。
たとえば、上の句が「セ」で始まる歌は「せをはやみいわにせかるるたきかわのわれてもすゑにあはむとぞおもふ」しかないので、読み手が「セ」と発音した瞬間にとることができる。
一方、「キ」で始まる句は「きみがためはるののにいでてわかなつむわがころもでにゆきはふりつつ」と「きみがためをしからざりしいのちさへながくもがなとおもひけるかな」の2句があるので、6文字目まで聞かないとわからない。前者を1字決まり、後者を6字決まりと呼ぶそうだ。(さらに補足すれば、読み手が重複して同じ句を読み上げることはないので、「きみがためはるののにいでて〜」が既に出ていれば、「キ」は1字決まりになってしまう。)
競技かるたの最高峰は、名人戦とクィーン戦。毎年正月に行われている。今年のクィーン戦では、渡辺令恵クィーン(37)が挑戦者・齊藤裕理六段(21)の挑戦を退け、11年連続14回目のクィーン王座を獲得した。その模様がNHK総合『にんげんドキュメント』(木曜日/21:15〜)で放送された。
ド素人のまる三が驚いたのは、決まり字が読まれる前に分かってしまうことがあるというクィーンの言葉だ。後日収録したインタビューによれば、「上の句が読まれる前の読み手の息の吸い方で分かった」という。具体的に言えば――2字決まりの「しのぶれどいろにでにけりわがこひはものやおもふとひとのとふまで」だったと思うのだが――「シ」が読まれる前に取った。人間の反応速度の限界から考えて、子音の“s”で取ったとしか思えないという。
道を極めるとエライ“域”に達するようだ。
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