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三行書評 第37回

2002.2.11

 五つ星が満点。

澤地久枝
『自決 こころの法廷』
(日本放送出版協会ISBN4-14-080619-2)
お薦め度 ★★
あらまし 「餓島」と呼ばれたガダルカナル島からの数少ない生還者・親泊朝省おやどまり ちょうせい陸軍大佐は、敗戦から半月ほどたった9月3日未明に子供も道連れにして一家四人で自決した。「玉砕」と「自決」の意味を、この事件と時代背景を通して「戦争を知らない若い人たちにわかってもらえるように」書かれた本。
コメント 若い人というのは高校生くらいを想定しているらしく、時代背景に多くを割いている。戦争のことをよく知らないなんて人には、★2つをプラスしても良いかも。
立花隆
『論駁ロッキード裁判批判を斬る
(朝日新聞社ISBN4-02-255382-0/ISBN4-02-255522-X/ISBN4-02-255523-8)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 1983年10月12日、田中角栄に対して懲役4年追徴金5億円の一審有罪判決が下されたが、ほどなくして『諸君!』(文藝春秋)誌上にてロッキード裁判批判キャンペーンが展開された。まっとうな批判ならばまだしも、いい加減な論客――渡辺昇一氏や林修三氏・俵孝太郎氏・秦野章氏など――を斬って斬って斬りまくったのが本書(『朝日ジャーナル』に1984年10月から連載)。
コメント いやいやこれは面白い。論の立て方・反論の仕方・論争の方法などの勉強になる。
筑紫哲也氏(連載当時の『朝日ジャーナル』編集長)の「立花隆と本多勝一にはよほどの自信がない限り反論するべきではない」旨の発言を以前聞いたことがあるが、思いっきり納得した。お忙しい方は、『I』全冊と『III』に収録された渡辺氏との公開論争を読むことをお薦めする。過去の話ではあるが、知的読み物として充分に面白い。
森彰英
『スポーツ計時1000分の1秒物語
(講談社ISBN4-06-206041-8)
お薦め度
あらまし 1000分の1秒を計るためになされたさまざまな工夫と、1000分の1秒を縮めるためになされた努力の数々を紹介。
コメント タイトルに「計時」と入っているし、「スリットビデオ」とか「フライング判定装置」とかいう言葉が目次に見受けられたので、プロジェクトXみたいなものを期待して読んでみたのだが、ちょっと違っていた。用具や服装の話が多い。期待していたものと違っていたので★1つ。