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三行書評 第59回

2002.7.30

 五つ星が満点。

ジャン=ルイ=ルチエンヌ
『たった一人の北極行』
(竹内廸也/白水社ISBN4-560-03012-X)
お薦め度 ★★★
あらまし 1986年5月11日、63日かけてウォード=ハント島から北極点までを独りで歩いた冒険報告の抄訳。
コメント ライバルのアメリカ隊が北極点に先着したと聞くと悔しがる。そういう正直で愚痴っぽいところが好き。
トール=ハイエルダール
『コンチキ号漂流記』
(神宮輝夫/偕成社文庫ISBN4-03-650100-3)
お薦め度 ★★★★★
あらまし ポリネシアの伝説の酋長チキとペルーの太陽王コンチキは同一人物ではないのか? ペルーからポリネシアの島々へ筏で海を渡ったのではないだろうか? この自説を確認するため、ハイエルダール他5名は1947年4月28日、バルサの丸太で作った筏《コンチキ号》でペルー・カヤオ港を出発した。
コメント 102日後、6500km漂って――帆走はできるけれどもヨットなどと違って風下へ動くしかない――無人島に座礁し、筏でも太平洋を渡れることを証明したわけだが、これはもうむちゃくちゃ面白い。小学中学年向の児童書だけど、大人でも充分楽しめるはず。ぐりぐりの◎です。
堀江謙一
『海を歩いて渡りたいペダルを踏んで太平洋ひとりぼっち
(TBSブリタニカISBN4-484-93227-X)
お薦め度 ★★★★
あらまし 1992年10月29日にハワイを出航し、107日目の翌年2月13日に東経128度(沖縄に相当)に到達した足漕ぎ艇マーメイド号の航海記録。
コメント 用意周到である。有用なもの――GPS・海水造水機・太陽電池など――をどんどん取り入れて安全性と可能性をできるだけ高めている。本人が言うとおり、冒険ではなくてスポーツかもしれない。
エリザベス=コーディー=キメル
『エンデュアランス号大漂流』
(千葉茂樹/あすなろ書房ISBN4-7515-1814-3)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 第一次世界大戦中に南極大陸を横断しようと向かったものの、氷に閉じ込められたうえ船は沈没。極地に取り残されたシャクルトン隊27名と密航者1名は、一年半後になんとか助かった。
コメント 一時、シャクルトンが「優れたリーダー」としてブームになったような記憶があるのだが、どんな人だったのかまったく知らなかった。中学生向けといってもいいようなわかりやすい――そのかわり少々端折ってある――本。
H.M.スタンリー
『緑の魔界の探検者』
(仙名紀/小学館ISBN4-09-251010-1)
お薦め度 ★★★
あらまし 約130年前、アフリカで消息を絶った探検家リビングストン博士を探し出した新聞記者スタンリーの手記(の抄訳)。リビングストンの「アフリカ横断探検記」(の抄訳)も収録。
コメント 当時は風土病(マラリアや赤痢)や原住民への貢物が大変だったんだね。ただ、ムチを振るったりして高圧的なところがちょっと嫌^_^;。

 冒険・探検シリーズはこれで一区切りです。