2002.9.2
五つ星が満点。
齋藤孝 『理想の国語教科書』 (文藝春秋ISBN4-16-358480-3) | |
お薦め度 | ★★★★★ |
あらまし | 言わずと知れたベストセラー。 |
コメント | 僕が付け加えるとすれば、円谷幸吉さんの遺書かな。遺書がまずければ、キング牧師の演説「私には夢がある」がいいな。 |
フィリップ=K=ディック 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 (朝倉久志訳/ハヤカワ文庫ISBN4-15-010229-5) | |
お薦め度 | ★★★★ |
あらまし | リドリー=スコット監督作品『ブレードランナー』の原作。『時計仕掛けのオレンジ』に勝るとも劣らない変なタイトルだと思うけど、“Do Androids Dream of Electric Sheep?”の直訳である。 |
コメント | 主人公デッカードが妻帯者だったりマーサー教という宗教)が出てきたりと、原作本と映画では違うところがあるけれども、どちらかが劣っているというわけではないというところが素敵。つい先日やっと映画をビデオで見てドキドキしました。 |
森田純一 『島唄オキナワラプソディ登川誠仁伝』 (荒地出版社ISBN4-7521-0125-4) | |
お薦め度 | ★★★★★ |
あらまし | 『ナビィの恋』(中江祐司監督)でナビィの旦那さんを演じたのが登川誠仁さん。畑仕事に出て行くときにアメリカ国歌を三味線で弾いていた小父さんだ。一人の唄者を通じて見た沖縄芸能小史といった趣の本。 |
コメント | 嘉手苅林昌(この人も本家の当主役で『ナビィの恋』に出ていた)・喜納昌永・小那覇舞天といった名前も続々出てくる。 |
金子達仁 『彼らの神』 (文藝春秋ISBN4-16-358540-0) | |
お薦め度 | ★★★★★ |
あらまし | 《スポーツは、経済活動に似ている》をキーワードに、FCバルセロナと阪神タイガースを比べたりしながら、さまざまな視点から日本のスポーツを取り巻く“環境”について考察している。『オール讀物』2001年6月号〜12月号の連載に加筆(徳大寺有恒さんとの対談など)。 |
コメント | 金子さんはサッカージャーナリストだとばっかり思っていたけれども、もっと広くスポーツジャーナリストであるんですね。知りませんでした。ごめんなさい。 |
重信メイ 『秘密』 (講談社ISBN4-06-210859-3) | |
お薦め度 | ★★★★★ |
あらまし | 著者は日本赤軍最高幹部重信房子の娘なので、《二人の関係が知られてしまえば、母や母の仲間だけでなく、私までもイスラエルの秘密情報機関・モサドに生命を狙われる恐れがあった》。したがって母親が逮捕されるまで、無国籍だったいう(2001年3月5日に日本国籍を取得)。 |
コメント | 現在29歳だが、なんとも不思議な人生である。転々と引越し、引っ越したあとは一切連絡を絶つ。日本人と分かってしまうこと――日本語を話したり日本語の本を携帯したり母親の写真を持ったり――はしなかったのだそうだ。 |
遠藤ケイ 『男の民俗学』 (山と渓谷社ISBN4-635-300002-1) | |
お薦め度 | ★★★★★ |
あらまし | 『ビッグコミックオリジナル』に連載し、『男の民俗学』『日本の匠たち』として小学館から刊行された二冊を合本したもの。市井の匠――カバーをから拾えば鵜匠・鷹匠・金魚屋・刺青師・琉球硝子職人・煙突掃除人・黒衣など――を取り上げ、能條純一風の絵と文で紹介している。 |
コメント | 昔の人の知恵に感心したり、忍耐強さに驚いたり。1980年から足かけ10年の連載だったそうだから、今となっては職業そのものがなくなっているものもありそうだが。 |
ざっと見ると点数が甘いような印象があるかもしれませんけれども、そんなことはありません。充実した1週間でしたよ。