←前回 次回→ ?今月の目次 ジャンル別一覧  ご意見ご感想はこちらから

UEFA Champions Leagueを勉強した

2002.9.28

 UEFA Champions League®(以下“UCL”と略記)が始まっていて、地上波ではTBSが各節ごとに1試合位づつ放送している。なにやら凄い大会らしいというのは小耳に挟んでいたのだが、イマイチ全貌がわかっていなかったので、今回、調べてみた。知ってみたら誰かに教えたくなるもので、今日はUCLの話。

ちょっと予備知識(トリビア)。各サッカー協会の“王者”には通常2種類あります。リーグ戦(総当たり戦)の王者とカップ戦(負けたら終わり式のトーナメント戦)の王者です。これを区別するために、以下では前者をチャンピオン、後者をカップウィナーと呼びます。2001年のJリーグを例にとれば、チャンピオンが鹿島アントラーズで、カップウィナーが横浜Fマリノスです(日本のカップ戦は「ヤマザキナビスコカップ」)。

“各国”ではなくて“各サッカー協会”としたのは、イギリスがイングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの4協会に分かれているからです。細かい話ですけど。

 で、各協会チャンピオンが戦って、ヨーロッパNo.1のクラブを決めようという主旨で行われているのがUCLということになる。というわけでここから本題。以下の話は、UEFAのサイトにあった“Regulations of the UEFA Champions League 2002/2003”を参考にした。

 まずは参加できるクラブを決めなければいけない。そのためにUEFA(ヨーロッパサッカー連盟:Union Européenne de Football-Association)は、過去5年間のUCLでの試合結果を点数化して――勝てば2点引き分け1点(ただし予選ではそれぞれ1点と0.5点)――加盟している51の協会に強さの順位をつける。
順位をつけたら、3協会からは上位4クラブに、次の3協会からは上位3クラブに、続く9協会からは上位2クラブに、残りの協会からは1クラブに、また前年度優勝クラブにも参加資格が与えられる。協会内での成績は前年度のリーグ戦の結果による。

 ここでちょっと考える。一番強い協会の4位チームと49位協会のチャンピオンを比べてみると、どう考えても前者のほうが強い。今年を例にとれば、ACミランとディナモ=ティアラ@アルバニアということになるのだが、両者が試合をしてもいいのだろうけれど、番狂わせでACミランが負けてしまうと、はっきり言って後々盛り上がりに欠けてしまう^_^;。そこで、予選を経て段階的に試合が行われる。

段階 概要 試合数
予選1回戦 27位から49位の協会のチャンピオン22クラブを2クラブづつ組み合わせてホーム&アウェイで戦い、勝者11クラブが予選2回戦へ進む。44位のリヒテンシュタインが不参加。また、50位のアンドラと51位のサンマリノのチャンピオンはカップウィナーが戦うUEFA Cupに参加する。こうなっている理由はちょっと不明^_^;。 22
予選2回戦 勝ち上がった11クラブ
16位〜26位協会のチャンピオン(11クラブ)
10位〜15位協会の2位(6クラブ)
計28クラブを2クラブづつ組み合わせてホーム&アウェイで戦い、勝者14クラブが予選3回戦へ進む。
28
予選3回戦 勝ち上がった14クラブ
10位〜15位協会のチャンピオン(6クラブ)
7位〜9位協会の2位(3クラブ)
1位〜6位協会の3位(6クラブ)
1位〜3位協会の4位(3クラブ)
計32クラブを2クラブづつ組み合わせてホーム&アウェイで戦い、勝者16クラブがグループリーグ(本選)へ進む。
32
グループリーグ
第1ステージ
勝ち上がった16クラブ
1位〜9位協会チャンピオン(9クラブ)
1位〜6位協会の2位(6クラブ)
前年度優勝クラブ
計32クラブを4クラブづつ8組に分け、ホーム&アウェイの総当りリーグ戦を行う。各組上位2クラブがグループリーグ第2ステージへ進む。
96
グループリーグ
第2ステージ
16クラブを4クラブクラブづつ4組に分け、ホーム&アウェイの総当りリーグ戦を行う。各組上位2クラブが準々決勝へ進む。 48
準々決勝 負けたら終わりのトーナメント方式だが、やはりホーム&アウェイで行われる。アウェイでの得点が2倍に換算されるので、2引き分けでも決着がついたりする。例えば1-1/2-2だった場合は4-5に換算されるため、2-2の試合でアウェイだったクラブが勝ち上がる。 8
準決勝 同上 4
決勝 これだけ一発勝負。決勝戦の地は持ち回りになっており、今シーズンは、2003年5月28日にオールドトラフォード(ベッカム様が所属するマンチェスター=ユナイテッドの本拠地)で行われる。 1
今年は7月17日から始まった)予選1回戦から数えると、10ヵ月余りをかけて239試合が行われることになる。

実はまだ続きがあって、決勝で勝ってヨーロッパNo.1クラブになったチームは、その年の11月末に行われるトヨタカップのために来日し、南米No.1クラブ(こちらはリベルタドーレス杯の勝者)と戦い、世界一強いクラブを決定するのである(ちなみに2002年のトヨタカップはレアルマドリー(スペイン)とオリンピア(パラグアイ)が戦う。

 以上をまとめたのが以下の表。

順位 協会名 グループ
リーグ
予選
3回戦
予選
2回戦
予選
1回戦
備考
- - TH        
1 スペイン CH  RU         N3  N4      
2 イタリア CH  RU         N3  N4      
3 イングランド CH  RU         N3  N4      
4 ドイツ CH  RU         N3      
5 フランス CH  RU         N3      
6 オランダ CH  RU         N3      
7 トルコ CH     RU      
8 ギリシャ CH     RU      
9 ロシア CH     RU      
10 ポルトガル   CH     RU    
11 チェコ   CH     RU    
12 ベルギー   CH     RU    
13 ウクライナ   CH     RU    
14 オーストリア   CH     RU    
15 ノルウェー   CH     RU    
16 スコットランド     CH    
17 スイス     CH    
18 クロアチア     CH    
19 スウェーデン     CH    
20 ポーランド     CH    
21 デンマーク     CH    
22 ルーマニア     CH    
23 ユーゴスラビア     CH    
24 ハンガリー     CH    
25 スロバキア     CH    
26 イスラエル     CH    
27 スロベニア       CH  
28 ブルガリア       CH  
29 キプロス       CH  
30 ジョージア       CH  
31 フィンランド       CH  
32 ラトビア       CH  
33 アイスランド       CH  
34 ベラルーシ       CH  
35 モルドバ       CH  
36 リトアニア       CH  
37 マケドニア       CH  
38 アイルランド       CH  
39 エストニア       CH  
40 アルメニア       CH  
41 ウェールズ       CH  
42 アゼルバイジャン       CH  
43 マルタ       CH  
44 リヒテンシュタイン         リーグ戦が行われていない?
45 北アイルランド       CH  
46 ボスニア-ヘルツェゴビナ       CH  
47 ルクセンブルグ       CH  
48 フェロー諸島       CH  
49 アルバニア       CH  
50 アンドラ         CHはUEFAカップへ
51 サンマリノ         CHはUEFAカップへ

註:

  1. TH…前年度優勝クラブ title-holder
  2. CH…国内チャンピオン domestic champion club
  3. RU…国内リーグ2位 domestic league runner-up
  4. N3…国内リーグ3位 domestic league 3rd-placed club
  5. N4…国内リーグ4位 domestic league 4th-placed club

 過密スケジュールを避けるため、来年からは第2ステージを止めることが決まっているようだ。

 小野が所属するフェイエノールトが昨シーズン優勝したのがUEFAカップだが、こちらは各協会のカップウィナーたちが戦う。UCLのグループリーグで敗退したクラブはこちらに回ったりする。チャンピオンかつカップウィナーのクラブは両方に参戦しなければいけないので超過密スケジュールになったりする。UEFAカップの方がイマイチ盛り上がらないのは、番狂わせがあるカップ戦よりもリーグ戦勝者のほうが実力が上という認識があるかららしい。