←前回 次回→ ?今月の目次 ジャンル別一覧  ご意見ご感想はこちらから

三行書評 第85回

2003.2.3

 五つ星が満点。

小松成美
『仁左衛門恋し』
(世界文化社ISBN4-418-02512-X)
お薦め度 ★★★
あらまし 十五代目片岡仁左衛門丈へのインタビュー。当代仁左衛門の過去・現在・未来・家族を解剖。
コメント 小松成美さんといえば、中田英寿やイチローへのインタビュー本を刊行しているので、スポーツライターだと思っていたら、歌舞伎にも造詣が深いようだ。ちなみに、力士の敬称が“ぜき”であるように、歌舞伎役者の敬称は“じょう”です。
坂口安吾
『白痴』
(新潮文庫ISBN4-10-102401-4)
お薦め度 ★★
あらまし 1946年ころに発表した小説七篇を収めていた短篇集。
コメント 「青鬼のふんどしを洗う女」が気に入った。文章にリズムがあって読み易い。解ったような口を利いているけれどもどうにも難解である。
三谷幸喜
『気まずい二人』
(角川文庫ISBN4-04-352901-5)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 人見知りで緊張しやすい三谷さんが、『月刊カドカワ』1995年12月号〜1997年3月号)に連載された(連載時のタイトルは「貴女と話したい」)、八木亜希子・十朱幸代・西田ひかる・日笠雅水・桃井かおり・鈴木蘭々・林家パー子・緒川たまき・平野レミ・森口博子・加藤紀子・安達祐実・石田ゆり子との対談集。
コメント テープから起こしているには違いないのだけれど、活字化は三谷さん自身が目を通したそうで「(笑)」を使わないというあたりにこだわりを見せている。単行本化にあたって収録できなかったのが薬師丸ひろ子と寿美花代であることは分ったのだが、『月刊カドカワ』にすら収録できなかった人というのが分らなかった。

おまけです。

郡司道子
『聞き書き 中村又五郎歌舞伎ばなし』
(講談社ISBN4-06-207917-8)
お薦め度 (未了)
あらまし 中村又五郎丈へのインタビュー本。
コメント 又五郎丈の発言を一言半句すべて載せているようだし、郡司さん自身の――あまり有効とは思えない――ト書きが入るし、しゃべった順番どおりで編集されていないという面もあるらしく、ひとつの話題がバラバラになっていたり、あまりにも冗長で、読み継ぐことができなかった。又五郎丈は好きなんだけど……。池波正太郎『又五郎の春秋』(中央公論社)を探してみよ。