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三行書評 第93回

2003.3.31

 五つ星が満点。

今尾恵介
『地図を楽しむなるほど事典』
(実業之日本社ISBN4-408-39507-2)
お薦め度 ★★★★★
今尾恵介
『地図の遊び方』
(けやき出版ISBN4-905942-52-7)
お薦め度 ★★★★
あらまし ほとんど海ばかりの地図があるとか、鉄道廃線が浮かび上がるとか、海外事情だとか……地図にまつわる話。『〜事典』は2002年刊、『〜遊び方』は1994年刊。
コメント 『〜遊び方』のほうが広範囲に扱っている。逆に言うと、『〜事典』は地図そのものに特化しているので、地図に関してはこちらのほうがお薦め。
ジョン=クラカワー
『空へ』
(海津正彦/文藝春秋ISBN4-16-353370-2)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 1996年の5月11日、エベレスト(チベット名チョモランマ、ネパール名サガルマータ)南東稜から頂上を目指した33名のうち7名が遭難死した(北東稜でも同じ日に3名が遭難死するなど、この年、12名が遭難死)。もっとも多くの犠牲を出したアドベンチャー=コンサルタンツ遠征隊に参加し、山頂に到達したのち帰還した著者の報告。
コメント 金(アドベンチャー=コンサルツ社の場合6万5000ドル)をもらって登山を案内する会社があることにまずびっくり(そもそも著者は営業遠征隊の顧客で、営業遠征隊の実態を報告することが目的だった)。それはともかく、臨場感たっぷりである。高度7500m以上の《死の地帯》――高所肺水腫・高所脳水腫・低体温症・凍傷などの致命的な危険がいっぱい――の大変さが想像できる。

 おまけ。

帝国書院編集部
『地歴高等地図』
(帝国書院ISBN4-8071-4076-0)
帝国書院編集部
『新詳高等地図』
(帝国書院ISBN4-8071-4040-X)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 高校地理の地図帳。中国の行政区分(××省)とか民族宗教人口とか気候とかの資料が満載。『地歴〜』のほうには古戦場とか吉良上野介邸の位置とか中国長征の行軍路なんてものが載っている。いずれも1500円+税。
コメント 我が家には道路地図帳と(沖縄返還前1971年刊)の百科事典附録地図帳はあるのだけれど、地形図に類するものはなかった。1冊くらいあったほうがいようなぁと思いながら買ってしまった2冊。

 さらにおまけ。

亀井高孝ほか
『世界史年表・地図』
(吉川弘文館ISBN4-642-07841-X)
児玉幸多
『日本史年表・地図』
(吉川弘文館ISBN4-642-07840-1)
お薦め度 ★★★★★
あらまし ま、表題どおりの2冊。東西の王室の系図や文化史、日本・中国の年号一覧(西暦対応表)も載っている。1300円+税。
コメント 江戸幕府開府(1603年)のころに、フランス人シャブランがセントローレンス川を探検したとか、セルバンテスの『ドン=キホーテ』が執筆された(1605〜16)とか、ジェームス1世が即位したとか、フランス最初の新聞『メルキュール=ド=フランス』が創刊された(1605)とか、アントワープでヨーロッパ最初に新聞が発行された(1605)とか、ウィーン和約(1606)とか、ローマ科学アカデミー創立とか、天文学者ティコ=ブラーエ死去(1601)とか、ロシアで大飢饉とか、アフメット1世即位とか、イギリス東インド会社設立(1600)とか、第1次マニラ華僑虐殺事件とか、『坤輿万国全図』刊行(1605)なんてことがパッと見てすぐ分る。