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三行書評 第129回

2003.12.15

 五つ星が満点。

大西鉄之祐
『ラグビー 荒ぶる魂』
(岩波新書ISBN4-00-430048-7)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 早稲田大学ラグビー部の黄金時代(大学選手権五回優勝・日本選手権二連覇)を築いた著者が語る早稲田大および日本ラグビーの現在・過去・未来。1988年刊。
コメント 1960年代後半にこんなに日本代表が強かった(あるいはラグビー先進国で評判が高かった)とは知らなかった。先日のワールドカップ2003でもいい試合を繰り広げていたんだから(特に対スコットランド戦、対フランス戦)もっともっとがんばって欲しい。
大平貴之
『プラネタリウムを作りました。』
(エクスナレッジISBN4-7678-0251-2)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 13.5等星までの410万個を投影するという、持ち運び可能なプラネタリウム“メガスターII”を個人的な趣味で作成した著者が綴る手記(ちなみに投影する星の数は、メーカー製の場合最新式でも8等星までの3万8000個)。
コメント いやはやこの情熱には恐れ入る。プラネタリウムを作るには天文は言うに及ばず、光学・電気回路・機械工学・微細加工・金属加工・製図・コンピュータ制御・プレゼン力・企画力など様々な技術が必要になるが、着々とそれらの技術を身につけていく。ひさびさのドキドキワクワク本。久しぶりにプラネタリウムに行きたくなってしまった。
J=リチャード=ゴット
『時間旅行者のための常識知識』
(林一/草思社ISBN4-7942-1233-X)
お薦め度 ★★★★
あらまし 小説や映画に見る時間旅行、特殊相対性理論と未来への旅、一般相対性理論と超ひも理論と過去への旅、時間旅行と宇宙の始まり、コペルニクス原理を用いた一考察、という構成(章立て)で描く宇宙物理学最前線(原書は2001年刊)。
コメント プリンストン大学宇宙物理学教授が執筆したにしては(だからこそ?)数式がほとんど出てこない。数式を使わないでここまで説明できるというのが凄いと思った(もっとも、テンソルなんていう超高等数学を持ち出されても理解できないことは火を見るよりも明らかだけれどもね)。それでも終わりの三分ノ一くらいは難解だったなぁ。
杉本尚次
『ベースボール・シティ』
(福武書店ISBN4-8288-3316-1)
お薦め度 ★★★
あらまし 大リーグと日本プロ野球が使用している《スタジアムにみる日米文化比較》(これが副題)。
コメント ちょっと中途半端かな。大リーグの球場ボールパークの話題に行く前に大リーグの歴史が綴られるし、気がつくと都市計画の考察になってしまう。球場に関する図版が多いことはありがたい。
東京YMCA日本語科
『エクスプレス日本語』
(白水社ISBN4-560-00777-2)
お薦め度 ★★★★
あらまし 白水社のエクスプレスシリーズは《覚えてすぐ役立つ例文を中心に、必要最小限の文法解説、豊富な練習問題を駆使して、早く着実に《読み・書き・話す》基礎をマスターするための入門書》。英語を理解できる人向けに書かれた日本語入門書である。
コメント 自己紹介・疑問文・形容詞・過去形・未来形なんていう具合にレッスンが進んでいくわけだけれども、改まって説明されると「難しいこと(=日本語)を意識しないで喋ってるんだなぁ」と自分自身に感心してしまう不思議な本だった。残念(?)だったのは、英語のyes/noと日本語のはい/いいえが直結しないことに関する説明が出てこなかったことだ。