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三行書評 第164回

2004.9.6

 五つ星が満点。

谷本研
『ペナント・ジャパン』
(PARCO出版ISBN4-89194-684-9)
お薦め度 ★★★
あらまし 言われてみれば、以前はどの観光地に行っても土産物屋で売っていたペナントが今は絶滅してしまったようだ。厳選した(?)100枚を紹介。
コメント 伊豆大島なんてそのまんま地図だし、立山連峰なんて山名が標高入りで描かれているし、貴重な資料になっている。遠くに大文字の送り火を望む金閣寺の池の端に舞妓さんが佇み、さらには五重塔まで拝める京都のペナントは伝統芸能かもしれない。あと100年経ったらペナントも貴重な文化遺産だな。
岩渕潤子
『美術館で愛を語る』
(PHP新書ISBN4-569-63544-X)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 美術館の存在意義の東西(日本と欧米)比較、欧米の美術館を訪れた旅行記、著者おすすめ美術館ガイドの三本立て。
コメント ラジオ番組に出演した岩渕さんが述べたところによると「日本の美術館には幸せそうな人がいない」のが執筆動機なのだそうだ。絵を見て思うところを語り合っていると「黙って見るのがルールだよ」と注意されたり、「美しいと感じなさい」あるいは「現代芸術を理解しなさい」などと価値観を強要される日本の美術館における不幸が理解できた。機会があったら、「わからん」と呟いてみようと思った。
丸谷才一
『ゴシップ的日本語論』
(文藝春秋ISBN4-16-365930-7)
お薦め度 ★★★★
あらまし 文藝春秋の編集者・村上和宏さんが《考へたのは、話をしたものばかりでゆかうといふのだつた。つまり、講演、挨拶、対談、座談会》で作った一冊。「ゴシップ的日本語論」は収録された一篇の名前なので、全体を通して論じているわけではない。
コメント 僕は歌舞伎が好きなので、中村勘九郎さんとの対談が面白いのは当たり前として、木田元さん三浦雅士さんとの鼎談「思想書を読もう」が存外面白かった。