←前回 次回→ ?今月の目次 ジャンル別一覧  ご意見ご感想はこちらから

三行書評 第165回

2004.9.13

 五つ星が満点。

永井洋一
『スポーツは「良い子」を育てるか』
(生活人新書ISBN4-14-088109-7)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 各種調査結果やサッカークラブのコーチとしての体験を心理学やスポーツ科学の理論を使って分析し、少年スポーツの問題点――一言で括ってしまえば勝利第一主義――をあぶりだし、あるべき姿を提示する。
コメント 指導者の皆さんに求められるのは、運動能力が未発達な子の成長を待ったり、子どもたちに考えさせて成長を促し些細なことでも賞めるといった“忍耐力”なのかも知れない。
ちなみに、まる三が小学生のサッカーの試合を見ていたときのこと。ベンチの監督が「もっと伸び伸びやれよ!」と叱責するかのように叫ぶのを聞いたことがある。内容と口調のギャップ(矛盾)に驚いたまる三は、次の瞬間吹き出していた。
立花隆
『解読「地獄の黙示録」』
(文春文庫ISBN4-16-733017-2)
お薦め度 ★★★★
あらまし 聖杯伝説やトマスS.エリオットの『荒地』に関する知識とか(と英語ヒアリング力)があると、コッポラの『地獄の黙示録』がこれほど理解できるのかという驚きの書。
コメント 聖杯伝説や『荒地』を知っている日本人は少ないけれど、欧米では「ん? これは……あのことかな」と容易に類推できる事柄らしい。ま、ここまで深く理解しなければならないわけではないと思うけれども。
斎藤美奈子
『文学的商品学』
(紀伊国屋書店ISBN4-314-00958-6)
お薦め度 ★★★★
あらまし ストーリーや登場人物にひきずられずに、《日本の現代文学がモノ(やや高級ないいかたをすれば消費財)をどう描いてみるかを観察してみよう》ということで、車やオートバイや青春や野球や貧乏や……の描かれ方を比較する。
コメント こういう読み方も楽しいかもしれない。ただし、「こんなことになってるんだよ」と教えてもらうぶんにはいいけど、真似をしようとは思わない^_^;。
日下部みどり子
『鉄道ファン生態学』
(JTBISBN4-533-04337-2)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 鉄道ファンを撮影党車両派とか実踏党乗りつぶし派とかグルメ党駅弁派などに分類し、その生態に迫る。それぞれの党派を代表するWebサイト紹介記事付。
コメント 僕は、時刻表党時刻表派および鉄道施設党技術派の属しており、本書で運転シミュレータBVEを知ったことによって模型党シミュレータ派にも加盟しました。
鳥越信
『子どもの替え歌傑作集』
(平凡社ISBN4-582-82926-0)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 替え歌は《子どもが作った子どもの文化であり、現代のわらべ唄の一つと位置づけられる》と考えた筆者が、1970年頃から採集を始めた――大学教授(当時・早大)という立場を利用して全国各地の各世代の替え歌を採集した――替え歌カタログ。
コメント 懐かしいのや初耳の、秀逸なのや凡庸なの、街なかで歌えるものから親や先生の前では歌えないのまで。子どもってのは下ネタが好きですね。容赦がない。
ユニゾン
図解雑学GPSのしくみ』
(ナツメ社ISBN4-8163-3431-9)
お薦め度 ★★★
あらまし 人工衛星を利用した位置確認システムGPS(Global Positioning System)。その生い立ちや仕組みや利用事例を紹介。
コメント 専門的なことになればついていけないわけで、これくらいの大雑把さでざっくりと理解すれば充分かなぁ。と、これは、自分自身への慰めである。