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三行書評 第174回

2004.11.15

 五つ星が満点。

蓮實重彦
『スポーツ批評宣言 あるいは運動の擁護』
(青土社ISBN4-7917-6109-X)
“彦”の正しい字は立の部分が文になったもの“
お薦め度 ★★★★★
あらまし 元東大総長がスポーツジャーナリズム論。
コメント スポーツジャーナリズムは《監督や選手の「コメント」でゲームを語るな》とか、スポーツジャーナリズムが選手たちに求めている《もろもろの下らぬ「物語」を一掃したい》といった意見に深く賛同した。物言いが過激なせいで暴論と取られるきらいがあるかもしれないけれど。元東大総長がこれほどまでにフットボールや野球に造詣が深いとは思ってもみなかった。
イアン=アーシー
政・官・財おえらがたの国語塾』
(中央公論社ISBN4-12-002638-8)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 官僚・政治家・広告が用いる「特異な日本語」を収集分析した著者(カナダ人)が、その特徴を教えてくれる。
コメント 日本の舵取りをしている官僚と政治家の奇妙な日本語の数々をこれでもかと見せつけられると、ちょいと暗澹たる気持ちになる。
石本祐吉
『鉄のほそ道――写真で綴る線路のはなし――
(アグネISBN4-7507-0858-5)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 豊富な写真を使って、レール・分岐器・標識などを紹介。
コメント 実は僕は、運転席の後ろに陣取って前方を見るのが好きな“線路好き”である。だから、いろいろと鉄道関係の本を読んでいるけれどもこれが一番面白かった。
相川司・菊地明
『新選組実録』
(ちくま新書ISBN4-480-05678-5)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 元隊士や関係者の手記などの一次史料を紐解いて、浪士組・京都新選組・甲陽鎮撫隊・旧幕脱走軍・会津新選組・函館新選組までの七年間の軌跡を追う。
コメント 土方が仙台で総督に推されていたとか函館で陸奉行並兼函館市中取締兼陸海裁判局頭取(中将クラス)に就いたなど、知らないことが多かった。不明な点は不明と明言している点が正しいと思った。