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三行書評 第184回

2005.1.25

 一日遅れの三行書評。五つ星が満点。

藤井陽一郎・石神正浩
『変動する地球と生命の起源』
(新日本出版社ISBN4-406-02350-X)
お薦め度 ★★
あらまし 太陽系の形成・地球の変動・生命の起源について解説。
コメント 学説の発展に従って説明する構成は面白いけれど、解説無しに専門用語が使われていたりするのでどうにも解りにくい。
川上紳一
『全地球凍結』
(集英社新書ISBN4-08-720209-7)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 7億年ほど前、赤道付近まで氷と雪に覆われたとするのが「全球凍結仮説」。1998年頃から脚光を浴び始めたこの仮説を検証する。まだ反対派も多くて定説には至っていないようだが、仮説を確立したホフマン教授はアルフレッド=ウェゲナー賞(大陸移動説を提唱したウェゲナーにちなむヨーロッパ地球科学会の賞)を受賞している。
コメント 構成といい用語解説の程度といい、こちらのほうが圧倒的に解りやすい(絶対的評価でもかなり高い部類に入ると思う)。編集者との共同作業の賜物という感じがする。と言っても、守備範囲は狭いので、これ一冊では大陸移動説などは解らないのだけれど。
中野明
『サムライ、ITに遭う』
(NTT出版ISBN4-7571-0134-1)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 1854年3月20日(嘉永七年二月二二日)、ペリーからの献上品としてモールス電信機の実演が横浜で行われた。サムライの日記の写本や欧米の技術書をもとに、当時の実演を再現(推測もしくは検証)した本。
コメント 往年の通信技術を知らないせいもあって、謎解き風に繰り広げられる展開が興味深かった。電信機に遭遇したサムライ≒ITに遭遇した平成人と考えると他人事ひとごとではないように思える。