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三行書評 第5回

2001.6.28

 五つ星が満点。

山中恒・山中典子
『間違いだらけの少年H』
(発行辺境社/発売頸草書房ISBN4-326-95028-5)
お薦め度 ★★★★
あらまし ベストセラー『少年H』(妹尾河童/講談社)は妹尾氏自身が「小説の形をとった本当の話」と言っていたが、数々のエピソードが(記憶違いレベルではなく)ありえないことだと証明したのが本書。大雑把に言えば、平成になって講談社から出版された『昭和二万日の全記録5巻』および『同6巻』と、一部の新聞縮刷版だけを頼りにしているからと断じている。
コメント 間違い自体の多さと証明が丁寧なので(何しろなぜ間違えたのかまで示しているので)845ページという弁当箱みたいな本になっている。そのため★をひとつ減じた。「はじめに」とどれか1章(「17 虚実の境界線」をお薦め)を読むとよいかも。
ディーター=デングラー
『ラオスからの生還』
(りくたー香子/大日本絵画ISBN4-499-22626-0)
お薦め度 ★★
あらまし ベトナム戦争中の1966年2月1日、ラオス上空で被弾不時着した著者はラオス愛国戦線(通称パテト=ラオPathet Lao、「ラオス人の国」の意)の捕虜となる。5ヵ月後に脱走し、23日間さまよったあとの7月20日に救出された。
コメント 文章としては正直言って稚拙だが、驚異の体験ではある。
矢貫隆
『交通殺人』
(文藝春秋ISBN4-16-357180-9)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 交通事故は不幸な偶然だが、死亡事故に至るような原因が放置されていることがある。例えばそれは、本書で取り上げられている「神奈川県警の時差式交差点」のようなものだ。一審および二審を経てただいま上告中。
コメント 話がズレるが、僕はどうも警察に対して不信感がある。いわゆるネズミ捕りをやるときにどうしてこそこそとやるのだろうか? きちんと姿を見せることで抑止力になると思うのだが……。「おまえたちはそんなにカネが欲しいのか!」と言いたい。
立花隆
『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』
(文藝春秋ISBN4-16-357310-0)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 『週刊文春』に連載中の「私の読書日記」をまとめたもの。速読術に関する部分はかなり役に立つ(ただし小説読みにはなんの役にも立たない)。
コメント 書評でどんなに薦められていても、実際に読んでみたら大して面白くなかったというのは往々にしてある。感性の合う書評子を見つけると楽だ。
鎌田慧
『くたばれ!自民党 13の症候群』
(アストラISBN4-901203-08-8)
お薦め度 ★★★
あらまし あらゆる「自民党的なもの」を斬っている。したがって民主党や自民党・社民党などの野党であっても例外ではない。返す刀で斬られるのが官僚・財界・マスコミ・学者である。
コメント こういう捉え方もある。まずは選挙に行くことだ。
佐高信
『日本国憲法の逆襲』
(岩波書店ISBN4-00-001768-3)
お薦め度 ★★★★
あらまし 2000年の『世界』誌上で行われた対談をまとめたもの。対談者は、田原総一朗・辛淑玉・むのたけじ・河野義行・宮崎学・上原公子・田中康夫・原田正純・喜納昌吉・辻元清美・落合恵子・C=ダグラス=ラミス。(敬称略)
コメント 12名全員を知っているというあなた。あなたはかなりの情報通だ。どれか一篇だけ選ぶとすれば辛淑玉シン スゴ氏との対談だ。次点でC=ダグラス=ラミス氏。目からウロコが落ちる。
朝日新聞虫食い川柳
『クイズ虫食い川柳』
(角川春樹事務所ISBN4-89456-288-X)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 川柳の一部を隠してそこに入る文字を考えるクイズが、『朝日新聞』夕刊に載っている。毎週5つが載り、全問正解者には抽選で5000円分の商品券が当たる。その中から厳選し、解答・名答・珍答・迷答をまとめたもの。
コメント 百聞は一見に如かず。あなたならどう埋めますか? こんなのが191問あります。
  ■■好き だってあなたに会えるもの 花園咲
  天■と思っていたらクビになり 槙紫光
  ■音で二つにわれる影法師 古川柳
  本当の年は忘れた■■券 宮崎あずさ
  如月や■■屋へ走れ十四日 徳永凛子
  期待した混浴風呂に■といる 小原庄司
正解はこちら→会社・職・足・定期・菓子・妻(ドラッグしてね)

 今回は点が甘かったような気がしないでもない^_^;。