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三行書評 第10回

2001.8.4

 図書館の新着図書のコーナーに、『新・ふたりのためのブティックホテル530首都圏版』(実業之日本社)というのが置いてあった。おやおやと思って手に取ったら、案の定、シングルとかツインとかではなくて“休憩”や“宿泊”というのを料金体系にした宿泊(あるいは運動^_^;)施設の案内書だった。わかってて受け入れたとしたら、かなりさばけた図書館ではある。

 五つ星が満点。

堀江謙一
『太平洋ひとりぼっち』
(発行ぐるーぷ・ぱあめ/発売清水弘文堂ISBN4-87950-503-X) 
お薦め度 ★★★★★
あらまし 1962年夏、大阪西宮からサンフランシスコまでを一人乗りのヨット「マーメイド号」で太平洋を横断した堀江青年(当時23歳)の手記。
コメント 稚拙な文章であることは否めないが、面白い。スポンサー無しでまったく個人でやったというのだから恐れ入る。
堀江謙一
『太平洋ひとりぼっち・完結編』
(朝日新聞社ISBN4-02-256094-0)
お薦め度 ★★★★
あらまし 最初の“ひとりぼっち”(前掲書)から27年後の1989年、今度はサンフランシスコから西宮を目指して太平洋に乗り出した。今回のヨットは全長2m80全幅1m85という小型ヨット「マーメイド号」(高井理氏設計)だ。マンボウみたいである。
コメント 太陽電池やアマチュア無線や衛星航法などに27年間の隔たり感じられるが、冒険であることには変わりがない。文章が格段に読みやすくなっているが、「初めて」ということに敬意を表する意味で、あえて前掲書のほうに五つ星をつけてみた。
ロバート=ホワイティング
『東京アンダーワールド』
(松井みどり/角川書店ISBN4-04-791349-9)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 1945年8月18日、敗戦からわずか3日後に闇市の広告が新聞に載った。ここを出発点として戦後の闇の世界が始まった。「六本木の帝王」「東京のマフィアボス」と呼ばれたニコラ=ザペッティ(日本名ニコラ小泉)を中心に、“裏世界”の暗躍を描く。非仮名の人名多数。
コメント 怖い怖い。暴力シーンが頻出するわけではないのだが、怖い。「訳者あとがき」で示されている「原文でローマ字表記されている単語」を再録することが、あらましの補足になるかもしれない。曰く、暴力団・人脈・構造汚職・経済ヤクザ・プロレスブーム・料亭・財閥・上納金・総会屋などなど。

 今週も実質3日しか読書の時間が取れなかったので少なめです。あしからず。