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三行書評 第14回

2001.9.3

 五つ星が満点。

 今尾恵介
『地図で歩く廃線跡』
(二期出版ISBN4-89050-366-8)
お薦め度 ★★
あらまし 国土地理院発行の2万5千分の1地形図を片手に、廃線となった鉄道跡を歩いてみた紀行文。
コメント テッチャンにもいろんな種族がいるんだなぁと思った。話は変わるが、その昔「超芸術トマソン註1」というのが密かなブームになったことがある。そこにこの種族から大量の写真が送られてきて、主宰者(赤瀬川原平氏)が閉口していたのを思い出した。
東海林さだお
『東海林さだおの弁当箱』
(朝日文芸文庫ISBN4-02-264067-7)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 『週刊朝日』連載より抜粋した食に関するエッセイ129編。文庫本ではあるが800頁という大部なので、見た目は弁当箱である。「究極のネコ缶を食べてみる」とか「大冒険 梅干し一ケで丼めし」とか、徹底的に真面目である。便利な索引つき。
コメント 東海林さだおさんのエッセイが面白いことは(主に椎名誠氏の文章で)聞いていたが、なるほど真面目で面白い。ところで築地の吉野家では、「トロ抜き」「ネギ抜き」「皿」「ツユだく」「ツユ抜き」「アタマの大盛り」という呪文が昔から乱れ飛んでいたらしい。このうち「ツユだく」は築地を飛び出して市民権を得たようだ。
松田卓也・木下篤哉
『相対論の正しい間違え方』
(丸善ISBN4-621-04892-9)
お薦め度 ★★★★
あらまし 相対論の間違い方の指南書ではない。「アインシュタインの相対論は間違っている」と主張する人たちがいて、それらの主張=理論のなかから“正しい間違い”44個を認定したうえで間違いを正している。
コメント 一般相対論に入ると難しくなる(ちなみにこれは【正しい間違い8-1】である^_^;)。僕は一応、応用物理学科というところを出ているが、一般相対論編で示される式が理解できない^_^;。難渋しながら読んだが、結構面白かった。
コンノケンイチ・田村三郎・トム=ヴァン=フランダール・千代島雅・竹内薫・窪田登司・後藤学
『ニュートンとアインシュタイン科学をダメにした7つの欺瞞』
(徳間書店ISBN4-19-860241-7)
お薦め度
あらまし これが、相対性理論は間違いとする本の1冊である。相対性理論には賛成できない方々が、各々が構築しようとしている理論の違いには目をつぶって出版したのが本書。こういうのを呉越同舟と言う。
コメント トンデモ本の一種かもしれない。ところどころ爆笑できる。図・式の少なさと引用の多さと縦書きが相俟って、社会科学の論文に見えた。意外な論理の展開は、『ガキの使いやあらへんで』のフリートークで、松っちゃんに思いもよらぬことを言われた浜ちゃんの気分を味わえる。「エ?エ?エ?どういうこと?」。→他にもあります
西正
『メディア解体新書』
(中央経済社ISBN4-502-57351-5)
お薦め度 ★★★
あらまし 著者は、シンクタンクで放送産業を研究しているそうで、日本総合研究所メディア研究センター長が肩書きだ。そういう著者の断片的コラムをまとめたもの。
コメント 僕のサイトのお手本になりそうな話題が詰まっている。ひょっとするとそのうちにネタとして登場するかもしれない^_^;。
註1:超芸術トマソン
「超芸術トマソン」についてはトマソン・リンクが分かりやすい。活字で読んでみたい方には、入門書(?)として『超芸術トマソン』(赤瀬川原平/白夜書房1985ちくま文庫1987)がお薦め。
註2:間違っていると主張している本たち
窪田登司『アインシュタインの相対性理論は間違っていた』(徳間書店1993)
窪田登司・早坂秀雄・後藤学ほか『相対論はやはり間違っていた』(徳間書店1994)
コンノケンイチ・後藤学・窪田登司ほか『ニュートンとアインシュタイン、科学をダメにした7つの欺瞞』(徳間書店1995)