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三行書評 第24回

2001.11.12

 五つ星が満点。

宮部みゆき
『模倣犯』
(小学館ISBN4-09-379264-X,ISBN4-09-379265-8)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 大川公園のゴミ箱から女性の右腕とハンドバックが発見された。やがて、放送局や行方不明者の家族のもとへ犯人から電話がかかってきた(これ以上は何を書いてもネタバレになりそうで……)。
コメント 僕は行間を読むのが下手なので(あるいは読めないので)、台詞の持つ意味や表情をこと細かく説明してくれるのはありがたい。そういった描写によって人物が浮かび上がってくる。四六判9ポ二段組、上下巻合わせて1400頁だから読むのが大変だったが、非常に面白かった。年末年始にいかがでしょうか。
宮部みゆき
『クロスファイア』
(光文社カッパノベルスISBN4-334-07313-1,ISBN4-334-07314-X)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 念力放火能力(パイロキネシス)を持つ青木淳子は、少年グループが男を殺害しようとする場面に偶然遭遇する。男を助けるため、というよりはある種の正義感から少年グループを燃やすが、それは初めてのことではなかった。
コメント 謎解きとしてはたぶん易しい部類に属するのだろう(僕がわかったのだから)。なんか考えさせられるなぁ。正義とは何か? 正直者が馬鹿を見る世界でよいのか? といったことを突付くテーマだ。映画も見たので感想を書いてみた
宮部みゆき
『R.P.G.』
(集英社文庫ISBN4-08-747349-X)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 杉並区の建売住宅建築現場で所田良介(48歳)の刺殺死体が発見された。やがて3日前に渋谷区のカラオケボックスで絞殺されたアルバイト店員・今井直子(21歳)の事件との関連を示す物証が見つかった。統合された捜査本部のデスクは『模倣犯』の武上悦郎、応援要員として『クロスファイア』(まる三未読)の石津ちか子が登場する。文庫書き下ろし。
コメント 見事だよ、見事。まる三はあまり小説を読まないから、これくらいの易しい仕掛けでも(のほうが?)充分楽しめる。大満足。登場人物も時間も空間も小ぢんまりとした設定なので、3場くらいの舞台劇にどうでしょうか?

 いちおう書いてはみたけれども、『模倣犯』を“3行”で評するというのは所詮無理なので、あんまり参考にならないかも。お薦め度★★★★★の中にも微妙なランクはあって、『R.P.G.』>『模倣犯』>『クロスファイア』ということで。