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三行書評 第27回

2001.12.3

 五つ星が満点。

澤口俊之・南伸坊
『平然と車内で化粧する脳』
(扶桑社ISBN4-594-02969-8)
お薦め度 ★★★★
あらまし 澤口俊之さんというのは北海道大学医学研究科脳科学専攻機能分子学分野教授。この澤口先生に生徒の南伸坊さんが「『日本人はなぜ恥知らずになったか』っていうのを、脳科学的に明らかにしていただく」という本。
コメント 「なぜ?」と「どうしたら?」は読んでのお楽しみ。ただ、対談形式なので、ちょっと読みづらいかも。
切通理作きりどうし りさく
『宮崎駿の《世界》』
(ちくま新書ISBN4-480-05908-3)
お薦め度 ★★★
あらまし 作品・評論・証言を駆使して宮崎駿の世界を探る。どこで入手したのか「企画書」まで持ち出している。
コメント 作品紹介も兼ねた2章はもちろん、論評部分に入っても面白いことは面白いのだが、「そんなに深読みしなくてもいいじゃないか」という感想を持ってしまったことも事実。9ポ全334頁(一部8ポ二段組)なので、「新書」だと思って甘く見てはいけない。
佐藤正午
『Y』
(角川春樹事務所ISBN4-89456-141-7)
お薦め度 ★★★★
あらまし 過去に戻れるとしたらあなたはいつに戻りたいですか? 「今」を捨てて、たった一人でもそこに帰りたいですか? 何もかもが思い通りになるとは限りませんよ(“あらまし”になってないな^_^;)。
コメント SFの秀作というのは「なぜ」よりも「どうなる」に重きを置いたものの方が多いようだ。「なぜ過去に戻れるのか」ではなくて「過去に戻れたらどうするのか」だ。余談だが、作中「アメリカ人の作家が書いた小説」と出てくるのはケン=グリムウッド『リプレイ』(新潮文庫)のことだ。