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三行書評 第35回

2002.1.28

 五つ星が満点。

重松清
『セカンド・ライン』
(朝日新聞社ISBN4-02-257690-1)
お薦め度 ★★★★
あらまし ゴーストライトや無署名記事を加えると単行本100冊雑誌記事3000本という著者の(重松清名義での)エッセイをまとめたもの。副題どおり「エッセイ百連発!」だ。
コメント 後記によると「セカンド・ライン」には「一義的には『二番目の道』、スラングで『葬式後のドンチャン騒ぎの帰り道』という意味がある」そうだ。小説がファースト・ラインなら、コラムや書評はセカンド・ラインという含みを持った表題だ。
椎名誠ほか
『銀座24の物語』
(文藝春秋ISBN4-16-320360-9)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 月刊誌『銀座百点』に掲載された24人の作家による短篇集。執筆陣は、椎名誠・皆川博子・久世光彦・山田太一・赤川次郎・藤堂志津子・志水辰夫・安西水丸・常盤新平・森村誠一・群ようこ・高橋治・連城三紀彦・藤沢周・嵐山光三郎・橋本治・平岩弓枝・小池真理子・大岡玲・藤田宜永・江國香織・佐野洋・鷺沢萌・村松友視。
コメント 作家には失礼かもしれないが、作品見本のようにして読んでみた。作家名を確かめずに読んで作品だけで判断してみるという読み方。その結果おもしろいな(他の作品も読んでみようかな)と思ったのは、志水辰夫・群ようこ・高橋治・連城三紀彦・江國香織・佐野洋・鷺沢萌ということになった。
井上ひさしほか文学の蔵
『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』
(新潮文庫ISBN4-10-116829-6)
お薦め度 ★★★★
あらまし 岩手県一関市文学の蔵設立委員会が開催した作文教室の講義録&添削結果。井上さんを持ち上げるわけではないが、三日間拘束でまったくの無報酬というのだから驚く。それも、二日目の夜は夕食後から翌朝五時まで作文の添削だというのだから恐れ入る。
コメント 講義録であるせいか、細かい技術論よりも心がまえ的なことが多いような気がした。脱線もおもしろかったな。添削結果を読むのが特におもしろかった。言葉を替えたり削ったり、なるほどなぁと感心してばかりいた。