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三行書評 第36回

2002.2.4

 五つ星が満点。

平山令明
『暗記しないで化学入門』
(講談社ブルーバックスISBN4-06-257296-6)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 「電子」と「立体構造」をキーワードにして化学を理解しようという本。これが理解できれば化学反応式を憶える必要は無いと説く。
コメント タイトルがいいじゃないですか。一を知れば十を知るというのが好きだ(物理はそういうところがある)。高校時代に習ってはいるのだろうけれど、なんか新鮮な驚きをもって読めた(ちょっと情けないけど^_^;)。
本間善夫・川端潤
『パソコンで見る動く分子事典』
(講談社ブルーバックスISBN4-06-257266-4)
お薦め度 ★★★
あらまし 身近な物質――コレステロール・アドレナリン・カフェイン・ニコチン・キシリトール・ポリ塩化ビニール・ホルムアルデヒド・コカイン・サリン(だんだんヤバくなってきたな)などなど――を紹介するとともに、その分子構造を確認できるフリーソフトChemiscape Chime ver2.0.3がCD-ROMで付いている。
コメント ver2.0.3がWindowsXPでは動かなかった。最新版のver2.6(ServicePack3)はMDL Infomation Systems Inc.(英語)から無料でダウンロードできる(約2メガバイト)。
【トリビア】高分子化合物以外で最大の分子量を持つ物質は、マイトトキシン(maitotoxin C164 H256 O68 S2 Na2)で、分子量は3525.9だそうだ。
立花隆
『東大生はバカになったか知的亡国論+現代教養論
(文藝春秋ISBN4-16-357850-1)
お薦め度 ★★★★★
あらまし 《日本型知識詰め込み教育の世界のスーパーエリートである》東大生の中に、1994年の高等学校指導要領改訂以降、教養(一般常識と言ってもいい)のない学生――たとえば東京−札幌間の直線距離が30kmだとか10万kmだとか答える輩――が現れるようになった。文部省が日本の知力を亡ぼすと論じた前半と、現代における教養の定義を試みた後半に分かれる。
コメント こういうことを大学時代に知っていれば、もう少しマシな勉学生活を送ったかもしれない。もっとも、大学生活全体を振り返って後悔しているわけでもないのだが。文字が多くて大変だろうけれど、だからこそ、大学生および受験生に読んでほしい1冊。
村上玄一
『記者クラブって何だ!?』
(発行同朋舎/角川書店ISBN4-8104-2727-7)
お薦め度 ★★★
あらまし 田中康夫長野県知事の「脱・記者クラブ宣言」を手始めに、記者クラブに関する諸問題を活字から拾った評論集。
コメント 186ページと薄手(新書の体裁)なので、ざっと読んでみるのもよいかも。報道各社、それぞれ主張はあるだろうが、原則として権力とは対立してほしいものだ。「報道の自由」というのは権力に対して使う言葉であって、スキャンダルを起こした芸能人に向ける言葉ではないと思う。
小林信彦
『植木等と藤山寛美』
(新潮社ISBN4-10-331817-1)
お薦め度 ★★★
あらまし 同時代人であり、植木等とは(出演者と放送作家という関係で)仕事もしたことがある小説家の著書。
コメント 評伝とか評論というよりも思い出話に近いかもしれない。それは、著者自身がちょくちょく顔を出すからだと思う。それが★の数に影響を与えたわけではないことは申し添えておきたい。